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応用情報技術者 文系1ヶ月ギリギリ合格法

Last updated at Posted at 2020-08-08

はじめに

筆者は、締め切り効果で頑張るタイプなので、申し込んでから1ヶ月半前になるまで全然対策してませんでした。それでも案外受かっちゃったので、その時の体験をもとに書いてます。

【合格までの経歴】

大学で経済学部をギリギリ卒業後、IT会社に入社。4月に基本情報を受けるも見事撃沈。(午後試験で3点足らず、非常に悔しかったです)
基礎研修を終えたあとは、インフラ運用オペレータを1年弱経験し、2019年度春、応用情報技術者試験に合格しました。

対象とする人

以下の条件に当てはまる人に向いていると思います

  • 基本情報技術者合格程度の知識がある人
  • 残り期間短いけど応用情報技術者を取りたいと考えている人
  • 受験テクニックに抵抗がない人
  • 週に12 ~ 20時間程度勉強できる人

そもそも応用情報ってどんな試験?

「敵を知り、己を知れば百選危からず」

ことわざの通り、試験の性質を最初に知っておくことはとても大事です。

ざっくりと

  • 出題範囲:基本情報と同様に、情報処理を幅広く横断的にあつかう試験です。いわゆるITエンジニアにとっての基礎科目・教養科目にあたる知識を扱います。
    例:コンピュータ科学、ソフトウェア開発に関する知識、開発・運用の業務、IT戦略 など

  • 有効な対策:きわめて有効なのは過去問対策です。午前問題は使い回しあり、午後問題は類似テーマでの出題が多く見られます。


試験形式

  • 試験時間:昼休み1時間を挟んで、午前・午後で各150分ずつ行われます。
  • 合格点:午前・午後それぞれ60点以上
  • 午前:マークシート択一式問題(4択、全80問)
  • 午後:記述式問題(全11問から必須問題1、選択問題4)
  • 合格率:毎年25%前後で推移しているので、午後問題はおそらく得点調整が行われています。ギリギリ落ちそうでも運良く受かる人が結構います。(逆もまた然りですが……)

最初のストラテジー

応用情報技術者試験の勉強を始める前に、まず戦略を立てましょう。
ここがいわゆる受験勉強というプロジェクトの最上流にあたります。手を動かす前にしっかり要件を確認しましょう。

心構え

1ヶ月とはいえ、継続して試験対策を走りきらなければいけません。そのための心構えを持ちましょう。

  • モチベーション確認:毎日唱えるスローガンを決めましょう。
    「高度試験の午前免除がほしい」、「報奨金で焼肉と寿司食いたい」、「なんかカッコいい」、「同期に負けたくない」... なんでもいいので唱えましょう

  • 雑音は振り切る:「実務じゃ役に立たない」など聞こえてくるかもしれませんが振り切りましょう。いわゆるIT教養的な知識と、概要を説明できる国語力が身につくので、得られる能力には汎用性があります。何かを資格勉強でも、何もしないより遥かに価値があります。

参考書選び

  • 午後対策:itecの応用情報技術者 午後問題の重点対策を推薦します。
    午後の過去問を科目別に5〜6問程度ピックアップしていて、最低限の労力で午後問題で出るようなテーマは大体カバーできます。

    https://amzn.to/2XzSDnF

  • 午前対策:過去問道場というWebサービスを利用しました。直近10年分ぐらいに絞って、電車などスキマ時間にひたすら解きまくるといいと思います。平均7〜8割行けば十分です。
    (私は面倒臭かったので最後の3日だけやりました。)
    https://www.ap-siken.com/apkakomon.php

  • その他:知らない用語などが出てきたら、ググる他、「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典がおすすめです。
    https://wa3.i-3-i.info/

