はじめに
Stable DiffusionやFLUX.1で画像生成やってみたくて、どのクラウドGPU使えばいいのか全然わからなかったので、主要なサービス7社を片っ端から試してみました。
結論から言うと、目的によって全然ベストな選択肢が違うので、この記事では実際に使ってみてわかった各サービスの使用感とか、ハマったポイントとかをまとめておきます。
検証環境
- 試した期間:2週間くらい
- 使ったモデル:Stable Diffusion XL、FLUX.1 Schnell
- 評価軸:無料枠の量、セットアップの簡単さ、料金、API使いやすさ
Google Colab - とりあえずこれから始めた
無料枠
週15〜30時間のGPU(T4)、クレカ登録不要
使ってみた感想
まず最初に試したのがGoogle Colab。無料だし、ブラウザだけで完結するのでハードル低め。
セッションが1時間で切れるのがちょっと不便だけど、再接続すればまた使えるので実質無制限っぽい。
# こんな感じで普通にStable Diffusion動いた
!pip install diffusers transformers accelerate
from diffusers import StableDiffusionPipeline
import torch
pipe = StableDiffusionPipeline.from_pretrained(
"stabilityai/stable-diffusion-2-1",
torch_dtype=torch.float16
)
pipe = pipe.to("cuda")
image = pipe("A serene mountain landscape at sunset").images[0]
image.save("output.png")
良かった点
- セットアップがマジで楽
- 完全無料で試せる
- 情報量が多いのでググればだいたい解決する
イマイチだった点
- セッションタイムアウトで作業が中断される
- GPU性能が時々遅くなる(共有環境だから仕方ない)
どんな人向けか:とりあえずAI画像生成触ってみたい人、学習目的の人
Replicate - API使うならこれ一択だった
無料枠
月50枚無料、その後1枚$0.0055(めっちゃ安い)
使ってみた感想
APIでサクッと画像生成したくて試したんですが、これが一番楽でした。コード10行くらいで動く。
import replicate
output = replicate.run(
"black-forest-labs/flux-schnell",
input={
"prompt": "A robot reading a book in a library",
"width": 1024,
"height": 768
}
)
print(output)
月50枚は正直すぐ使い切っちゃうけど、その後も1枚1円しないので全然許容範囲。ドキュメントもちゃんとしてて迷わなかった。
良かった点
- セットアップ超簡単
- 最新モデルにすぐ対応してる
- ドキュメントがわかりやすい
イマイチだった点
- 無料枠が50枚だけ
- 大量生成したい人には向かない
どんな人向けか:APIで何か作りたい開発者
Hugging Face Spaces - デモアプリ作るのに最適
無料枠
1日5分の無料GPU時間
使ってみた感想
Gradioでデモアプリ作りたかったので試してみました。ZeroGPU機能使えば完全無料でGPUアクセスできます。
import gradio as gr
from diffusers import StableDiffusionPipeline
import torch
pipe = StableDiffusionPipeline.from_pretrained(
"runwayml/stable-diffusion-v1-5",
torch_dtype=torch.float16
).to("cuda")
def generate_image(prompt):
return pipe(prompt).images[0]
demo = gr.Interface(
fn=generate_image,
inputs=gr.Textbox(label="プロンプト"),
outputs=gr.Image(label="生成画像")
)
demo.launch()
5分の制限があるので本格的な用途には厳しいけど、デモ作って公開するには十分でした。
良かった点
- Webアプリがすぐ公開できる
- コミュニティが活発
- 完全無料
イマイチだった点
- 1日5分は短い
- 重い処理には不向き
どんな人向けか:デモアプリ作って公開したい人
Runpod - 本気でやるならこれ
料金
初回$10クレジット付き
- RTX 4090:$0.50〜$0.80/時間
- A100:$1.19/時間
- H100:$2.79/時間
使ってみた感想
本格的に使うならRunpodがコスパ良さそうでした。30種類以上のGPUから選べるのと、秒単位課金なのがいい。
Stable Diffusion Web UIが1クリックでデプロイできたのは楽でした。
import requests
import base64
from PIL import Image
import io
ENDPOINT_ID = "your_endpoint_id"
url = f'https://{ENDPOINT_ID}.proxy.runpod.net/runsync'
response = requests.post(url, json={
'input': {
