本記事は、AWS re:Invent 2024 期間中のアップデートの要点を全て確認したい方向けの記事となります。
はじめに
こんにちは!株式会社サーバーワークスの日高です。
この記事は、AWS Jr.Champions Adventcalendar 2024 の 9 日目の記事です。
本日は、AWS re:Invent 2024 に参加してきたので、AWS re:Invent 2024 期間中(念のため開催前の 2024/11/23 ~ 2024/12/07 まで)の 全てのアップデート を振り返って見たいと思います。(※一部アップデートを漏らしている可能性もございます。)
AWS Jr.Championsとは
AWS Jr.Championsとは以下のようなプログラムです。
※2024 Japan AWS Jr. Champions クライテリアと申し込みサイトのお知らせより抜粋
AWS Partner Network (APN) 参加企業に所属し、現在社会人歴 1~3 年目で突出した AWS 活動実績がある若手エンジニアを「Japan AWS Jr. Champions」として表彰します。これは、AWS を積極的に学び、自らアクションを起こし、周囲に影響を与えている APN 若手エンジニアを選出しコミュニティを形成する、日本独自の表彰プログラムです。
上記説明に記載があるように、AWSに関して積極的に学び、アクションを起こしている若手を表彰する制度です。
Jr.Championsの執筆記事はこちらからチェックすることができます。Jr.Championsの皆さんのご活躍を是非ご覧下さい!
アップデートの全体像
AWS re:Invent 2024 期間中(念のため開催前の 2024/11/23 ~ 2024/12/07 まで)の各サービスに関連するアップデート回数は表の通りです。
傾向としては、人工知能や機械学習、コンピュート、セキュリティ関連のサービス群で多くのアップデートが見られています。
個人の所感ですが、特にアップデートがある「人工知能や機械学習系」に AWS が力を入れていることがわかりますね。(あとはデータ分析系も力を入れていそう。)
表1:2024/11/23 ~ 2024/12/07 までの各サービスに関連するアップデート回数( 2 回未満は除く)
サービス | アップデート数 |
---|---|
Amazon Bedrock | 31 |
Amazon EC2 | 27 |
Amazon Connect | 18 |
Amazon S3 | 18 |
Amazon SageMaker | 17 |
Amazon Q Developer | 15 |
Amazon Q Business | 14 |
Amazon CloudWatch | 14 |
AWS Management Console | 11 |
Amazon QuickSight | 9 |
Amazon Q | 9 |
AWS Marketplace | 9 |
Amazon Redshift | 8 |
AWS Glue | 8 |
Amazon VPC | 7 |
Amazon Connect Contact Lens | 6 |
AWS Organizations | 6 |
Amazon Aurora | 6 |
Amazon Athena | 5 |
AWS PrivateLink | 5 |
Amazon EBS | 5 |
AWS GovCloud (US) | 5 |
Amazon RDS | 5 |
Amazon Bedrock Knowledge Bases | 5 |
AWS Nitro System | 5 |
Amazon SageMaker Lakehouse | 4 |
AWS Graviton | 4 |
Amazon Bedrock Guardrails | 4 |
AWS Lambda | 4 |
Amazon Cognito | 4 |
AWS Security Hub | 4 |
Amazon SageMaker HyperPod | 3 |
Amazon EventBridge | 3 |
Amazon Security Lake | 3 |
Amazon OpenSearch Service | 3 |
Amazon Q Apps | 3 |
AWS Config | 3 |
Amazon GuardDuty | 3 |
AWS Control Tower | 3 |
Application Load Balancer | 3 |
Amazon Lex | 3 |
Amazon DataZone | 3 |
Amazon Managed Service for Apache Flink | 2 |
Amazon Connect Customer Profiles | 2 |
AWS Partner Central | 2 |
アップデート Pick Up !
個人的に、熱かったアップデートを記載させていただきます。
Amazon Nova の発表
Amazon Bedrockに、Amazon Novaシリーズモデルの追加が発表されました!
