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HRBrainAdvent Calendar 2024

Day 18

「組織再社会化」で考えるチームオンボーディング

Last updated at Posted at 2024-12-18

はじめに

アドベントカレンダー18日目の記事となります。

はじめまして。プロダクトマネージャーやってますタナカと申します。
最近、健康のためにランニングを趣味にしようと意気込んでいたのですが、運動と関係のない日常生活の中で足を捻挫し、3kgほど太ってしまいました。何事もスタートって肝心ですよね。

スタートといえば、組織において社員がスタートダッシュをうまく切るにはオンボーディングは非常に重要です。
そこで自分が所属する開発チームでの新メンバーオンボーディングに対する取り組みを記事にしたいと思います。

開発チームが抱えていた課題

前提として、弊社はプロダクトごとに開発チームが構成されています。
私が所属する開発チームが扱うプロダクトは、祖業プロダクトとして5年以上の歴史があり、特異なドメイン情報もあり、チーム独自でキャッチアップするものも多く、新しく加わるメンバー(特にエンジニア)は立ち上がるのが難しい、どうしても時間を要するという問題がありました。

既存メンバーも日々対応すべきことが多く手厚めにオンボーディングができず、また新メンバーも何がわからないのかもわからない状態で情報を獲得しにいく必要があり、組織としてスケールしづらい課題がありました。かなり新メンバーに負担を強いていたのも事実です。

この課題感の大きさについて、プロダクトマネージャー・エンジニア間で共通認識が揃うタイミングがあり、本腰を入れてオンボーディングコンテンツを揃えることを決心しました。

実際に手を動かしてくれたのはエンジニアです。感謝。

コンテンツ作成当時に、これから紹介する組織再社会化を強く意識してコンテンツを用意していたわけではないですが結果的に紐づきがあると思えるものになっているので、参考として紹介できればと思います。

組織再社会化とは

そもそも組織再社会化とは以下のように言われています。

組織研究において、組織に新しく参入した個人がその成員となるために、組織の価値観や規範を受け入れ、職務遂行に必要な技能を獲得し、組織の人間関係に適応していく過程を組織社会化といいます。これに対し「組織再社会化」とは、すでにある組織の一員として組織社会化され仕事を行ってきた人が、転職などの組織間移動によって別の組織に参入した際に“再び社会化される”ことを指す用語です。中途採用者はこの組織再社会化のプロセスにおいて、前職で達成した課題や獲得した態度を、場合によっては白紙に戻し、その上で移動先の組織が求める課題の達成や態度の修得を目指すことになります。
出展:日本の人事部(https://jinjibu.jp/keyword/detl/544/)

つまり、新しい組織でパフォーマンスを発揮するためには、その組織での動き方を習得する必要があるということです。

その組織再社会化のプロセスにおいて、以下の課題に直面すると言われています。

  • 「人脈学習課題」
    • 業務を円滑に回すために必要な組織内の"人脈"を獲得すること
  • 「学習棄却課題」
    • 以前の組織で学んだ知識やスキル、経験を必要に応じてアンラーン(学習棄却)すること
  • 「評価基準・役割学習課題」
    • 新しい職場で何を期待されているのか、何をすれば評価されるのかなどを自らリサーチすること
  • 「スキル課題」
    • 移動先の組織で業務に必要な知識やスキルを身につけること

出典:中原淳著『経営学習論』(日本の人事部(https://jinjibu.jp/keyword/detl/544/))

弊社の取り組みの一部を紹介

実際のオンボーディングに関する成果物には私の功績はなく、チームのエンジニアが苦労して整えてくれたものになります。
それぞれのコンテンツがどの課題に寄与しているか?の接続性を示しながら、エンジニアのアウトプットの功績を紹介するスタンスで書かせていただきます。

  • 「人脈学習課題」
    • チームリーダー(PdM、テックリード)とのWelcome 1on1の設定
    • ニュージョインメンバー1on1:チーム外のPdMやテックリードなどとのカジュアルな1on1を「ニュージョインメンバー1on1」と称して、オンボーディングプロセスに組み込まれています。人事との連携によって開発組織として施策化されています。
    • チームとしてのコミュニケーションの可視化
      • 入社直後は話しやすい環境づくりとしてボイスチャットツールに常駐してもらっていたりします。
        コミュニケーション施策の例

これもチームのエンジニアが作ってくれた成果物

  • 「学習棄却課題」
    • アンラーニングを強烈に促すイベントはないですが、各コンテンツやコミュニケーション施策を通して、アンラーニングを促しているのではないかと思います。
  • 「評価基準・役割学習課題」
    • RACIチャート:プロダクトマネージャー、デザイナー、テックリード、エンジニア、QAなど、開発チームの職能の役割をRACIチャートとしてまとめています。
    • 自社プロダクトを使った目標設定:いつくらいの頃にはこんな状態を目指したいね、というお互いの期待値を揃える努力をしています。 
  • 「スキル課題」
    • 業務に必要な作業の手順を文書化:開発環境構築、お問い合わせ対応、リリース手順など、開発を進める上で必要な作業手順を文書化しています。
    • ドメイン勉強会の動画:開発チームで取り扱う特有のドメイン知識(例:人事評価制度について)について、PdMが話しているものを動画コンテンツにしています
    • Good First Issueのアサイン:まずはじめに取り組みやすそうなタスクをGood First Issueチケットとして蓄積しており、新メンバーにはそのタスクを通してプロダクト理解を深めていってもらっています。

また、「オンボーディングは自分たちで育てていく」というコンセプトのもと、オンボーディングを終えたメンバーへフィードバックをもらうことも欠かさず実施してくれています。

以上、一部の取り組みのご紹介でした。

※何度もいいますが私の手柄ではなく、チームのエンジニアの努力の結晶です。

やってみてどうなった?

立ち上がりはかなり早くなったと思います。以前はキャッチアップや開発タスクの着手に1ヶ月以上かかることもありましたが、1ヶ月のうちに開発タスクに着手できるようになりました。優秀なメンバーが加わってくれたことも理由として大きいですが、「ここまで丁寧にオンボーディングコンテンツがあってびっくりした」という声ももらえています。

組織再社会化に伴う課題に対してアプローチできていると、一定評価できると受け取っております。

今後は、新しいメンバーが持つバリューやカルチャーをうまく取り入れ、さらに優れたチームにしていくための「カルチャーアッド」を意図的に取り組んでいくなどもトライしていってみたいです。

最後に

自分たちのチームの人事課題を主体的に捉えらて行動できるのは、HRの会社だからこその強みなのではないかと感じています。

そんな自慢の開発チームでぜひ日本の働く常識を変えていきませんか?

まずはカジュアルにお話しましょう!

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