JetBrains Airとは?複数のAIコーディングエージェントをまとめて扱う開発環境
はじめに
最近は、Claude Code、Codex CLI、Gemini CLIなど、ターミナルから利用できるAIコーディングエージェントが増えてきました。
実際に使ってみると便利なのですが、複数のエージェントを併用し始めると、少し管理が大変になります。
例えば、次のような状態です。
- Claude Codeで実装する
- Codex CLIでレビューする
- 別のGitブランチで修正案を試す
- ターミナルを複数開いて進捗を確認する
- 最後にGitの差分を見て変更を取り込む
こうした作業を1つの画面にまとめようとしているのが、JetBrainsの Air です。
この記事では、JetBrains Airがどのような製品なのか、Claude CodeやCodex CLIと何が違うのか、Windows環境で使う場合の注意点を整理します。
※内容は2026年7月27日時点のものです。
JetBrains Airとは
JetBrains Airは、JetBrainsが開発している Agentic Development Environment(ADE) です。
従来のIDEは、人がコードを書いたりデバッグしたりすることを中心に作られています。
一方、AirはAIエージェントへ作業を依頼し、その進捗や変更結果を人が確認する流れを中心にしています。現在はPublic Previewとして提供されています。(2026年7月28日現在)
大まかな流れは次のようになります。
作業内容を入力
↓
AIエージェントが調査
↓
実装計画を作成
↓
コードを修正
↓
テストやビルドを実行
↓
変更差分を確認
↓
必要な変更だけ取り込む
Air自体が新しい生成AIモデルというわけではありません。
Claude、Codex、Gemini、JunieなどのAIエージェントを動かし、タスクや作業環境、コード差分をまとめて管理するためのアプリケーションです。
ターミナル型のAIコーディングツールと、PyCharmやIntelliJ IDEAのようなIDEの中間にある製品と考えると分かりやすいと思います。
対応しているAIエージェント
Airでは、タスクごとに使用するAIエージェントとモデルを選択できます。
標準では、次のエージェントが用意されています。
| エージェント | 提供元 |
|---|---|
| Claude Agent | Anthropic |
| OpenAI Codex | OpenAI |
| Gemini CLI | |
| Junie | JetBrains |
JetBrains AIの契約を利用する方法のほか、それぞれのAIプロバイダーへ直接接続するBYOKにも対応しています。
ただし、利用できるアカウントの種類はエージェントごとに異なります。例えばClaude Agentでは、Anthropic ConsoleのAPI課金アカウントを使用する構成になっています。
2026年7月の更新では、次のようなACP対応エージェントも接続できるようになりました。
- GitHub Copilot CLI
- OpenCode
- Pi
- Cline
- その他のACP対応エージェント
ACPは Agent Client Protocol の略で、AIエージェントと開発環境を接続するための共通プロトコルです。
特定のAIサービスだけに固定せず、会社で利用が許可されているエージェントや、自分が使いやすいエージェントをAirへ接続できます。
ローカルLLMも利用できる
ACP対応エージェントを経由すると、OllamaやLM Studioで動かしているローカルLLMも利用できます。
構成は次のような形です。
JetBrains Air
↓
OpenCodeやClineなどのACP対応エージェント
↓
OllamaまたはLM Studio
↓
ローカルLLM
AirからOllamaへ直接接続するというより、ACP対応エージェントを間に挟んで利用します。
クラウドへソースコードを送信したくない場合や、社内向けのモデルを試したい場合には選択肢になりそうです。
Planモードで実装前に確認できる
大きな修正をAIへ依頼する場合、いきなりコードを書き換えられるのは少し不安です。
AirにはPlanモードがあり、最初に実装計画だけを作らせることができます。
現状のコードを調査
↓
変更対象を整理
↓
実装手順をMarkdownで作成
↓
人が内容を確認
↓
問題がなければ実装を開始
計画書には、ファイルやフォルダー、クラス、コードの行番号などを関連付けられます。
例えば、次のような作業に向いています。
- FastAPIのAPI構成を整理する
