はじめに
大学のレポートや論文で数式を書くとき、こんな経験はありませんか?
-
{}の対応がズレてコンパイルが通らない - コマンド名のスペルミスに30分気づかない
- ネストが深くなると、自分が何を書いているのか分からなくなる
\int_0^{\infty} \frac{1}{x^2 + 1} dx = \frac{\pi}{2}
これを一発で正しく手打ちできる人は、そう多くないと思います。
「数式の構造は分かっているのに、LaTeXの記法がボトルネックになっている」という課題を感じて、ブロック操作で数式を組み立てるエディタを自分で作りました。
この記事では、そのツール BlockTeXu の使い方を紹介します。
この記事は、LaTeX初心者や、数式の構造は理解しているが記法に時間を取られている人向けの記事です。
画面構成
画面は4つのエリアに分かれています。
| エリア | 位置 | 役割 |
|---|---|---|
| プレビュー | 左上 | 組み立て中の数式をリアルタイムで表示 |
| ワークスペース | 左中央 | ブロックを配置する作業エリア |
| ブロック一覧 | 下部 | 使えるブロック(パーツ)の一覧。検索可能 |
| ストック&出力 | 右側 | 完成した数式の保存・コピー・画像出力 |
基本操作
1. ブロックを追加する
画面下部のブロック一覧から、使いたいパーツをクリックするとワークスペースに追加されます。ドラッグ&ドロップでも追加できます。
ブロックは10カテゴリ・約216個あります。
| カテゴリ | 内容の例 |
|---|---|
| 変数・数値 | a, b, x, y, 数値入力 |
| 基本演算 | +, −, ×, ÷, = |
| 分数・べき乗 | 分数、累乗、平方根 |
| 三角・双曲線 | sin, cos, tan, log |
| 微積分 | 積分、微分、総和、極限 |
| ギリシャ文字 | α, β, γ, θ, π |
| 括弧 | (), [], {}, ⟨⟩ |
| 矢印 | →, ⇒, ↔ |
| 集合・論理 | ∈, ⊂, ∀, ∃, ∪, ∩ |
| レイアウト | スペース、改行、縦揃え |
2. ブロックを検索する
検索ボックスに日本語・英語・俗称を入力すると絞り込めます。
- 「ぶんすう」→ 分数ブロック
- 「fraction」→ 分数ブロック
- 「シグマ」→ 総和ブロック
- 「integral」→ 積分ブロック
216個の中から探す必要はありません。
3. スロットに値を入れる
分数や積分などの構造ブロックには、値を入力する**スロット(□)**があります。
例えば分数ブロックには「分子」と「分母」の2つのスロットがあり、
- スロットに直接テキストを入力できます(例:
x+1) - スロットをクリックして選択した状態で別のブロックを追加すると、**入れ子(ネスト)**にできます
4. リアルタイムプレビュー
ブロックを操作するたびに、プレビューエリアにKaTeXで描画された数式が表示されます。「コンパイルして確認」する手間はありません。
実践:分数を含む式を作る
$$\frac{x+1}{x-1} = 0$$
を作る手順:
- 「分数・べき乗」カテゴリ → 「分数」ブロックをクリック
- 分子のスロットに
x+1と入力 - 分母のスロットに
x-1と入力 - 「基本演算」カテゴリ →
=をクリック - 「変数・数値」カテゴリ → 「数値入力」を追加し
0と入力
プレビューに数式が表示されたら完成です。
出力方法
コピー
「コピー」ボタンを押すと、4つの形式から選べます。
| 形式 | 出力例 | 主な用途 |
|---|---|---|
LaTeX $...$
|
$\frac{x+1}{x-1} = 0$ |
LaTeX文書(インライン) |
LaTeX $$...$$
|
$$\frac{x+1}{x-1} = 0$$ |
LaTeX文書(ディスプレイ) |
| Notion形式 | $$\frac{x+1}{x-1} = 0$$ |
Notionの数式ブロック |
| プレーンテキスト | \frac{x+1}{x-1} = 0 |
その他 |
画像保存
「保存」ボタンで高解像度PNG画像としてダウンロードできます。Word、PowerPoint、Googleスライドに数式画像を貼りたいときに使えます。
ストック(一時保存)
「ストック」ボタンで現在の数式を一時保存リストに追加し、ワークスペースをクリアして次の数式を作れます。ストック内の数式は個別にコピー・画像保存・削除が可能で、一括出力もできます。
キーボードショートカット
マウスなしでも操作できます。
| キー | 動作 |
|---|---|
/ |
検索ボックスにフォーカス |
← → |
ブロックカテゴリの切り替え |
↑ ↓ |
ストック項目の選択 |
Enter |
ストックに追加 |
Ctrl+C → Enter |
全体コピー(形式選択) |
Ctrl+S → Enter |
全体画像保存 |
Delete |
個別削除 |
Delete → Enter |
すべてクリア |
Ctrl+Z / Ctrl+Y |
元に戻す / やり直し |
Escape |
選択解除 |
作れる数式の例
定積分
$$\int_0^1 x^2 dx$$
微積分カテゴリ → 定積分ブロック → 上端1、下端0 → 変数x、べき乗ブロックでx^2 → d, x
総和
$$\sum_{k=1}^{n} k^2$$
微積分カテゴリ → 総和ブロック → 下限k=1、上限n → べき乗ブロックでk^2
まとめ
BlockTeXuの特徴をまとめると:
- LaTeXの文法を覚えなくても数式が作れる
- 括弧の閉じ忘れなどの構文エラーが原理的に発生しない
- リアルタイムプレビューで結果をすぐ確認できる
- LaTeX・Notion・画像など複数形式で出力できる
「数式の構造は理解しているが、LaTeXの記法に時間を取られている」という方には合うツールだと思います。
不具合や改善案があれば、この記事のコメントで教えていただけると助かります。
