はじめに
Bookathonに初参加して、大賞を取りました!
書いた本は「エンジニアのための有価証券報告書の読み方」。
チームは当日初対面の3人。
3日間で技術書を1冊書き上げるという、濃密な体験をしてきました。
この記事では、その3日間の体験を振り返っていきます。
Bookathonとは
Bookathonは、3日間で技術書を書き上げるイベントです。
主催は「技術と本と猫」さん。その他にも有名企業がスポンサーとして参加していました。
今回の開催概要
- 参加者:約40名
- メンター・編集者:10名前後
- 会場:六本木ヒルズ森タワー、メルカリ社のオフィス
- 参加形態:個人参加・チーム参加どちらもOK
今回、私は個人で申し込んで、当日チームを組む形で参加しました。
メンターや編集者の方々が手厚くサポートしてくれる環境で、初参加でも安心して取り組めました。
参加のきっかけ
connpassでの出会い
きっかけは、connpassでエンジニアイベントを探していた時でした。
「技術書のハッカソン」という響きに、思わず目が留まりました。
参加を決めた理由
実は今年の年始から、Qiitaに毎日記事を投稿しています。
記事執筆を続けている中で、「技術書を書く」という挑戦も面白そうだなと。
記事の延長線上にあるような感覚で、「面白そう!」という直感で申し込みました。
参加前の心境
とはいえ、正直かなり不安でした。
個人申し込みで、テーマも決めずに「いっちゃえ!」という勢いで申し込んだので、
- そもそも何を書くのか決まっていない
- 3日間で書ききれるのか
- チームは組めるのか
不安と期待が入り混じった状態で当日を迎えました。
Day1:運命のチーム結成
個人参加者のアピールタイム
イベント初日、まず個人参加者が一箇所に集まりました。
そこで「こういう本を書きたいです!」とアピールしたい人が、みんなの前で発表する時間がありました。
この時間が、チーム結成の鍵になります。
「有価証券報告書」という言葉に衝撃
いろんな人がアピールしていく中で、鹿又さんという方がこう言いました。
「有価証券報告書について書きます」
その瞬間、心臓がドキッとしました。
運命を感じた理由:私のバックグラウンド
実は私、新卒1年目のエンジニアなんですが、高校・大学とずっと会計学を勉強していました。
特に大学4年間は、公認会計士を目指して資格の勉強に明け暮れる日々。
結果的にエンジニアとして就職したので、「もうこの会計知識を使う機会はないだろうな」と思っていました。
それがまさか、こんな場所で「有価証券報告書」という言葉を聞くことになるとは。
運命というか、奇跡を感じました。
チーム結成
鹿又さんに声をかけ、さらに大学で経済学を専攻していた劉さんも加わり、3人でチームを組むことに。
- 鹿又さん:有価証券報告書について書きたい。このテーマでチームを引っ張ってくれたリーダー的存在
- 劉さん:大学で経済学専攻、7年以上のエンジニア経験あり。ビジネスと技術、両方の観点から豊富な知見を持つ方
- 私:会計学バックグラウンドの新卒1年目エンジニア
「有価証券報告書」というニッチなテーマに、それぞれ関連する専門性を持つ3人が集まった。
個人参加で、当日初めて会った3人がこのテーマで揃うなんて、奇跡的だと思います。
3人で話し合った「本の目的」
チームが決まってから、かなり長い時間をかけてディスカッションしました。
「エンジニアにとって、どんな情報があれば役に立つのか」
この問いを軸に、本の目的を明確化していきました。
この時間が、後々の執筆を支える大きな軸になります。
Day1終了時点
- 章構成の大枠を決定
- 各自の担当パートを割り振り
- 本の目的・ターゲット読者を明確化
良いスタートが切れました。
書いた本の内容
ここで、私たちが書いた本の内容を紹介します。
本のテーマ
「エンジニアのための有価証券報告書の読み方」
エンジニアが有価証券報告書を読む理由、読むことのメリット、そして具体的な読み方と分析の仕方を解説した本です。
さらに、エンジニア目線での解釈の仕方も盛り込みました。
章構成と担当
| 章 | 内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 第1章 | やさしい財務諸表の読み方 | 鹿又さん |
| 第2章 | 財務諸表をもとに分析してみた(IT企業22社) | 私 |
| 第3章 | 有価証券報告書には載っていない「技術の匂い」を突き詰める | 劉さん |
第1章で基礎を学び、第2章で実際のデータを使った分析を行い、第3章でさらに深掘りする。
一冊を通して、段階的に理解が深まる構成になっています。
劉さんが担当した第3章は、有価証券報告書という「ビジネス」と「技術」を結びつけるという、非常に難しい分野。
7年以上のエンジニア経験と経済学のバックグラウンドを持つ劉さんだからこそ書けたパートだと思います。
Day2:執筆本番と迷いの壁
私の担当:財務諸表分析(IT企業22社)
私が担当したのは、実際のIT企業22社のデータを使った財務諸表分析のパートでした。
エンジニアが知りたい情報を、具体的な数字で示していくセクションです。
ぶつかった壁①:思い描いた結果が出ない
いざ分析を始めてみると、最初に思い描いていた結果と違う。
「あれ、自分の担当パート、本当に価値があるのかな…?」
不安がよぎりました。
ぶつかった壁②:データの羅列になってしまう
さらに、作り上げたものを見返してみると、ただの数字の羅列になっている。
「これでは四季報とか、他の情報源と差別化できないな…」
2日目は、かなり迷いました。
転機:当初の目的に立ち返る
悩んでいる時、ふとDay1で話し合った「本の目的」を思い出しました。
「エンジニアにとって、どんな情報があれば役に立つのか」
そうだ、この問いに答えることが大事なんだ。
単なるデータの提示ではなく、エンジニア視点での解釈を加えていく方向に軌道修正。
Day1でしっかり目的を話し合っていたからこそ、迷った時に立ち返る場所があった。
本当に、あの時間は大事だったなと思います。
相互レビューの時間
Day2では、各自の進捗確認に加えて、互いのパートを読み合う相互レビューの時間も設けました。
このチームの特徴は、自分の執筆時間を確保しつつも、相互レビューにしっかり時間を投資したこと。
他のチームよりも、この部分に力を入れていたと思います。
Day3:追い込みと提出
最終日のタイムライン
- 10:00:執筆再開
- 〜15:00:締め切り!
