1. はじめに
本記事の対象者は、これからAmazon EFSを利用予定で、バーストスループットモードを選択する際の注意事項を事前に確認しておきたい方向けの内容となります。
現在参画しているプロジェクトにて、Amazon EFSのバーストスループットモードを採用しました。コストメリットがあること、数TBを利用予定で、ベースライン性能も十分であることから採用しました。
ところが、データ移行中にいくつか問題が発生しましたので共有します。
2. Amazon EFSとは
AWSのよくある質問では以下と説明されています。
Amazon EFS のよくある質問(https://aws.amazon.com/jp/efs/faq/)
Amazon Elastic File System (EFS) は、サーバーレスで完全に伸縮自在なファイルストレージを提供するように設計されており、ストレージ容量やパフォーマンスのプロビジョニングまたは管理なしでファイルデータを共有することを可能にします。
3. バーストスループットモードとは (本題)
Amazon EFSには3つのスループットモードが存在します。
- バーストスループットモード
- プロビジョニングスループットモード
- エラスティックスループットモード
今回は1番のバーストスループットモードを選択する場合の注意事項について触れていきます。
問題1:使い始めは全くスループットが出ない件
先に結論ですが、バーストスループットモードですぐに性能を上げるためには、ダミーファイルを用意しておく必要があります。
バーストスループットモードでは、「ベースライン性能」と「バースト性能」を理解する必要があります。
基本は「ベースライン性能」ですが、バーストクレジットを消費することで「バースト性能」を出すことができます。
このバーストクレジットは、Amazon EFSに格納されているファイルのサイズに応じて上限(1TBあたり、2.1TBが上限となる)が決まり、EFSへのRead/Writeが「ベースライン性能」を下回って利用されている時、バーストクレジットが貯まっていく仕組みです。
忙しくない時に温存したパワーを、忙しくなったタイミングで発揮できるイメージです。
以下画像を見てみるとわかりますが、EFSに何も格納していない状態では、スループットはかなり低いです。

参照(58スライド目):https://www.slideshare.net/slideshow/20180704-aws-black-belt-online-seminar-amazon-elastic-file-system-amazon-efs-201889-update/109317453#58
そのため、何も格納されていない状態から数TB格納しようとしても、全く進まない・・・という状況になります。
対策としては、あらかじめ余裕のあるタイミングでダミーファイルを格納しておくことです。
例えば、2TiB(1,024GiB)のファイルを3時間で格納したいというユースケースを考えると、スループットとして約186MiB/s程度必要になります。
この性能を出すためには、ダミーファイルを事前に2TiB格納しておき、バーストクレジットを上限まで貯めておくことが求められます。
2TiB格納時の「ベースライン性能」は100MiB/sで、「バースト性能」は2倍の200MiB/sとなります。
このように、ダミーファイルを用意しておくことで、即座に高いスループット性能を発揮することができます。
(もしくは、本記事では触れませんが、一時的にプロビジョニングスループットモードへ切り替えることをおすすめします。)
問題2:ライフサイクルの落とし穴
バーストスループットモードでは、ダミーファイルを用いることで、高いスループットで利用したいタイミングを調整することができました。
これにて解決・・・というわけにはいきませんでした。
次に気にしないといけないのは、バーストクレジットが貯まるのには条件があります。
問題1で説明した条件に加えて、標準ストレージに格納しているものが対象となっています。
私が陥った問題は、ライフサイクルを設定しており、事前に用意しておいたダミーファイルがIAへ移動してしまい、バーストクレジットが貯まらなくなった・・・というものです。
そのため、ライフサイクルを設定している場合は、一度ライフサイクルをオフにするか、ダミーファイルがIAへ移動しないように、Read/Writeをする必要があります。
私は、該当ダミーファイルへ、echoで追記してライフサイクルの期限を更新する方法で対策しました。
問題3:CloudWatchでのスループット確認時の勘違い
Amazon EFSのスループットの値がいくつなのかを確認する方法は、CloudWatchの「PermittedThroughput」メトリクスになります。
ただ、バーストスループットモードを利用している場合、こちらは「バースト性能」が表示されます。
「ベースライン性能」をみる方法はありません。(2026年3月現在)
私は上記メトリクスが「ベースライン性能」だと勘違いしてしまい、2倍した「バースト性能」を考慮したスループットでファイル書き込みにかかる時間を計測してしまい、大失敗しました。
スループットについては、自身で計算して求めることをおすすめします。
先に添付した画像の通りですが、ざっくり標準ストレージへ100GiB格納すると50MiB/sとなります。
4. まとめ
バーストスループットモードは、コストメリットがあるので積極的に採用していきたいですが、デメリットになり得る部分についても理解した上で利用していきましょう
また、今回は触れておりませんが、そもそもバーストクレジットが貯まらないようなワークフローでは、バーストスループットモードは向いておりませんので、他のモードを採用することをおすすめします。