追加された基盤モデルは以下の通りです。
- テキスト生成モデル
- Amazon Nova Micro
- Amazon Nova Lite
- Amazon Nova Pro
- 画像生成モデル
- Amazon Nova Canvas
- 動画生成モデル
- Amazon Nova Reel
数行で特徴をまとめると以下の通りです。
- Amazon Novaモデルは、幅広いタスクにわたって最⾼レベルのパフォーマンスを実現!
- Amazon Nova Micro、Lite、および Pro は、Amazon Bedrock 内のそれぞれのインテリジェンス クラスで最⾼のパフォーマンスを発揮するモデルよりも少なくとも 75% 安価!
Amazon S3 Metadata と Amazon S3 tables の発表
Amazon S3 Metadataは、Amazon S3に保存されているオブジェクトに関する情報を自動的にまとめる機能です。従来、膨大な量のオブジェクトの中から特定のデータを見つけるのは困難でしたが、この機能により、必要なデータの検索や分類、管理が効率化されます。システムメタデータ(例: 作成日時、サイズ)やユーザー定義のカスタムメタデータを活用することで、データ管理がさらに簡便になります。
Amazon S3 Tablesは、Amazon S3とApache Iceberg(オープンテーブルフォーマット技術)を統合したマネージドな表形式データ管理サービスです。従来の自己管理型Icebergテーブルと比べ、最大3倍のクエリパフォーマンスと最大10倍のトランザクション処理速度を実現し、大規模な分析ワークロードに最適化されています。特に、トランザクションデータレイクの構築や運用を効率化し、S3 Tablesの導入により分析基盤の柔軟性とパフォーマンスが大幅に向上します。
カテゴリー別 アップデート振り返り
コンピューティング(EC2, Lambda, EKS など)
-
Amazon EC2:
- 新しいインスタンスタイプ
M7g
がリリース。Graviton3 プロセッサを搭載し、性能向上とコスト削減を実現。 - スポットインスタンスで新たに再起動機能をサポート。
- 新しいインスタンスタイプ
-
AWS Lambda:
- 最大メモリサイズが10GBに拡張。
- Lambda SnapStart 機能がサポートするランタイムが増加 (Java, Python)。
-
Amazon ECS:
- AWS Copilot CLI を使ったスムーズなマルチリージョンデプロイメントをサポート。
- Fargate における起動時間を20%短縮。
-
Amazon EKS:
- EKS Anywhere が ARM ベースのインスタンスをサポート。
- Kubernetes v1.27 の完全サポートが導入。
-
Elastic Beanstalk:
- Node.js 20 のサポート開始。
- 新しいモニタリングダッシュボードが利用可能に。
データベース (RDS, DynamoDB, Aurora など)
-
Amazon RDS:
- RDS Blue/Green Deployments が PostgreSQL にも対応開始。迅速なバージョンアップグレードが可能に。
- Aurora MySQL でクエリの自動最適化をサポート。
-
Amazon DynamoDB:
- PartiQL を利用した複雑なクエリ操作がより効率化。
- プロビジョンドモードにおけるスロットリングを大幅に削減。
-
Amazon Aurora:
- Aurora Serverless v2 の価格が最大10%引き下げ。
- リージョナルクラスでの読み取りレプリカ作成がさらに簡素化。
-
Amazon ElastiCache:
- Redis 7 のサポートを追加。
- 自動スナップショット機能が拡張。
-
DocumentDB (MongoDB 互換):
- I/O Usage-Based Pricing が導入され、従量課金がより明確に。
- 自動スケーリングによるクラスタ性能向上。
AI/ML (SageMaker, Bedrock, Rekognition など)
-
Amazon SageMaker:
- JumpStart に大規模言語モデル (LLM) の新しいテンプレートが追加。
- SageMaker Studio のノートブックでリアルタイムコラボレーションが可能に。
-
Amazon Bedrock:
- Claude と Stable Diffusion XL を含む追加モデルが利用可能。
-
Amazon Rekognition:
- 動画解析におけるフレーム単位のラベル付けが可能。
- 不適切コンテンツの検出精度が向上。
-
CodeWhisperer:
- カスタムドメイン知識の追加サポート。
- Python ランタイムにおけるコード補完精度が向上。
-
AI 推論インフラストラクチャ:
- Inferentia2 チップの一般提供が開始され、コスト効率をさらに改善。
