津波避難マップ( https://tsunami-hinan.it-study.jp )という、全国対応・無料・登録不要のWebアプリを作っています。
機能はいくつかありますが、このアプリで一番大切にしているのはたった一つです。
今いる場所から、最寄りの避難場所・浸水想定区域の外へ向かう「ルート」が、一瞬でわかること。
なぜここに全力なのか、そしてどう実現しているのかを書きます。
ハザードマップを「見たことがある」だけでは、いざという時に動けない
津波防災というと、まずハザードマップが思い浮かびます。とても重要な情報です。
でも、実際に強い揺れが来たその瞬間に必要なのは、もう一段「自分ごと」になった情報です。
- 私が今いるこの場所は、浸水するのか?
- どの避難場所が一番近いのか?
- そこへはどの道を通ればいいのか?
- その道は、浸水しそうな場所や川・海に向かっていないか?
ハザードマップを眺めて覚えておくことと、「いま、ここから、この道で」を即座に判断することの間には、大きな隔たりがあります。津波避難は数分が生死を分けるため、この隔たりを埋めることがそのまま命を守ることにつながります。
このアプリがやっていること:現在地→避難の「ルート」を即表示
津波避難マップは、開いてすぐ、現在地(GPS)から動き出せます。住所入力や地図タップでもOK。そして次を一度に出します。
1. 最寄りの避難場所への徒歩・車ルート
全国の指定緊急避難場所・津波避難ビルのデータをもとに、現在地から近い避難場所へのルートを地図に描きます(経路計算はOSRM)。距離と所要時間の目安も表示します。
2. 「浸水想定区域の外」へ出るルート
近くに指定避難所が無い場所もあります。そこで、現在地から浸水想定区域の外側へ最短で出る方向を探索し、「浸水域外への脱出」ルートとして候補に加えます。**「遠くより高く・とにかく域外へ」**を地図で示します。
3. 安全な順に複数候補
候補は1つではなく、安全性を加味したスコア順に並べます。
- 経路が浸水想定区域をどれだけ通るか(通過が少ないほど良い)
- 目的地が浸水域の外か、または垂直避難できる建物か
「ただ近い」ではなく「より安全に着ける」候補を上に出すのが狙いです。
こだわり:川・湖・海に向かう“非現実的なルート”を出さない
ここが地味ですが重要なポイントです。
浸水想定のデータは、川や湖などの水域が「対象外(穴)」になっています。素直に実装すると、「浸水域の外」を探した結果が川の中や海になってしまうことがあります。当然、そこへは逃げられません。
そこで2段構えで対策しています。
- ポリゴンの穴を埋める:川・湖・池を浸水域に取り込み、脱出探索がそこで止まらないようにする(水域=危険として扱う、安全側の判断)。
- 道路に出られるか検証する:脱出地点が道路から離れすぎている(=海や大きな川)の場合は候補から除外し、道路上にスナップする。
結果として、実際に人が歩ける・進めるルートだけを提案します。
通信が切れても動く(オフライン対応)
災害時は通信が不安定になります。本アプリはPWAなので、一度ホーム画面に追加して開いておけば、地図やデータをオフラインでも表示できます。停電・輻輳への備えとして、平時に一度開いておくことを強くおすすめします。
あわせて、
- 津波浸水想定区域の地図表示
- 気象庁の津波警報・注意報のリアルタイム表示
- 日本語/英語/中国語(旅行者にも)
にも対応しています。
使い方は3ステップ
- アプリを開く(現在地を自動取得。だめなら住所入力・地図タップ)
- 表示された避難先候補から選ぶ(安全な順に最大3つ)
- ルートに沿って、より高い場所・域外へ避難
大切なお願いと注意
本アプリの情報は参考情報です。データには更新の遅れや誤差が含まれることがあります。実際の避難は、自治体の指示・ハザードマップ等の公式情報に従ってください。
そのうえで——
「自分の今いる場所から、どこへ、どの道で逃げるか」を、平時に一度確認しておく。
それだけで、いざという時の数分が変わります。よければ一度開いて、ご自宅・職場・よく行く海辺で試してみてください。そして、ご家族や地域にも共有してもらえたら嬉しいです。
👉 津波避難マップ(無料・登録不要): https://tsunami-hinan.it-study.jp