- その後:審査準備、発表
朝10時から15時まで、約5時間の追い込み。
セルフレビューと仕上げ
Day3はセルフレビュー中心で、各自が自分のパートを磨き上げていきました。
校正、体裁の調整、細かい表現の修正…。
最後の最後まで手を入れて、15時に提出完了!
一冊の本としての一貫性
ここで一つ、このチームで意識していたことがあります。
個人が集まったチームって、「合同誌」になりがちなんですよね。
各自が自由なテーマで書いて、最後にまとめるスタイル。
でも私たちは、「有価証券報告書」という軸で一貫した一冊を作ることにこだわりました。
Day2の相互レビューも、この一貫性を保つためのもの。
結果的に、バラバラ感のない、まとまりのある本が完成しました。
審査発表・大賞受賞
発表を待つ心境
提出後、審査発表を待つ時間。
正直、それなりに良いものが書けた手応えはあったので、
「5つある賞のうち、どれか1つは取れてるかな〜」
くらいの気持ちでいました。
どんどん不安になる
しかし、1つ目、2つ目、3つ目と賞が発表されていく中で、私たちのチーム名は呼ばれない。
どんどん不安になっていきました。
4つ目の賞が発表された時には、
「今回はないのかな…」
と、少し残念な気持ちが出てきていました。
大賞発表の瞬間
そして、最後の大賞発表。
呼ばれたのは、私たちのチームでした。
……え?
一瞬、何が起きたかわからなかった。
驚きと嬉しさがこみ上げてきて、しばらく信じられませんでした。
初参加で、当日チーム結成で、大賞。
本当に取れるとは思っていなかった。
大賞を取れた要因(振り返り)
なぜ大賞を取れたのか、振り返ってみます。
審査員からのフィードバック
審査員の方からいただいたフィードバックで印象的だったのは、
「個人参加でニッチな分野にもかかわらず、合同誌スタイルではなく一冊の本として仕上げたこと。これがまさにBookathonというイベントを体現している」
という言葉でした。
私たちがこだわった「一貫性のある一冊」という点が、きちんと評価されたのだと思います。
要因①:3人がそれぞれ力を出し切った
各自の専門性を活かした分担で、全員が責任を持って担当パートを仕上げました。
- 鹿又さんがリーダーとしてチームを引っ張り
- 劉さんがビジネス×技術という難しい橋渡しを担当し
- 私が会計知識を活かして分析パートを担当
誰か一人に負担が偏ることなく、3人とも全力を出し切れたと思います。
要因②:目的の明確化(Day1のディスカッション)
最初に時間をかけて「誰のための、何のための本か」を話し合ったこと。
これが、迷った時に立ち返る軸になりました。
Day1のあの時間がなかったら、Day2で迷子になっていたかもしれません。
要因③:相互レビューへの時間投資
自分の執筆時間を削ってでも、相互レビューの時間を確保したこと。
これによって、
- 細かい部分の質を担保
- 一冊の本としての一貫性を維持
ができました。
印象的だったこと
振り返って、一番印象に残っているのは、やっぱりニッチなテーマで奇跡的にチームが組めたことです。
「有価証券報告書」なんて、正直かなりニッチなテーマ。
それなのに、各々が個人参加でイベント当日に集まって、関連する専門性を持つ3人がチームを組めた。
そして3日間で1冊の技術書を書き上げた。
この経験は、Bookathonならではのものだと思います。
おわりに
Bookathonに興味がある方へ
この記事を読んで、少しでも「面白そう」と思った方へ。
- 個人参加でも大丈夫です
- 当日チーム結成でも成果は出せます
- テーマが決まっていなくても、なんとかなります
「やってみたい」という気持ちがあれば、ぜひ挑戦してみてください。
3日間という短い期間だからこそ、濃密な体験ができます。
技術書典で販売予定
今回書き上げた技術書は、さらに編集を重ねて、4月の技術書典で販売予定です。
「エンジニアのための有価証券報告書の読み方」、気になる方はぜひ見に来てください!
謝辞
最後に、この場を借りてお礼を。
- チームメンバーの鹿又さん、劉さん
- 主催の「技術と本と猫」の皆様
- スポンサー企業の皆様
- 会場で交流した参加者の皆様
素敵な体験をありがとうございました!
