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【AI-DLC】AWSが提唱する「AI-DLC」とは?〜AIファーストの開発ライフサイクルを理解する〜

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Last updated at Posted at 2026-04-04

はじめに

2025年、AWSが「AI-DLC(AI-Driven Development Lifecycle、AI駆動開発ライフサイクル)」という新しい開発方法論を提唱しました。

この記事では、AI-DLCがどのような考え方なのかを整理し、従来のSDLC(ソフトウェア開発ライフサイクル)との違いを解説します。しばらくの間キャッチアップできていなかったので、自分の理解の整理もかねてまとめてみたいと思います。

AI-DLCとは何か

一言でいうと

「人間がAIに指示する」のではなく「AIが提案し、人間が承認・監督する」開発ライフサイクル

従来の開発では人間がAIに指示して実行させるという流れでしたが、AI-DLCではAIが先に計画を提案し、質問で文脈を確認しながら、人間がそれを承認した上で実装に進むという形になります。

何が変わるのか

大きなポイントは、従来のSDLCが「人間の作業速度」を前提に設計されていたのに対し、AI-DLCは「AIの速度・柔軟性」を前提に再設計されているという点です。これにより、人間の役割は「作業者」から「意思決定者・監督者」へと変わることになります。

従来のSDLCとの比較

観点 SDLC(Scrum等) AI-DLC
主導権 人間がAIに指示 AIが提案し人間が承認
人間の役割 作業者 意思決定者・監督者
AIの役割 ツール・補助 チームメイト・実行者
イテレーション単位 スプリント(1〜4週間) ボルト(数時間〜数日)
設計手法 チームが選択 AIがワークフローに応じた設計手法を推奨

特徴的なのは「ボルト(Bolt)」という新しい単位です。スプリントの代わりに使われる、数時間〜数日の超短期イテレーションで、AIが設計からテストまで一気通貫で提案するからこそ実現できる粒度になっています。

AI-DLCの3つのフェーズ

Phase 1: Inception(開始)

「何を/なぜ」作るかを決めるフェーズです。

このフェーズの中心になるのがモブエラボレーション(Mob Elaboration)という概念です。チーム全員がAIと対話しながら要件を固めていくプロセスで、AIはビジネス意図をヒアリングしながら明確化のための質問を投げかけ、最終的に詳細な要件・ユーザーストーリー・作業ユニットへと変換してくれます。成果物としては要件定義書、ユーザーストーリー、作業ユニット(Unit)一覧が生成されます。

AIが一方的に作るのではなく、質問→回答のやり取りで人間の意図を引き出していく点がポイントです。

おまけ(自分語り)

2025年6月末に以下のような記事を書いていました。やっていることはこれと同じようなイメージです。

Phase 2: Construction(構築)

AIが実装し、人間が監督するフェーズです。

このフェーズの中心になるのがモブコンストラクション(Mob Construction)で、AIが設計・実装・テストを主導します。論理アーキテクチャ・ドメインモデルの提案からコード・テストの生成まで行い、各ステップで人間の承認を得ながら進んでいきます。成果物はアーキテクチャ設計、実装コード、テストコードとなります。

人間は「承認ゲート」として機能するイメージです。AIの提案をレビューし、OKなら次へ進む、という形になります。

Phase 3: Operations(運用)

デプロイ後の継続的改善フェーズです。

AIがモニタリング・障害予測・フィードバック収集を支援し、具体的な改善提案やアラートを提示してくれます。人間がそれを承認・実行することで、次のボルトへのフィードバックループが形成されます。

なお、現時点ではこのフェーズはまだプレースホルダー的な位置づけのようで、OSSリポジトリでも実装はされていません。今後拡充されていくと思われます。

AI-DLC独自の用語

ここまでの流れを踏まえて、AI-DLCで使われる独自の用語を整理します。

用語 意味 従来のSDLCでの相当物
Intent(意図) プロジェクトの目的・ビジネスゴール 要件定義 / ビジネスゴール
Unit(ユニット) AIが分割した自己完結型の作業単位 フィーチャー / エピック
Bolt(ボルト) 数時間〜数日の最小実行ループ タスク / ストーリー
Mob Elaboration AIとチームで要件を固めるプランニング スプリントプランニング
Mob Construction AIが実装しチームが監督するプロセス スプリントの開発期間

OSSリポジトリを見てみる

AI-DLCの実体はOSSとして公開されています。

awslabs/aidlc-workflows

AI-DLCのワークフロールール一式が格納されているリポジトリです。構造としては以下のようになっています。

aidlc-rules/
├── aws-aidlc-rules/          # コアワークフロールール
└── aws-aidlc-rule-details/   # 詳細ルール
    ├── inception/             #   Inceptionフェーズ用
    ├── construction/          #   Constructionフェーズ用
    └── extensions/            #   拡張ルール

これらのルールファイルをプロジェクトに配置すると、AIコーディングエージェントがAI-DLCに従って動作するようになります。起動は Using AI-DLC, [プロジェクト説明] とプロンプトを送るだけというシンプルな設計になっています。

対応するAIコーディングツール

ツール 設定ファイルの場所
Kiro(AWS製AIエージェントIDE) .kiro/steering/
Amazon Q Developer .amazonq/rules/
Claude Code CLAUDE.md
Cursor .cursor/rules/
Cline .clinerules/
GitHub Copilot .github/copilot-instructions.md

特定のIDEに依存せず、ルールファイルを配置すればどのツールでも使えるのが嬉しいところです。中でもKiroが最もネイティブにサポートしているようです。

おわりに

以上、AWSが提唱するAI-DLCについて整理してみました。

「AIにどう指示するか」ではなく「AIの提案をどう監督するか」に発想を転換した開発方法論というのは、なかなか興味深い考え方だと思います。OSSとして公開されているので、Claude CodeやGitHub Copilotなど普段使っているツールでもすぐに試せるのは良いですね。

実際にAI-DLCを使ってChrome Extensionを開発してみましたので、今後そちらでの体験も記事にしたいと思います。

ありがとうございました。

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