【全体の方針】

  • 7割取れば◎:満点を目指すと途方もない労力が必要です。6割越えれば十分です。さらに言えば、自分の実力では5割半でも、運で+1割ぐらい取れたりします。
  • 午後対策重視:午前問題は基本情報とあまり変わらないので、重たくなる午後対策を重視しましょう。
  • 科目決めは特効薬:午後対策は科目決めが大事です。実際に解くのは大問5つなので、6科目ほど決めましょう。
  • 問題演習ドリブン:基本的に、問題演習に絞ってやっておきましょう。

出題範囲はあくまでも基本情報の延長なので、解いていて分からなかったところだけググるなどすれば良いでしょう。

タクティクス

午後試験の科目選択

応用情報の一番の壁は、午後試験です。

基本情報と違い、記述式でやや重ためです。全科目対策したら、1ヶ月では間に合いません。
対策する科目をあらかじめ絞り込むことが攻略のキモですので、そのための方針を知りましょう。

  • 短期決戦:科目決めの段階で、必要勉強量を最小限にする選択を心がけましょう。細かくいえば、各分野の実務経験や学習歴があるものを最優先とし、それ以外を国語力系や短期向けの知識系で埋めていくことをお勧めします。

  • 午後試験の三分類:おおむね、以下のような国語力系、知識系、計算系に分かれます。

大分類
国語系 問題文の論理構造がわかれば、文中の専門用語の理解がやや曖昧でも、半分近くの得点可能な科目。ただし出題テーマが広く、試験回によって難易度が上下しやすい傾向にある
知識系 出題される用語や仕組みをそれなりに理解していないと解けない科目。国語系よりも勉強時間がかかるが、範囲が特定されていることが多く安定させやすい。
計算系 処理時間や工数見積もりなど、具体的な数値の解答を求める科目。中学数学レベルでも解け、計算速度もよほど遅くなければ対応できたりするので、意外と狙い目。
大問 傾向 短期向きか
1 情報セキュリティ(必須) 国語力系。避けられないので必ず対策しましょう。あと会社で一般的なセキュリティ講習を受けている人は、その感覚を大事にしましょう。 -
2 経営戦略 国語力系。経済・経営系やコンサル出身は有利だが出題範囲広め
3 プログラミング いわゆるアルゴリズム。知識系かつ得手不得手が分かれやすい。情報系卒、プログラマーは有利かも ×
4 システムアーキテクチャ 午前問題と重複する内容多め。計算問題が得意ならおすすめ
5 ネットワーク 知識系。未経験者には馴染みが薄いが、それでも学習範囲は狭めでおすすめ。
6 データベース 知識系・国語力系半々。SQL文など、開発またはDB管理の経験者には易し目だと思う
7 組込みシステム開発 こうみえて国語系・計算系問題。馴染みのない用語があっても意外と解ける。
8 情報システム開発 国語系かつ図面を読む問題多め。
9 プロジェクトマネジメント 意外と知識系。もちろん国語力も問われる
10 サービスマネジメント 国語力系。運用経験者には「常識問題」が多く解きやすい
11 システム監査 国語力でかなり解ける。どの職種の人でも、いわゆるコンプライアンス意識が強い人には有利。

具体例

私のケースで、「実務経験」「学習歴」を分析したところ、
「経済学部卒でインフラ運用をやっていた(当時)」ので、インフラや運用、経営系の知識が生かせるものを選び、それ以外を国語力系で勝負する方針となりました。

  • 経験分野:ネットワーク、サービスマネジメント、経営戦略
  • 国語力系:組み込みシステム開発、システム監査

を対策しました。(本番ではネットワークを選びませんでしたが…)

他のケースだと…

  • 情報系の学生/卒業生なら、プログラミング、ネットワーク、データベースをメインに、組込みシステム開発
  • 職務経験なし文系新卒なら、データベースやネットワークなどの短期向きの知識系に、経営戦略、組込みシステム開発、情報システム開発、システム監査など国語系を選択。
  • 下流工程中心のソフトウェアエンジニアなら、プログラミング、データベースをメインに、お好みでシステムアーキテクチャ、組込みシステム開発、情報システム開発、プロジェクトマネジメントなどを選択。
  • 上流工程中心のシステムエンジニア/アナリストなら、システムアーキテクチャ、情報システム開発、プロジェクトマネジメントなどをメインに、経営戦略、データベース、組込みシステム開発などを選択。

