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はじめに

生成AIを活用したツールが次々と登場し、凄まじいスピードで進化を続けています。
その中で、「エンジニアの仕事はなくなってしまうのではないか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

私自身、SIを事業とする会社でマネージャーを務めており、自分のキャリアや会社の方向性をどうリードしていくべきか、強い不安を感じる時期が続きました。

この1年間、実際のシステム開発の現場で AI駆動開発 を実践する中で、少しずつ見えてきたものがあります。
本記事では、現時点での考えを1年の終わりにあらためて言語化してみたいと思います。

そもそも「エンジニアリング」とは何か?

一言で言うと、エンジニアリングとは──

制約条件の中で、目的を達成するための「再現可能な解決策」を
設計・実装・運用すること

です。

私はシステム開発・ソフトウェア開発に携わっているため、ソフトウェアの力を使ってこれを実現しています。

ここで重要なのは、
「作ること」ではなく「解決すること」 に主眼がある点です。

我々は顧客の課題を解決することを生業としています。
顧客の課題が解決され、「より高い価値が生み出せる状態」を作れなければ、目的を達成したとは言えません。

よくある誤解:エンジニアリング=実装(コーディング)

これは半分正しくて、半分間違いです。

  • ❌ エンジニアリング = コードを書くこと
  • ⭕ エンジニアリング = 問題を分解し、構造化し、解き続けること

コードは 手段 であって、目的ではありません
ソフトウェアを実装することは重要な要素ですが、それ自体がゴールではないのです。

エンジニアリングを構成する4つの要素

1. 問題定義(Problem Definition)

  • 何が問題なのか
  • それは誰にとっての問題か
  • 本当に解くべき問題か

間違った問題を正しく解くことは、最大の無駄です。

2. 制約理解(Constraints)

  • 時間
  • コスト
  • 人材
  • 技術
  • 法律・セキュリティ・運用

制約がないなら、それは研究か趣味です。

3. 設計(Design)

  • どう分解するか
  • どこに責務を置くか
  • 将来どこが変わりそうか
  • 何を捨てるか

設計とは「将来の変更コストを下げるための意思決定」です。

4. 実装・検証・運用(Execution)

  • 実装
  • テスト
  • リリース
  • 運用
  • 改善

作って終わりではなく、使われ続けること が前提です。
継続的に使われなければ、価値を生み出すことはできません。

エンジニアリングの本質は「トレードオフ」

エンジニアリングに、唯一の正解が存在することはほとんどありません。

  • 速さ vs 品質
  • 柔軟性 vs 単純さ
  • 今すぐ vs 将来
  • 局所最適 vs 全体最適

その中で重要なのは、

どのトレードオフを選び、
なぜそれを選んだのかを説明できること

これこそがエンジニアリングです。

では「良いエンジニアリング」とは?

次の問いに答えられる状態です。

  • なぜこの設計なのか?
  • どんな前提があるのか?
  • 何を諦めたのか?
  • 将来どう変えられるのか?

つまり、

判断の履歴が説明可能で、再現可能であること

です。

AIにすべてを任せるような開発(いわゆる バイブコーディング)では、
これらの問いにエンジニア自身が答えられなくなる可能性があります。

個人開発であれば問題にならないかもしれませんが、
エンタープライズレベルの開発では、これは大きなリスクになります。

生成AI時代における定義の再確認

生成AIを前提にすると、エンジニアリングの本質はより明確になります。

  • 実装 → AIが代替できる
  • 設計判断 → 人が行う
  • 責任 → 人が持つ

だからこそ、

エンジニアリングとは
AIを含むあらゆる手段を使って、
意図と責任を持ち、問題を解き続けること

と言い換えられます。

生成AIやAIエージェントの進化により、
実装・検証・運用における人間の役割は今後さらに減っていくでしょう。

その一方で、

  • 課題を適切に言語化する力
  • 制約条件を理解する力
  • 状況に応じて最適な判断を下す力

これらは、より重要になっていきます。

そして皮肉なことに、
そうした能力を鍛えるためにも、生成AIは強力なパートナーになり得ます。

まとめ

生成AIの進化によって、人間が エンジニアリングの本質的な部分に集中できる環境 が整い始めています。

この変化を、

  • 「仕事がなくなるかもしれない」と捉えるか
  • 「本質に向き合うチャンスが来た」と捉えるか

で、個人の成長の度合いは大きく変わるでしょう。

私はこの変化を前向きに捉え、
生成AIを活用しながら、より 「社会の進化を実現できるエンジニアリング」 を目指して、
自分自身とチームをリードしていきたいと考えています。

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