- Docker Composeのサービス構成を変更する
- Pythonコードを複数のモジュールへ分割する
- FortranのCOMMON文をmoduleへ移行する
- 既存機能を残したままGUIを作り直す
実装担当とレビュー担当を分けることもできます。
Claude:実装計画を作成
Codex:計画に沿って実装
Claude:変更結果をレビュー
実装前に影響範囲を確認できるため、複数ファイルにまたがる作業では使いやすそうです。
タスクごとに実行環境を選べる
Airでは、AIエージェントをどこで動かすか選択できます。
| 実行環境 | 特徴 |
|---|---|
| Local Workspace | 現在のプロジェクトを直接変更する |
| Git Worktree | 別の作業フォルダーとブランチで実行する |
| Docker | 隔離されたコンテナ内で実行する |
| Cloud | JetBrainsのクラウド環境で実行する |
Local Workspace
現在開いているプロジェクトを直接変更します。
起動が速く、既存のPythonやNode.jsなどの環境をそのまま利用できます。
ただし、AIが現在の作業ファイルを直接編集するため、小さな修正向けです。
Git Worktree
タスクごとに別のGitブランチと作業フォルダーを作ります。
main
├─ 自分が作業しているフォルダー
├─ AirのタスクA用worktree
└─ AirのタスクB用worktree
複数のエージェントを同時に動かしても、変更内容が混ざりにくいのが利点です。
Git Worktreeはファイルとブランチを分離しますが、Pythonやコンパイラなどの実行環境はホストPCを共有します。
普段のローカル開発では、まずGit Worktreeを使うのが扱いやすそうです。
Docker
AIエージェントをDockerコンテナ内で実行します。
パッケージのインストールやコマンド実行をコンテナ内に閉じ込められるため、ホスト環境への影響を抑えられます。
Dockerの実行条件は、プロジェクト内の次のファイルで管理できます。
.air/docker.json
既存イメージを使う方法と、Dockerfileから専用イメージを作成する方法があります。
WindowsでもDockerタスクを利用できますが、Docker Desktopが必要です。
Cloud
クラウド上の一時的な環境でタスクを実行します。
ローカルPCにプロジェクトを用意しなくても作業でき、タスクの結果は専用ブランチへpushされます。
複数のタスクを並列実行しても、ローカルPCのCPUやメモリを消費しない点が利点です。
一方、クラウド実行ではローカルの環境変数やツールが自動的に引き継がれないため、依存ライブラリーやシークレットを別途設定する必要があります。
複数のタスクを並列で動かせる
Airでは、複数のAIエージェントを同時に動かせます。
例えば、Webアプリケーションを次のように分担できます。
タスクA:FastAPIのAPIを追加
タスクB:OpenLayersの画面を修正
タスクC:Dockerfileを見直す
タスクD:pytestを追加
Git WorktreeやDockerを使えば、それぞれを分離した状態で進められます。
作業中のエージェントから確認が必要になった場合は通知されるため、そのタスクだけを開いて回答できます。
複数のターミナルを開いて、どのエージェントが何をしているのか確認するよりは、全体を把握しやすくなります。
コード差分のレビューがしやすい
AIがコードを修正した後は、Air上でGitの差分を確認できます。
主な操作は次のとおりです。
- 変更前と変更後を並べて表示する
- 変更された行へコメントを付ける
- コメントを元のエージェントへ返す
- 別のエージェントへレビューを依頼する
- 必要な変更だけローカルへ反映する
- タスク用ブランチをcheckoutする
例えば、Claudeで実装して、Codexにレビューを依頼できます。
Claude
└─ FastAPIの処理を修正
Codex
└─ エラー処理やテスト不足を確認
利用者
└─ 差分を確認して変更を採用
実装AIとレビューAIを分ける作業を、特別なスクリプトを用意せずに行える点はAirの特徴です。
プロジェクトごとの開発ルールを設定できる
Airは、リポジトリ内にあるAIエージェント向けの設定ファイルを読み取ります。
代表的なものは次のとおりです。
AGENTS.md
CLAUDE.md
.claude/
.codex/
.agents/skills/
例えば、AGENTS.md に開発ルールを書いておきます。
# 開発ルール
- PythonソースはUTF-8で保存する
