1. なぜあのミスに気づけなかったのか?
「この人なら大丈夫だろう」
「いつも丁寧だし、問題ないはず」
こうした“信頼”は、チーム開発ではとても大切です
しかし、信頼が強すぎるとコードレビューの抜け漏れにつながることがあります
バグの見落とし
何度も書き直しの戻り
スケジュールの圧迫
では、なぜ人は「信用しすぎる」のか?
その背景には、心理学的なメカニズムが潜んでいます
2. 信頼しすぎてしまう心理学的な理由
① 信頼の返報性(Reciprocity of Trust)
人間は「信頼されたら返したくなる」性質があります
普段から仲が良いメンバーや、成果を出しているメンバーに対しては、
“信頼を返すために”レビューを甘くしてしまう傾向が生まれます
例:
「いつも良いコードだし今回はざっと見でいいか」
「変なところあるけど本人も気づいているはず」
これは悪気ではなく、人間が持つ自然な反応です
② ハロー効果(Halo Effect)
ある1つの良い特徴が、その他の評価にも影響してしまう心理現象です
例:
「Aさんはアルゴリズムに強い」→「レビューも問題ないだろう」
「丁寧な人だ」→「バグを出すはずがない」
コードの品質とは関係ない“印象”が、レビューの判断に影響してしまうわけです
③ 楽観バイアス(Optimism Bias)
「問題は起きないだろう」と楽観的に判断するクセです
人は不確実な状況に直面すると、コストを避けるために楽観的な解釈を選びがちです
例:
「チェックはしてないけどたぶん動く」
「この規模なら問題ない」
レビューは本来、「疑って確認する」作業ですが、そこに楽観バイアスが入ると、致命的な見落としになります
3. 信頼しすぎた結果、何が起きるのか
信頼が悪いわけではありません
ただし、レビューでは以下のような「負の連鎖」が起こります
❶ ミスが見落とされる
「大丈夫だろう」でスルーされる
❷ リリース後に不具合発覚
想定外の動作、ロジック不整合、パフォーマンス低下
❸ 何度も戻りが発生する
結局、時間を奪われ、ストレスも増える
❹“あの人のレビューは甘い”と評価される
これは一番つらい信頼した結果、逆に自分の評判に影響してしまう
4. 信頼 × 仕組み化が最強の組み合わせ
信頼は人間関係の基盤です
ですが、レビューにおける「信頼しすぎ」は品質を落とすリスクでもあります
そこで重要になるのは——
「人を信頼する」ことと、「仕組みで守る」ことの両立
✔ 仕組み化の例
① 事前チェックリストの導入
チェックリストは、人間の「認知資源を節約する」という心理特性に基づき、
ミスを減らす効果が実証されています
② ペアレビューを定期的に入れる
第3者の視点を入れると、ハロー効果や楽観バイアスを軽減できます
③ コメントテンプレートを固定化
レビュー観点がブレにくくなり、「信頼による甘さ」を減らせます
④ 認知バイアス研修の導入(軽くでOK)
自分の思考のクセを知るだけで、判断精度は大きく向上します
エンジニアの仕事は多岐にわたるので、なるべく仕組み化させましょう