始めに
この記事は MIXI DEVELOPERS Advent Calendar 2024 の15日目の記事です。
筆者は2024年5月に社内公募制度を利用し、
QAエンジニアからプロジェクトマネージャーへキャリアチェンジしました。
職種変更は簡単なようで難しく、チャレンジに踏み切れない人も多くいると思っています。
同じような立場の方へのヒントになれば…と考え、記事を書かせていただきました。
技術的な話よりもマインド的な話が多くなりますが、ご容赦ください。
社内公募制度とは?
株式会社MIXIには 『MCC』 という社内公募制度があります。
※正式名称は『MIXI CAREER CHALLENGE』(ミクシィ・キャリア・チャレンジ)
この制度を利用して、未経験職へのキャリアチェンジを行いました。
筆者について
基本スペック
30代後半、女性。
株式会社MIXIには約6年在籍しています。
20代の頃はフリーランスで働いていました。
IT業界に入ってからはプランナー歴1年・QAエンジニア歴8年。
ゲーム業界にいた期間が多め。
現在はゲームアプリ『モンソニ!』のプロジェクトマネージャーを担当しています。
キャリアチェンジ前
QA界隈だと有名な 『QMファンネル』 でいうところの
QAコンサルタント・コーチ、時々TE(テストエンジニア)の業務をしていました。
具体的には下記のような業務を行うことが多かったです。
- 10~15人規模のQAチーム新規立ち上げ(採用/業務フロー構築)
- メンバーマネジメント(1on1/育成)
- QAディレクション(複数案件のアサイン/スケジューリング)
- 新規タイトル/運用タイトルにおけるQAリード
- 社内QAエンジニアの育成フロー構築
- その他QA部署に関わる課題解決など
キャリアチェンジ後
プロジェクトマネージャーと名乗ってはいますが、
一般的に『プロジェクトマネージャー』と呼ばれる人たちとは
若干違ったニュアンスの業務も担当しています。
- ゲーム内で使用するイラストなどクリエイティブの制作管理
- クリエイティブに関する指示書作成や他社内ステークホルダーとの折衝
- クリエイティブ外注先とのコミュニケーション
- 契約/決裁に紐づく予算管理
- プロジェクト開発環境の構築/進行管理
現在の上長からは『プロジェクトの血流を良くする仕事』と言われており、
個人的にもしっくりくるので、周りに説明するときはこの言葉を使わせてもらっています。
業務の割合で言うと、
アプリ内で扱うクリエイティブの管理業務が4割、
契約/決裁などの予算管理業務が3割、
ゲーム開発における進行管理業務が2割、
その他プロジェクトを円滑に進めるための雑務が1割…みたいな感じです。
ある意味、何でも屋みたいな側面もあるかもしれません。
実践したこと
キャリアの親和性を考える
QAエンジニアとプロジェクトマネージャーは一見全く違う職業に見えますが、
仕事内容を紐解いてみると実は親和性があります。
- プロジェクト全体を見ていることが多い
- プロダクトが求めている品質に届いているかの管理責任を持っている
- スケジュール管理などのスキルを求められる
- リソース/人員管理が頻繁に行われる
影響範囲の違いこそありますが、やっていることは似ています。
また、意識的にやっていたというわけではないのですが、
過去所属していたプロジェクトでは、
プロジェクトマネージャーと一緒に業務することが多かったため
立ち回りを見て覚えることもできたように思います。
スキルの棚卸
まずは現状のスキルと必要なスキルを照らし合わせて、
自分にできることの棚卸をしました。
スキル | 実施 | 備考 |
---|---|---|
イラスト制作管理 | 〇 | プランナーの際に経験あり |
指示書作成 | △ | 類似業務の経験はある。応用でいけそう |
ステークホルダーとの折衝 | 〇 | 複数案件で経験あり |
外注とのコミュニケーション | 〇 | 複数案件で経験あり |
予算管理 | △ | QAに関わる範囲であれば経験あり |