- 公開関数には日本語のdocstringを付ける
- 処理内容が分かるコメントを記述する
- 既存APIのURLは変更しない
- 実装後にpytestを実行する
- 不要になったコードは残さず削除する
- Docker環境はdocker composeで起動する
こうしておけば、タスクを依頼するたびに同じ条件を入力する必要がありません。
AGENTS.md はGitで管理できるため、チーム内でAIの作業ルールを共有する用途にも使えます。
Skillsで作業手順を再利用できる
繰り返し行う作業は、Skillとして保存できます。
共有Skillは、次の場所に配置します。
.agents/
└─ skills/
└─ docker-review/
└─ SKILL.md
例えば、次のような作業をSkillにできます。
- Docker Composeの設定確認
- API互換性のチェック
- Pythonソースへのdocstring追加
- READMEと実装内容の整合確認
- リリース前のテスト実行
- セキュリティ上の問題確認
すべてのルールを毎回読み込ませるのではなく、必要になったSkillだけをエージェントが利用します。
プロンプトが長くなりすぎるのを避けながら、作業手順を統一できる仕組みです。
Claude CodeやCodex CLIとの違い
AirとClaude Code、Codex CLIを比較すると、次のようになります。
| 項目 | JetBrains Air | Claude Code / Codex CLI |
|---|---|---|
| 操作方法 | GUI中心 | ターミナル中心 |
| 複数エージェント | まとめて管理できる | 個別に起動する |
| 並列タスク | 画面上で切り替えられる | ターミナルごとに管理する |
| Git Worktree | タスク作成時に選択できる | 自分で作成する |
| Docker隔離 | 実行環境として選択できる | 自分で構成する |
| 差分確認 | 専用のレビュー画面がある | GitやIDEで確認する |
| 別AIによるレビュー | Air上で実行できる | 別セッションを用意する |
| WSLとの相性 | 現時点では注意が必要 | 比較的使いやすい |
| 細かな自動化 | GUI中心 | シェルやスクリプトと組み合わせやすい |
Airは、Claude CodeやCodex CLIを置き換えるツールではないと思います。
複数のエージェント、Gitブランチ、作業環境、コードレビューをまとめるための管理画面に近い位置付けです。
ターミナル操作に慣れている場合は、CLIの方が素早く作業できる場面もあります。
一方で、複数のAIエージェントを並列で動かし、それぞれの変更を比較したい場合はAirの方が整理しやすそうです。
WindowsとWSLで使う場合
JetBrains Airは、Windows、macOS、Linuxに対応しています。
Windows版はx64版とARM64版が提供されており、JetBrains Toolboxからもインストールできます。
ただし、2026年7月時点では、Windows版AirからWSL内のプロジェクトを直接扱う機能は未対応です。
JetBrainsのYouTrackには、WSL対応を求める機能要望が登録されています。
そのため、現在は次の構成が分かりやすいと思います。
Windows側
C:\projects\sample-project
↓
JetBrains Airで開く
↓
Git Worktreeでコードを変更
↓
Docker Desktopで動作確認
WSL内の次のような場所にしかリポジトリがない場合は、Airからの利用に注意が必要です。
/home/user/projects/sample-project
すでにWSLとCodex CLIで安定して開発できている場合は、無理にAirへ移行する必要はありません。
例えば、次のように役割を分ける方法があります。
WSL + Codex CLI
└─ 日常的な実装とコマンド操作
JetBrains Air
└─ 複数タスクの管理、差分確認、別AIによるレビュー
Docker Composeプロジェクトでの使い方
FastAPI、DuckDB、OpenLayersなどをDocker Composeで動かしている場合、最初はGit Worktreeを使う構成が扱いやすそうです。
JetBrains Air
↓
Git Worktreeでソースを変更
↓
Windows側のDocker Desktop
↓
docker compose up --build
↓
ブラウザーで動作確認
AirのDocker実行環境は、AIエージェントを隔離するためのものです。
