ブラウザだけでLinuxコマンド・Git・Vimを練習できる「WebTerm Learn」を調べてみた
LinuxやGitを勉強しようとすると、最初に環境構築が必要になります。
WindowsならWSL2を用意したり、Ubuntuを入れたり、Gitをセットアップしたりします。Vimを試すだけでも、ターミナルに慣れていない人には少し敷居があります。
そこで気になったのが WebTerm Learn です。
WebTerm Learnは、ブラウザ上のターミナルを実際に操作しながら、Linuxコマンド、Git、Vimなどを学べる無料の学習サービスです。単に説明を読むだけではなく、画面上のターミナルへ自分でコマンドを入力して進めます。
2026年9月4日時点で公式サイトを確認したところ、WebTerm Learnはv1.0.0で、最終更新日は2026年8月31日となっています。
この記事では、WebTerm Learnで何ができるのか、本物のLinux環境とは何が違うのか、どのような人に向いているのかを整理します。
WebTerm Learnとは
WebTerm Learnは、株式会社initが提供しているターミナル学習サービスです。
特徴を簡単にまとめると、次のようになります。
- ブラウザだけで始められる
- Linuxコマンドを実際に入力して練習できる
- Gitもブラウザ上で操作できる
- Vimの操作も学べる
- 説明だけでなく演習がある
- ヒント、スキップ、リセット機能がある
- 現在公開されているレッスンは無料
- PCでの利用を前提としている
一般的な学習サイトでは、
説明を読む
↓
自分のPCに環境を作る
↓
ターミナルを開く
↓
コマンドを試す
という流れになります。
WebTerm Learnでは、この部分が一つの画面にまとまっています。
説明を見る
↓
ブラウザ上のターミナルを操作
↓
課題を実行
↓
結果を確認
↓
次のレッスンへ
読んだだけで終わらず、その場で手を動かせるのが大きな特徴です。
WebTermとWebTerm Learnは役割が違う
名前が少し分かりにくいのですが、WebTermとWebTerm Learnは役割が違います。
WebTermは、ブラウザ上で動作するターミナルのサンドボックスです。
WebTerm Learnは、そのWebTermを使いながら体系的に学習するためのサービスです。
イメージとしては次のような関係です。
WebTerm
└─ ブラウザ上のターミナル環境
WebTerm Learn
├─ 解説
├─ スライド
├─ 練習問題
├─ 判定
└─ WebTermを使った実習
ターミナルだけを自由に触るのがWebTerm、学習順序まで含めて進めるのがWebTerm Learn、と考えると分かりやすいです。
本物のUbuntuが動いているわけではない
ここは最初に理解しておいた方がよい点です。
WebTerm Learnは、利用者ごとに本物のUbuntuサーバーを起動してSSH接続するサービスではありません。
ブラウザ上の安全なサンドボックスで、ターミナル操作を学ぶための環境が動きます。
例えば、
pwd
ls
cd
mkdir
cp
mv
rm
cat
grep
find
head
tail
といった基本操作を練習できます。
自分のPC上で直接実行しているわけではないため、ファイル操作を間違えても、普段使っているWindowsやUbuntuの実ファイルへ影響しません。
一方で、WebTerm LearnだけでLinuxサーバー運用のすべてを学べるわけではありません。
例えば、
apt install ...
systemctl ...
docker compose ...
mount ...
ip ...
iptables ...