進捗管理

モチベーション維持、間に合わせるため
  • 試験日の再確認:まず、出願した時点で試験日は確認していると思いますが、もう一度スケジュールを引くために再確認しましょう。
  • TODOリストの作成:まず、午後の参考書の決めた科目のページを開き、大問の数を確かめましょう。その数にあわせ、以下のようにチェックボックスを書き出します。
10/20 本番
情報セキュリティ □□□□□
経営戦略 □□□□□ 
...
  • 締め切りライン引き:以下のように、科目ごとにラインを引きましょう。

  • ※問題演習は、大問1つ1時間前後、1科目あたり5時間〜10時間かかります。
    休日・平日なども考慮し、実現可能なスケジュールを引きましょう。

情報セキュリティ □□□□□ 9/25まで
経営戦略 □□□□□ 10/1まで
...
  • DONE!: 問題演習をやり終わったら、TODOの該当箇所にチェックしましょう。問題演習が片付いていく進捗が見えるとモチベーション維持できます。

具体的な午後対策

試験対策の全体像は固まっているので、実行していきましょう。

まずは解く

  • 速攻で問題演習:いきなり「重点対策」で午後問題演習をしましょう。セキュリティと、本番で選ぶ予定の科目を順番にやっていきます。時間も計ってやりましょう。
  • 所要時間:大問1つの問題演習で合計1時間ほどかかります。解答時間30分、採点・解説を読む時間が30分です。
  • 自信がない時は:解いている途中で、「ちょっと自信がないな」と思ったら星マークをつけましょう。 あとで見返すのに便利です。

解き終えたら

  • 採点:解き終わったら自分の答案と比較して採点しましょう。模範解答とほぼ一致していれば○、概ね一致なら△、明らかに違うなら×をつけます。 配点を見て、○はフル、△は半分、×は0で大問の合計点を付けます。
  • 温度感:16点以上なら合格ライン、15 ~ 12点なら見直し、11点以下は要対策になります。

振り返り

  • 自信がない問題:星マークをつけた解答は、解説をじっくり読んだりググったりして見直ししましょう。
  • 復習のために:見直し、要対策になった問題は、付箋を貼るなどしてあとで再演習しましょう。

戦術 〜 応用情報の「国語」

知識を得点につなげる為には、応用情報の出題形式に沿った論理展開が必要です。過去問演習の大部分は、この感覚を養うことがキモになります。

【読み方編】

  • 解答根拠は問題文中にある:知らないことでも問題文中から答えがわかることが多いです。
    ※ 一方、知識問題であっても、問題文で全く触れられていない物事を挙げるのはリスキーだと心得ましょう。

  • 文脈に添う(1):各問の「レイヤー」に合わせましょう。極端な例ですが、データベースのSQLの問題でメモリアドレスの話からスタートすると、絶対に文字数制限をオーバーします。「関係ある!」と思ってもきっちり捨象しましょう。

  • 文脈に添う(2):セキュリティ問題ならセキュリティ的な粗探しをする、経営戦略なら財務やマーケティングなどの観点で読む…… 当たり前ですが、今何の話をしているのかを忘れないようにしましょう。

  • 「一般論」「正論」を書く:いわゆる「模範」とされる答えを目指しましょう。個別の事情、独創性、多様な意見、逆張り、これらは試験では全てノイズです。

 ※たとえば、模範解答を読んで、「現実でセキュリティや監査をガチガチにやると仕事が回らない」「こんなの理想論だ」「データベースもテーブルを正規化しないほうがいい場合がある」... などと思うかもしれません。
しかし、試験においては、あなたの職場の事情や、特殊なケースは考慮されません。「IPAがまとめた原則論を学ぶのだ」と割り切ってください。