既存のDocker Compose構成そのものとは役割が異なります。
すでにDocker Composeで開発環境を作っている場合は、AirのDockerコンテナ内からさらにDocker Composeを起動するより、Git Worktreeで変更して、ホスト側のDocker Desktopで確認する方が構成を単純にできます。
Fortranや数値計算で使えるか
AirのAIエージェントは、Fortranソースを読んだり修正したりできます。
例えば、次のような作業は依頼できます。
- Fortran 77からFortran 90への整理
- COMMON文のmodule化
- サブルーチンの分割
- MPI処理の追加
- コンパイルエラーの修正
- 旧版と新版の出力比較処理の作成
ただし、FortranはAirの主要なコード解析対応言語ではありません。
JavaやKotlinでは、定義ジャンプ、使用箇所検索、エラー診断などのコードインテリジェンスが追加されていますが、Fortranでは同じレベルの支援は期待しない方がよいでしょう。
Fortranの場合は、AIによる編集だけで判断せず、実際にgfortranやMPI環境でコンパイルし、旧プログラムとの出力比較を行う必要があります。
JetBrains Airが向いている作業
Airは、次のような作業に向いています。
- 複数ファイルにまたがるリファクタリング
- 複数のAIエージェントを使い分ける作業
- 実装とコードレビューを別のAIに担当させる
- Git Worktreeを使って複数案を比較する
- Docker環境でAIの操作を隔離する
- FastAPIのAPI追加
- DockerfileやCompose設定の見直し
- pytestなどのテスト追加
- READMEやドキュメントの更新
- プロジェクト共通のAI作業ルールを管理する
一方、次のような作業はAirだけでは完結しません。
- PySide6などのGUI表示確認
- OpenLayersの地図表示確認
- GPUを利用する機械学習処理
- 長時間の数値シミュレーション
- FortranやMPIの実行結果確認
- 実データを使った性能試験
- 本番環境へのデプロイ判断
コードを変更する部分はAIへ任せられますが、表示結果、計算結果、安全性まで自動的に保証されるわけではありません。
最初に試す構成
Windowsで初めてAirを試す場合は、次の構成が無難だと思います。
OS :Windows 11
リポジトリ :Windows側に配置
エージェント :OpenAI CodexまたはClaude
実行モード :Plan
実行環境 :Git Worktree
動作確認 :Docker Desktop
レビュー :別のAIエージェント
タスクを依頼するときは、目的だけでなく、変更してはいけない部分も書いておきます。
このDocker Composeプロジェクトを調査してください。
目的:
FastAPIのエラー処理とログ出力を整理する。
条件:
- 既存APIのURLは変更しない
- レスポンスのJSON形式は変更しない
- DuckDBの既存テーブル構造は変更しない
- Pythonソースには日本語のコメントを追加する
- 公開関数にはdocstringを追加する
- 不要なコードは残さず削除する
- 実装後にpytestを実行する
- docker compose buildが成功することを確認する
まずPlanモードで変更対象と実装手順を整理してください。
最初から大きな機能追加を任せるより、小さなAPI修正やテスト追加から試した方が、Airの作業の流れを理解しやすいと思います。
まとめ
JetBrains Airは、複数のAIコーディングエージェントをまとめて扱うための開発環境です。
特に便利なのは、次の点です。
JetBrains Airのメリット
- Claude、Codex、Gemini、Junieなどを切り替えられる
- 複数のタスクを並列で実行できる
- Git WorktreeやDockerで作業を分離できる
- AIが変更したコードを画面上で確認できる
- 実装用AIとレビュー用AIを分けられる
-
AGENTS.mdやSkillsで開発ルールを共有できる
Claude CodeやCodex CLIを単独で使うよりも、複数のタスクやエージェントを管理しやすくなります。
一方で、2026年7月時点ではPublic Previewであり、WindowsからのWSL利用など、まだ対応途中の機能もあります。
現時点では、既存のIDEやCLIを完全に置き換えるのではなく、複数エージェントのタスク管理やコードレビューを補助するツールとして使うのがよさそうです。