nvidia-smi
のように、実際のOS、サービス管理、Docker Engine、ネットワーク、GPUなどに依存する操作は、本物のUbuntu環境で確認する必要があります。
WebTerm LearnはLinuxそのものの代わりではなく、ターミナル操作を安全に身につけるための練習環境として考えるのがよさそうです。
ターミナルは入門・基礎・応用まで用意されている
2026年9月4日時点では、ターミナルについて次のコースが公開されています。
| コース | レッスン数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| ターミナル入門 | 20 | 基本操作、ファイル、ディレクトリ |
| ターミナル入門トレーニング | 3 | 入門内容の反復練習 |
| ターミナル基礎 | 13 | 検索、テキスト処理、リダイレクトなど |
| ターミナル基礎トレーニング | 3 | 実務に近い反復練習 |
| ターミナル応用 | 25 | シェル、プロセス、権限、SSHなど |
| ターミナル応用トレーニング | 3 | サーバー運用を想定した演習 |
最初の入門では、
pwd
ls
cd
mkdir
cp
mv
rm
など、ターミナルを使ううえで避けて通れない操作から始められます。
基礎編では、ファイルを探したり、ログやテキストから必要な情報を抜き出したりする操作へ進みます。
grep
find
head
tail
さらにパイプやリダイレクトを覚えると、
cat app.log | grep ERROR
のように複数のコマンドを組み合わせられるようになります。
普段Linuxを使っていても、GUI中心で作業していると、このあたりを体系的に勉強する機会は意外とありません。
Gitもブラウザ上で練習できる
WebTerm LearnではGitのコースも用意されています。
Git入門では、バージョン管理の考え方から始まり、コミットやリモート操作まで順番に学べます。
例えば、
git init
git status
git add
git commit
git log
git diff
git push
git pull
などです。
Gitの基礎コースでは、
branch
merge
conflict
rebase
cherry-pick
GitHub Flow
Git Flow
といったチーム開発で使う内容へ進みます。
普段はVS CodeなどのGUIからGitを使っている人でも、ターミナルから操作するとGitの内部で何が起きているのか理解しやすくなります。
AIでコードを生成する機会が増えた現在では、変更前にコミットしておく、差分を確認する、問題があれば戻す、といった操作も以前より重要になっています。
Vimのコースもある
Vim入門も公開されています。
Linuxサーバーを操作していると、
vim compose.yaml
のようにVimを使う場面があります。
初めてVimを触ると、
文字が入力できない
Escを押した後が分からない
保存方法が分からない
終了できない
となりがちです。
WebTerm Learnでは、Vimのモード、移動、編集、保存、検索、置換などを順番に練習できます。
Linuxサーバーを触る予定がある人なら、ターミナルの基礎と合わせて覚えておくと役立ちます。
HerdrというTUIツールも学べる
WebTerm LearnにはHerdr入門もあります。
Herdrは、Claude CodeやCodexのようなコーディングエージェントを複数扱うことを想定したターミナルマルチプレクサです。
ペイン、タブ、ワークスペースを使いながら、複数の作業をターミナル内で管理する方法を学びます。
昔ながらのLinuxコマンドだけでなく、AIコーディングエージェントをターミナルで扱う現在の開発スタイルまで意識しているのは面白いところです。
Claude CodeとSQLのコースも準備中
公式のコース一覧では、次の教材も準備中として案内されています。
| コース | レッスン数 |
|---|---|
| Claude Code | 9 |
| SQL入門 | 10 |
| SQL基礎 | 10 |
Claude Codeまで加わると、
Linuxコマンド
↓
Git
↓
Vim / TUI
↓
AIコーディングエージェント
という流れで学べるようになります。
SQLについても、ブラウザ上でpsqlを使う構成が案内されています。
CLIを中心にしながら学習範囲を広げていることが分かります。
「説明」と「反復練習」が分かれている
構成として良いと感じたのは、通常のコースとは別にトレーニングコースが用意されているところです。
コマンドは説明を読んだ直後なら覚えています。
しかし数日すると、
ファイルを探すのはfindだったかgrepだったか
Gitで現在の状態を見るのは何だったか
ということがよくあります。
そこで、
通常コース
↓
内容を理解する
↓
トレーニング
↓
説明を見ずに操作する
↓
反復
という形になっています。
CLIは知識として覚えるより、実際に何度も入力した方が身につきます。
初心者だけではなく「なんとなく使っている人」にも向いている