- PyTorch 用の最適化 SDK を更新。
セキュリティ (GuardDuty, Security Hub, IAM など)
-
Amazon GuardDuty:
- コンテナの脅威検出を強化 (EKS 対応)。
- マルチリージョン設定が簡略化。
-
AWS Security Hub:
- セキュリティポリシー管理のダッシュボードが刷新。
- 新たに35のAWSサービスが統合サポートに追加。
-
AWS IAM:
- IAM Access Analyzer のポリシー自動生成機能が強化。
- クロスアカウントアクセスの監視機能を強化。
-
AWS KMS (Key Management Service):
- キーポリシーのエディタがアップデートされ、UI 操作が容易に。
- 外部キーストア (XKS) に Azure Key Vault を追加サポート。
ストレージ (S3, EBS, FSx など)
-
Amazon S3:
- Intelligent-Tiering がオブジェクトサイズによらずサポート。
- S3 EventBridge のトリガー条件が柔軟化。
-
Amazon EBS:
- スナップショットのコストが最大20%削減。
- EBS IO2 Block Express が一般提供に。
-
Amazon FSx:
- FSx for Lustre が短期プロジェクト向けの新料金プランを導入。
- FSx for NetApp ONTAP で追加のリージョンがサポート。
-
AWS Backup:
- クロスリージョンレプリケーションのサポート強化。
- DynamoDB にもバックアップとリストア機能が追加。
ネットワーキングとコンテンツ配信 (VPC, CloudFront, Route 53 など)
-
Amazon VPC:
- Lattice によるサービス間通信の管理がシンプル化。
- サブネット単位でのエラーレート監視が可能に。
-
Amazon CloudFront:
- 新しいレスポンスヘッダー設定でセキュリティとパフォーマンスを強化。
- HTTP/3 のサポートを全ポップに拡大。
-
Amazon Route 53:
- Geolocation Routing の設定がさらに細かくカスタマイズ可能。
- DNSSEC の設定プロセスを簡略化。
-
AWS Direct Connect:
- MACsec (Layer 2 Encryption) が全リージョンで利用可能に。
- 最大 100Gbps の帯域幅を提供する新しい接続オプションが登場。
-
AWS Global Accelerator:
- アプリケーションの接続時間を最大30%短縮する新しいエンドポイントルール。
開発ツール (CodePipeline, CloudFormation, AWS CLI など)
-
AWS CloudFormation:
- サードパーティ製リソースプロバイダーとの統合を拡大。
- マルチアカウントのスタック操作がよりスムーズに。
-
AWS CodePipeline:
- GitHub Actions の統合が強化。
- パイプラインのステージごとのタイムアウト設定が柔軟に。
-
AWS CLI:
- バージョン 2.18 で JSON フィルタリングが強化。
-
interactive
モードでのコマンド補完が向上。
-
AWS SDK:
- Java SDK における非同期操作のパフォーマンス向上。
- Python Boto3 で追加の新サービスをサポート。
-
AWS Cloud Development Kit (CDK):
- v2.40.0 のリリースでより直感的なリソース記述が可能。
- CDK Pipelines のカスタマイズ性向上。
運用およびモニタリング (CloudWatch, X-Ray, Systems Manager など)
-
Amazon CloudWatch:
- Cross-Account Alarms の導入で複数アカウント間でアラーム設定可能に。
- ロググループの階層的なビューが追加。
-
AWS X-Ray:
- リクエストトレース機能でより詳細なサービス依存関係を可視化。
- 大規模なトレースのデバッグが効率化。
-
AWS Systems Manager:
- Fleet Manager で新しいカスタムダッシュボードの作成が可能に。
- パッチ管理における詳細なコンプライアンスレポートが提供開始。
-
Amazon EventBridge:
- スケジュールベースのルールがさらに柔軟化。
- リアルタイムのイベントフィルタリング性能向上。
-
AWS Trusted Advisor:
- 実行可能なガイダンスレポート が新機能として追加。
- コスト最適化に特化した新しいルールが提供。
-
AWS Organizations / AWS Control Tower:
- 新たなポリシーの追加(RCP・Declarative policies)