開発環境の構築 | △ | 一部経験あり |
開発環境の進行管理 | △ | 一部経験あり |
自分が持っているスキルの中で△になったものは
どのくらいの時間を掛ければ〇に到達できそうなのか、
〇へ到達するために何を実践するのかを具体的に決めて関係者とすり合わせをしたため
やるべきことが明確になり、スムーズに職種変更に繋げられました。
今回は非エンジニア職へのキャリアチェンジなので省きましたが、
使える言語などまで細かく棚卸するのも良いかと思います。
この辺りは通常の転職とあまり変わらないかもしれません。
IPやジャンルに対して理解を深める
「モンソニ!」はモンスターストライク×音楽をテーマにしたスピンオフプロジェクトで、
ゲームアプリが2024年5月末にリリースされました。
アプリリリース前からもアニメやライブイベントなど、
様々な活動を展開しており、私自身も元々愛着があるプロジェクトでした。
そのため、IPに関する基礎知識はあったのですが
キャリアチェンジするにあたり、過去リリースされたものへ一通り目を通したりと
改めてIPやジャンルについて深掘りしました。
スピンオフの元ネタである、モンスターストライクのキャラ設定などについても
併せて情報収集し、勉強していました。
モンスターストライクは10年以上続く長寿タイトルであり、
受け身でIP知識は身につきません。
未経験職種であればIP知識・IP愛を持つことは必須だと思っています。
耳が痛い話をすると、IPに疎い未経験新人を
参画させるメリットがプロジェクト側にほぼ無いです。
成長が見込める場合は参画に繋がるかもしれませんが、
それであれば既にIPについて自己学習しているはずですし、
「参画してから学ぶ!」という姿勢だと厳しいのではないかなと感じます。
事前にIP理解を深めていたことが功を奏し、
異動先面談の場でプロダクトの説明を最小限に抑え、
異動後の働き方やキャリアについての話にしっかりと時間を使うことができました。
本を読んで自己学習する
…と書きましたが、正直大した勉強はできていません。
本やネットに挙がっている記事を多少読んだ程度です。
しっかり学ぶならPMBOKで勉強をしたり、
資格試験にチャレンジしたりするのがベストだと思います。
個人的には以下の本がとっつきやすくて良かったです。
※筆者が読んだのは初版
最後に
キャリアチェンジ後の話
キャリアチェンジして約半年になりますが、
棚卸したスキル表の中で△が付いていたものに関してはほぼ自走できるようになり、
『プロジェクトの血流を良くする仕事』を自分なりに全うできているように感じます。
また、QAエンジニアの知識を腐らせることなく様々な面で生かせているのが、
他のプロジェクトマネージャーにはない強みだと思えるようになりました。
魔法使いが戦士に転職して、魔法剣が使えるようになったような、そんな感覚です。
現在でも可能な範囲でQAのトレンドを追ったり、
有識者のブログを読んだり、勉強は行うように努めています。
キャリアチェンジにあたって感じたこと
実践したことを色々書きましたが、
「毎日の業務を真摯にこなして、周りからの信用を得る」 という
当たり前のことが一番大きなキーポイントだったように感じます。
振り返ってみると、今までの成果を評価して後押ししてくれた方がいたり、
「一緒に働きたい!」と言ってくださる方がいたりと、
周りの環境に恵まれた状態でのキャリアチェンジでした。
「良い口コミ」ではないですが、
日頃の業務の積み重ねによって得られた信頼も大きかったのかもしれません。
仮に今まで適当な仕事ばかりをしていたら
キャリアチェンジは上手くいっていなかったのではないかなと思います。
なのでキャリアチェンジしたい!と考えている方は
まず、現在の業務でどのくらいの成果が出せているか、
一度振り返ってみると何か見えてくるものがあるかもしれません。
この記事を読んだ同じような立場の方にとって良いキャリアチェンジができますよう、
願いつつ締めくくらせていただきます。