'prompt': 'A dragon flying over a castle',
'width': 768,
'height': 512
}
})
if response.json()['status'] == 'COMPLETED':
image_data = base64.b64decode(response.json()['output'])
image = Image.open(io.BytesIO(image_data))
image.save('output.png')
初期設定がちょっと面倒だったけど、一度設定すれば後は快適でした。
良かった点
- 料金が安い
- GPU選択肢が豊富
- 秒単位課金が地味に嬉しい
イマイチだった点
- 初期設定がやや複雑
- 無料クレジットが少なめ
どんな人向けか:本格的に画像生成ビジネスしたい人
GCP - お試しで大量に使うなら
無料枠
新規ユーザーに$300クレジット(90日間)
使ってみた感想
$300クレジットでT4 GPUを100時間くらい使えました。信頼性は高いけど、セットアップがちょっと面倒。
Vertex AIとの統合とか、エンタープライズ向けって感じで、個人で気軽に使うには若干オーバースペックかも。
良かった点
- クレジットが多い
- インフラが安定してる
- 本格的なAIサービスと統合できる
イマイチだった点
- 90日の期限がある
- セットアップが複雑
どんな人向けか:エンタープライズレベルで試したい人
Vast.ai - とにかく安さ重視
料金
$0.20/時間から
使ってみた感想
マーケットプレイス型で、プロバイダー間で価格競争してるので常に最安値が見つかります。
セットアップには技術的な知識が必要で、最初は戸惑いましたが、慣れればコスパは最強です。
良かった点
- 圧倒的に安い
- GPU選択肢が豊富
- リアルタイムで価格が変動する
イマイチだった点
- 無料枠がない
- セットアップに技術知識が必要
- ドキュメントがわかりにくい
どんな人向けか:コスト抑えたい技術者
Together AI - FLUX.1使うなら
料金
$0.01〜/枚
使ってみた感想
FLUX.1 Schnellが数秒で生成できて、かなり速かった。リアルタイム生成が必要なアプリケーションには良い選択肢。
from together import Together
import os
client = Together(api_key=os.environ.get("TOGETHER_API_KEY"))
response = client.images.generate(
prompt="A zen garden with stone path",
model="black-forest-labs/FLUX.1-schnell",
width=1024,
height=768,
steps=4
)
print(response.data.url)
良かった点
- 生成速度が速い
- 最新のFLUX.1に対応
- APIがシンプル
イマイチだった点
- Replicateより若干高い
- 無料枠が限定的
どんな人向けか:リアルタイム生成が必要な人
結局どれ使えばいいの?
目的別にまとめるとこんな感じ:
| 目的 | おすすめ |
|---|---|
| とりあえず試したい | Google Colab |
| API開発したい | Replicate |
| デモアプリ作りたい | Hugging Face Spaces |
| 本格的に運用したい | Runpod |
| コスト最優先 | Vast.ai |
| 高速生成したい | Together AI |
| 大規模テストしたい | GCP |
無料枠フル活用戦略
完全無料で月数千枚生成する方法を発見しました:
- Google Colab(週30時間)で普段は生成
- Replicate(月50枚)でAPI連携必要な時
- Hugging Face Spaces(日5分)でデモ公開
この3つ組み合わせれば、かなりの量を無料で作れます。
ハマったポイント
Runpodのエンドポイント設定
最初、エンドポイントIDの設定がわからなくて30分くらいハマった。ドキュメント読んでもわかりにくかったので、ググって解決。
Replicateのレート制限
無料枠50枚を1日で使い切ったら、翌月まで待つか課金するしかない。計画的に使いましょう。
Google Colabのセッション切れ
長時間の学習中にセッション切れると最初からやり直しになる。チェックポイント保存は必須。
Vast.aiの複雑なUI
最初、どのGPUを選べばいいのかわからなくて迷った。フィルター機能をちゃんと使えばいい感じのが見つかります。
まとめ
7社試してみた結果、目的次第でベストな選択が全然違うことがわかりました。
個人的には、学習目的ならGoogle Colab、API開発ならReplicate、本格運用ならRunpodって感じで使い分けてます。
これからAI画像生成始める人の参考になれば幸いです。何か質問あればコメントください。
参考
- Google Colab: https://colab.research.google.com/
- Replicate: https://replicate.com/
- Hugging Face: https://huggingface.co/spaces
- Runpod: https://www.runpod.io/
- GCP: https://cloud.google.com/
- Vast.ai: https://vast.ai/
- Together AI: https://www.together.ai/