WebTerm Learnは完全初心者向けに見えますが、ある程度Linuxを使っている人にも使い道があります。
例えば普段、
docker compose up -d
docker compose logs
chmod +x run.sh
grep ERROR app.log
git status
git diff
くらいは使っていても、
相対パスと絶対パスを正確に説明できない
標準出力と標準エラーを整理して理解していない
> と >> の違いを毎回確認する
| は使うが仕組みは曖昧
chmodの数字を毎回検索する
Gitのrebaseは怖くて触らない
Vimは:q!しか覚えていない
ということは珍しくありません。
こうした「使えるけれど体系的には整理できていない部分」を埋める用途にも向いています。
WebTerm Learnだけで完結させない方がよい
WebTerm Learnで基礎を覚えた後は、本物のLinux環境へ移るのがよいと思います。
WindowsであればWSL2 Ubuntuでも十分です。
WebTerm Learn
├─ pwd / ls / cd
├─ ファイル操作
├─ grep / find
├─ パイプ / リダイレクト
├─ Git
└─ Vim
↓
WSL2 / Ubuntu
├─ apt
├─ systemd
├─ SSH
├─ Docker
├─ ネットワーク
├─ 権限管理
└─ 実際の開発環境
この順番なら、Linux環境を作った直後に「黒い画面で何をすればよいのか分からない」という状態を避けやすくなります。
どの順番で勉強するか
Linuxをほとんど触ったことがない場合は、次の順番が分かりやすいと思います。
ターミナル入門
↓
入門トレーニング
↓
ターミナル基礎
↓
基礎トレーニング
↓
Git入門
↓
Git入門トレーニング
↓
Vim入門
↓
ターミナル応用
↓
Git基礎
すでにLinuxやDockerを日常的に使っている場合は、
ターミナル基礎
↓
ターミナル応用
↓
Git基礎
↓
Vim
くらいから確認してもよさそうです。
利用環境と料金
公式ヘルプではPC環境での学習が前提となっており、推奨ブラウザは最新版のGoogle Chromeです。
現時点ではスマートフォン、タブレットには対応していません。
また、公式サイトではすべてのコース・レッスンを無料で利用できると案内されています。
ブラウザを開くだけで始められるため、
Linux環境をまだ作っていない
Gitを壊すのが怖い
Vimを安全に触ってみたい
という段階でも試しやすいサービスです。
まとめ
WebTerm Learnは、Linuxそのものをブラウザ上で完全再現するサービスではありません。
その代わり、
ターミナル操作を安全な環境で、順番に、実際に入力しながら覚える
ことに重点を置いています。
特に特徴的なのは、
- 環境構築なしで始められる
- 読むだけではなく実際にコマンドを入力する
- ターミナル、Git、Vimまで一続きで学べる
- 通常レッスンとは別に反復トレーニングがある
- AIコーディングエージェントまで学習範囲を広げている
という点です。
これからLinuxを始める人はもちろん、DockerやGitを日常的に使っているものの、ターミナル操作を体系的に勉強したことがない人にも面白い教材だと思います。
WebTerm Learnで基本操作を整理した後に、WSL2やUbuntuの実環境でDocker、SSH、systemd、ネットワークなどへ進むと、実際の開発やサーバー運用にもつながります。
参考リンク
以下は、この記事を書く際に確認した公式ページと紹介記事です。リンク先は2026年9月4日時点で確認しています。
WebTerm Learn 公式
-
WebTerm Learn 公式サイト
サービス概要、学習方法、対象ユーザー、FAQなどを確認できます。 -
WebTerm Learn コース一覧
ターミナル、Git、Vim、Herdrなど、公開中・準備中のコースを確認できます。 -
WebTerm Learn ヘルプセンター
対応環境、学習方法、進捗保存、対応コマンド、安全性などのFAQが掲載されています。 -
WebTerm Learn 料金
すべてのコース・レッスンが無料であることを確認できます。 -
WebTerm Learn プライバシーポリシー
アカウント情報、学習進捗、演習統計、アクセスログなど、収集される情報について確認できます。
WebTerm 本体
-
WebTerm - ブラウザで動くLinuxターミナル・コマンド練習
WebTerm Learnの演習環境のベースとなる、ブラウザ上のターミナルシミュレータです。
運営会社
-
株式会社init 公式サイト
WebTermおよびWebTerm Learnの運営会社です。
紹介記事
-
Publickey - Webブラウザ上でターミナルのシミュレータを実行、GitやCLI、Vimなどを無料で学べる「WebTerm Learn」が公開
WebTerm Learnの公開内容、ブラウザ内の仮想ファイルシステム、GitやVimの動作などが紹介されています。
※記事中のコース構成、レッスン数、料金、対応状況は2026年9月4日時点で確認した内容です。