 【書き方編】

  • 「が・である」調:一般論ですが、こういう記述は「ですます」調ではなく「が・である」調で書きましょう。
  • 記述問題の語尾:何らかの理由を問う問題の場合は、「〜から」「〜ため」、言葉の意味を問う問題の場合は「〜ということ」「〜すること」など、適切な表現を用いましょう。
  • 文字数制限:少ない文字数で解答させられます。文として破綻しない程度に、「ダイエット」させましょう。以下のような言い換えをしましょう。
であるから → だから
したがって → よって
するということ → すること
etc...

自己採点・振り返りについて

  • 参考書の解説:問題解説において、解答根拠やテクニックの説明が書かれています。科目の知識と同じぐらい重要です。ちゃんと読んでおきましょう。
  • 模範解答に納得いかない時:一回深呼吸して、「”応用情報語”をマスターするのだ」と3回唱えましょう。

 ※ どうしてもダメなら、「最悪捨て問にすればいいや」と諦めましょう。

試験テクニック

【実践すべきこと】

  • 問題用紙への書き込み:解答根拠に繋がりそうな部分には下線をひいておきましょう。参考書をコピーして演習すれば、気兼ねなく書き込めます。
  • 優先順位法:即答できる問題を優先的に埋めて、時間がかかる問題は後回しにしましょう。こうすることで、時間切れによる得点ロスを最小限にします。
  • 消去法:選択問題なら、ありえない選択肢に斜線を引きましょう。1つに絞り込めなくても、五分五分ぐらいにできます。
  • 部分点で悪あがき:いい答えが出てこなくても、キーワードを詰め込むなどして部分点狙いをしましょう。 その設問で0点になることはあっても、マイナスにはなりません。

【テクニックは恥だが役に立つ】

  • 「潔さ」は忘れる:あらゆる手がかりに喰らい付き、合格のための1点1点をかき集めましょう。「完璧に理解しなければ、点数など無意味」というのはノイズです。
  • 合格ありきでも案外役に立つ:試験後に忘れても、「記憶のフック」にはなります。最悪、検索ワードぐらいは思い浮かぶようになります。
  • テクニックへの心構え:邪道などではなく、勉強してきたことを最大限点数につなげるための王道です。
チートはせず、試験ルールは守りましょう!

午前問題対策

  • 出題傾向:午前問題の前半は、時事問題やテクノロジ系、後半(第40〜80問)は、ストラテジ・マネジメント系が多いです。文系は逆順で(第80問から遡るように)解くとストレスが少ないかと思います。
  • 時事問題対策:技術トレンド、セキュリティなどで出てきます。これらの知識は、試験の主催であるIPAのサイトを見るといろいろ載ってます。スキマ時間などに読んでおきましょう。

本番気をつけること

  • そもそも:寝坊しないように目覚ましはガンガンかけましょう。起床試験に失敗すると全部台無しです。あと会場へのルート、所要時間もしっかり把握しましょう。
  • 持ち物:受験票、身分証、鉛筆、シャープペンシル、消しゴム、時計を前日に用意し、朝も指差し確認しましょう。
  • 特に:受験票、身分証現地調達できません!絶対に忘れないように。
  • 午前の受け方:午前問題は見直し入れても時間に余裕があるので、早めに提出して昼休みを延長しましょう。

諦めんなよ! もっと熱くなれよ!!

  • 舐めプしちゃう:後悔したくないですよね?「あと1点で受かったのに……」って言いたいですか??? (基本情報で3点足りなかった僕を笑えるように頑張りましょう)
  • 演習の点数がいまいち:試験形式に慣れれば点数は上がります。記述は意外と甘めに採点してもらえます。
  • 午前の手応えがいまいち:それでも午後は受けましょう!

最後に

できるできる!絶対できる!

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