はじめに
筆者はUIについての専門知識は全くありません。
今回は、小学生の教育に使えるARアプリを考える機会があったので、その中で特にUIについて考えた点について書き記します。
目次
1. 小学生向けのARアプリを考えたきっかけ
2. 今回考えたARアプリの概要・想定
3. UIを考える際に留意すべきこと
4. 実際に考えたUI
5. まとめ
1. 小学生向けのARアプリを考えたきっかけ
デバイスの進化や文化の移り変わりにより、ARやVRがどんどん身近になっていると感じる昨今。筆者は学校教育にARが使われる環境が整ってきていると感じています。実際のところ、小中学校の生徒には一人一台のタブレットやPCが支給され、教育に使われています。それらを活用して、ARアプリを導入すれば、より楽しく、わかりやすい教育ができるのではないかと考えました。
2. 今回考えたARアプリの概要・想定
今回考えたARアプリは、学校の授業の中で、生徒の関心を高めながら理解を助ける補助教材という立ち位置で考案しました。
教科書や電子教材などの平面的な情報よりも、立体的に観察できた方が理解しやすい単元(天体や地学など)で、ARを使った補助教材を使用することを想定して制作しました。
また、今回考えたアプリは生徒と教員がそれぞれタブレット端末を持って体験するもので、教員が教材を選択して表示し、それが生徒の画面にリアルタイムで共有されるという手法をとっています。
2-1. 位置合わせの手法
まずはARの位置合わせについてです。
ARを見る際、位置合わせに使われる手法はマーカーを使う方法、センサーを使う方法、画像の特徴点を使う方法などがあります。その中で、予算や利便性を考慮すると、小学校で使用するのに現実的なのはマーカーを使う方法でしょう。
2-2. 授業スタイルの想定
マーカーを机の上に置き、立ってタブレットを見るスタイルが、マーカーへの距離が適切でARも見やすい形だと考えられます。
2-3. 使用するデバイスや操作の想定
小学校で使われているタブレットは、iPadやChrome Bookが主流です。
今回もiPadまたはChrome Bookを使用する想定です。
それぞれ操作方法はほぼ変わらず、タップ、ピンチイン/アウト、スワイプなどが使用できる操作です。
また、ARということで、生徒自身が動いてAR教材を見る視点を変えることも可能です。
3. UIを考える際に留意すべきこと
次に、UIを考える上で心にとめておいた方が良いと考えた点について記述します。
主に考えた点は以下の3つです。
- 小学生がの指が届く範囲にUIを置く
- 画面を触る場面を少なくする
- 教員の負担を減らす
このような点を考慮した目的は、
- 利便性を向上させて満足度を向上させる
- 導入に対するハードルを下げる
- 生徒が余計な部分に気を取られないようにする
- 無理のない操作で、タブレットを落とすなどのリスクを減らす
などが挙げられます。
では、具体的に紹介していきましょう。
3-1. 小学生の指が届く範囲にUIを置く
まず考えるべきは、小学生がタブレットを持った時に無理なく触れる範囲です。
今回、タブレットの向きは横向きで考えました。
これは右利きの生徒向けに考えたものです。
青色の部分は、両手で持った際に簡単に指が届くと考えられる範囲です。
また、右利きの生徒が片手で持ち、片手で操作する場合は水色の範囲が触りやすいと考えられます。
また、位置に加えて大きさも大きくすると操作しやすくなると思います。
3-2. 画面を触る場面を少なくする
AR教材の利点として、立体的に教材を観察できるという点があります。開発側の目線からすると、生徒はその利点に集中してほしいです。教員側も同じ意見だと思います。そこで私は、生徒が画面を触って操作できる機能を最低限に抑えるべきだと考えました。
具体的には、生徒側には教材を見る視点を操作する機能のみを実装し、教材の選択や大きさの調整は教員が操作して、それを生徒に共有するという手法です。
そうすることで生徒の余計な行動を減らしつつ、教員が伝えたい部分を伝えやすくなるのではないでしょうか。
3-3. 教員の負担を減らす
授業で取り扱うという前提上、教員は複数人の生徒に対して対応しなければなりません。操作方法の説明に時間がかかってしまっては元も子もないので、操作は可能な限り簡単で、直感的に理解できるようにする必要があります。UIの大きさを大きくし、機能を単一にして生徒がすぐに理解できるようにすべきでしょう。
4. 実際に考えたUI
以上の考慮すべき点を踏まえ、実際に考えたUIがこちらになります。
これは、天体の動きを観察する教材を想定して制作しました。
生徒はARマーカーの上に出現する教材を観察できます。さらに、オブジェクトの表面をタップするとミニカメラを設置し、そこから見える星の映像を画面左上の黒いウインドウから観察できます。画面右下のリセットボタンで、ミニカメラの位置が元に戻ります。
教員は出現する教材を切り替えたり、大きさを変えたり、教材の時間を進めて星を動かすことができます。その結果は生徒に共有されます。
5. まとめ
「小学生が使えるARアプリのUIを初心者が考える」ということで、
- 小学生がの指が届く範囲にUIを置く
- 画面を触る場面を少なくする
- 教員の負担を減らす
の三つの点を考えて制作した結果が上記のようになりました。
左利きの方のことを考え、UIの位置を左右反転できる機能をつけるべきだったなど反省点はありますが、UIについて真剣に考えたのは初めてだったので、いい経験になりました。
これからもアプリ制作の際は、実際の利用者のことを考えてUIを設計していきたいと思います。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。