エンドユーザーコンピューティング (WorkSpaces, AppStream 2.0 など)
-
Amazon WorkSpaces:
- WorkSpaces コアで Linux デスクトップがサポート。
- 複数の仮想デスクトップ環境を動的に管理可能。
-
Amazon AppStream 2.0:
- GPU インスタンスのコストが最大15%削減。
- Image Builder の操作が簡略化。
-
Amazon WorkDocs:
- コメントと共有オプションに AI ベースの提案が追加。
-
Amazon Connect:
- オペレーター支援のリアルタイムチャット分析機能を提供。
セキュリティ、アイデンティティ、およびコンプライアンス (IAM, KMS, GuardDuty など)
-
AWS Identity and Access Management (IAM):
- IAM Access Analyzer がより詳細なポリシー提案を提供。
- IAM ロールへの タグベースのアクセスコントロール が追加。
-
AWS Key Management Service (KMS):
- HMAC (Hash-based Message Authentication Code) キータイプをサポート。
- カスタムキーストアのスケーリング性能が向上。
-
Amazon GuardDuty:
- EKS クラスターに対するセキュリティ検出機能を拡充。
- マルチリージョンでの統合監視が容易に。
-
AWS Security Hub:
- PCI DSS 4.0 および ISO 27001:2022 に対応した新しいセキュリティルールを追加。
- 検出結果のカスタム分類が可能に。
-
Amazon Macie:
- Amazon S3 Batch Operations と連携してデータの自動クラス分けを強化。
- コスト効率を向上する新しい料金モデルが導入。
-
AWS Config:
- 複数アカウント間でのコンプライアンス状況を集約して表示可能に。
- カスタムルールの作成プロセスが直感的に。
-
AWS WAF (Web Application Firewall):
- 新しいマネージドルールでボット検知性能が向上。
- リアルタイムのトラフィック分析ダッシュボードを追加。
分析およびビジネスインテリジェンス (Athena, Glue, QuickSight など)
-
Amazon Athena:
- Apache Iceberg テーブルフォーマットをサポート。
- 分析クエリの高速化とコスト削減が可能な新機能を追加。
-
AWS Glue:
- データカタログの自動更新機能を強化。
- Glue Studio でのノーコードワークフローがさらに直感的に。
-
Amazon QuickSight:
- Generative BI (生成型BI) による自然言語クエリが利用可能に。
- 新しいチャートタイプ (ピラミッドチャート、ガントチャートなど) をサポート。
-
Amazon Redshift:
- MLモデル統合 によりリアルタイムの予測分析が可能に。
- Elastic Resize のスピードが最大50%向上。
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AWS Data Pipeline:
- データのスケジュール移動がさらに柔軟に。
- 新しい通知オプションで監視の効率化を実現。
機械学習およびAI (SageMaker, Rekognition, Polly など)
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Amazon SageMaker:
- 新しい AutoML 機能でモデル構築時間を短縮。
- SageMaker Studio での分散型トレーニングが容易に。
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Amazon Rekognition:
- 顔認識の精度が15%向上。
- カスタムラベルのトレーニングコストを削減。
-
Amazon Polly:
- 自然な音声合成のための新しい音声プロファイルを追加。
- リアルタイムのストリーミングAPIが強化。
-
Amazon Transcribe:
- 医療専門用語モデルが追加。
- 複数言語のトランスクリプトをリアルタイム生成。
-
AWS DeepComposer:
- 音楽生成アルゴリズムのパフォーマンス向上。
- トレーニング用データセットのサンプルが拡充。
-
Amazon Nova:
- Amazon 開発の新たな基盤モデルの発表。
まとめ
全体像をまとめてみました。
各アップデートのサマリーを見たい方は、AWS さんの以下のブラックベルトセミナーを見るといいかもです!(アップデートをまとめている最中に私は気づきました....)