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イーサリアム開発を加速するフレームワーク「Hardhat」とは?特徴から始め方まで徹底解説

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ブロックチェーン上で動作するアプリケーション(DApps)やスマートコントラクトの開発は、その不変性や複雑さから、特有の難しさを伴います。コードのコンパイル、テスト、そしてブロックチェーンネットワークへのデプロイという一連のプロセスを、効率的かつ安全に進めるためには、優れた開発ツールの存在が不可欠です。

現在、イーサリアム開発の現場で最も広く利用されているフレームワークの一つが「Hardhat」です。この記事では、なぜ多くの開発者がHardhatを選ぶのか、その強力な機能とメリット、そして基本的な使い方について詳しく解説します。


Hardhatとは?

Hardhatは、イーサリアムのスマートコントラクト開発をプロフェッショナルなレベルで支援するために設計された統合開発環境です。開発プロセスにおける、

  • コンパイル:Solidityで書かれたコードをEVM(イーサリアム仮想マシン)が実行できる形式に変換する
  • テスト:コードが意図通りに動作するかを自動で検証する
  • デプロイ:完成したスマートコントラクトをブロックチェーンネットワーク上に展開する
  • デバッグ:コードのエラーや問題を特定し、修正する

といった一連のタスクを、簡単かつ効率的に行うための機能を提供します。
Hardhatは Nomic Foundation によって開発され、活発なコミュニティと豊富なドキュメントに支えられています。


Hardhatが開発者に選ばれる理由:主な特徴とメリット

HardhatがTruffleなどの他のフレームワークと比較して特に優れている点は、その柔軟性と開発者体験の高さにあります。

1. 強力なデバッグ機能「Hardhat Network」

Hardhatの最大の特徴は、ローカル環境でイーサリアムネットワークをシミュレートする「Hardhat Network」を内蔵している点です。これにより、開発者は実際のネットワークに接続することなく、迅速にテストやデバッグを行うことができます。

特に画期的なのが、Solidityのコード内で console.log が使えることです。JavaScript開発者にはお馴染みのこの機能により、スマートコントラクトの実行中に変数の値や状態を簡単に出力でき、デバッグの効率が劇的に向上します。

また、トランザクションが失敗した際には、詳細なスタックトレース(エラーが発生するまでの処理の流れ)が表示されるため、問題の原因特定が非常に容易です。


2. 柔軟なプラグインエコシステム

Hardhatはコア機能を最小限に保ちつつ、プラグインを追加することで機能を自由に拡張できる設計になっています。公式やコミュニティによって開発された豊富なプラグインが存在し、例えば以下のような機能を追加できます。

  • @nomicfoundation/hardhat-toolbox:
    ethers.js(イーサリアム操作ライブラリ)やChai(テストフレームワーク)など、開発に必須のツールをまとめて導入できる推奨プラグインセット。

  • @nomicfoundation/hardhat-verify:
    デプロイしたコントラクトのソースコードを、Etherscanなどのブロックエクスプローラー上で自動的に認証するプラグイン。

  • hardhat-gas-reporter:
    テスト実行時に各関数のガス消費量を計測し、レポートしてくれるプラグイン。

これにより、プロジェクトの要件に合わせて開発環境を最適化することが可能です。


3. TypeScriptへの完全対応

HardhatはTypeScriptを標準でサポートしており、型安全なスマートコントラクト開発を実現します。テストコードやデプロイスクリプトをTypeScriptで記述することで、コンパイル前にエラーを発見しやすくなり、コードの品質と堅牢性を高めることができます。


Hardhatのセットアップと基本的な使い方

Hardhatを始めるのは非常に簡単です。Node.jsがインストールされている環境であれば、数分で開発をスタートできます。

プロジェクトの初期化

mkdir my-hardhat-project
cd my-hardhat-project
npm init -y
npm install --save-dev hardhat

プロジェクトの作成

npx hardhat

What do you want to do?(何をしますか?) と尋ねられるので、
「Create a TypeScript project」を選択し、基本的にデフォルト設定で進めます。

これにより、以下のような基本的なディレクトリ構造が生成されます。

contracts/ : スマートコントラクトのソースファイル(.sol)

scripts/ : デプロイ用のスクリプトファイル(.ts)

test/ : テストコード(.ts)

hardhat.config.ts : Hardhatの設定ファイル


スマートコントラクトのコンパイル

npx hardhat compile

成功すると、artifacts/ ディレクトリが生成され、ABIやバイトコードが格納されます。


テストの実行

npx hardhat test

Hardhatは test/ ディレクトリ内のテストファイルを自動的に検出し、Hardhat Network上で実行します。


ネットワークへのデプロイ

scripts/ ディレクトリ内のデプロイスクリプトを実行して、スマートコントラクトをデプロイします。

ローカルのHardhat Networkにデプロイ

npx hardhat run scripts/deploy.ts --network localhost

Sepoliaテストネットにデプロイ(設定が必要)

npx hardhat run scripts/deploy.ts --network sepolia
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