はじめに
- この記事はプレゼントカレンダーへの投稿記事です
- 面白そうなテーマカレンダーだったため、その中の"Integrity"について触れてみます
Integrityに対する記事を書くきっかけ
- ちょうど今月、アドベントカレンダーのソロチャレンジ企画をやっています
- その中でドラッカーのマネジメントを引用し、Integrity(真摯さ)について触れました
- 私が日々マネージャーとして仕事をする中で、最も根本で常に考えていることです
- これをテーマに1本記事を書くのも面白いかな、というモチベーションです
Integrity 言葉の定義から
WHIさんの定義
- スポンサーのWorks Human Intelligenceさんでは、次の定義のようです
Integrity「品格を持って誠実に取り組む」
引用:WHIの7つの「Value」に沿ったエピソードを語ってください! by Works Human Intelligence Advent Calendar 2022
辞書の定義
- 辞書で見てみましょう
高潔、誠実、清廉、完全な状態、無傷
引用:英語「integrity」の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書
- 恐らく、"誠実"が一番メジャーな翻訳でしょう
ドラッカーの定義
- "マネジメントの発明者"ドラッカー著作でも、度々"Integrity"が登場します
- 文脈としては、マネージャーが始めから持っておくべき唯一不可欠な資質です
- 詳しくは次の記事で解説していますので、ご参照ください
- また、Integrityに関して、ドラッカー著作のほとんどを日本語訳された上田惇生さんも、思い入れの強い日本語訳として話題に上げています
[エッセンシャル版]制作のきっかけは、ドラッカーが最新の論文で「マネジメントのパラダイムが変わった」と書いたことでした。パラダイム(構造)が変わったのならば、訳も変わるはず。そこで、編集と翻訳を新たにし、最新の論文を加えた新著が誕生しました
もちろん訳語の見直しも一から行いました。『もしドラ』のキーワードにもなった「真摯さ」が生まれたのもこのときです。それまで「integrity」は「誠実さ」と訳していたのですが、それでは言い足りない気がしてずっと気になっていました。そしてある日、新たに設立したものつくり大学(埼玉県行田市)近くのあぜ道を歩いていたとき、「真摯さ」という言葉に確信がもてたのです。
引用:P.F.ドラッカー 完全ブックガイド
- 私がここで主張したいのは、誠実さや真摯さといった訳が合っている/間違っているというわけではなく、Integrityという単語のもつ絶妙なニュアンスを感じ取って考えるべきでは、という点です
- そのため、この記事では敢えてIntegrityのまま表記します
マネージャーとしてのIntegrity
- さて、仕事においてIntegrityが問われる瞬間はどんな時でしょうか
- これは結構難問です
- Integrityの形は無数にあるため、定義が難しいでしょう
- この難問に関しても、ドラッカーを引用します
真摯さの定義は難しい。だが、マネジャーとして失格とすべき真摯さの欠如を定義することは難しくない。
①強みよりも弱みに目を向ける者をマネジャーに任命してはならない。できないことに気づいても、できることに目のいかない者は、やがて組織の精神を低下させる。
②何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者をマネジャーに任命してはならない。仕事よりも人を重視することは、一種の堕落であり、やがては組織全体を堕落させる。
③真摯さよりも、頭のよさを重視する者をマネジャーに任命してはならない。そのような者は人として未熟であって、しかもその未熟さは通常なおらない。
④部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。そのような者は人間として弱い。
⑤自らの仕事に高い基準を設定しない者もマネジャーに任命してはならない。そのような者をマネジャーにすることは、やがてマネジメントと仕事に対するあなどりを生む。
引用:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則
- マネージャーとして経験がある方なら、心当たりがあるのではないでしょうか
- 特に1つ目の"強みよりも弱みに目を向ける"というのは、マネージャーが最も陥りがちです
- マネジメントと言うと、どうしても"管理"とか"指導"が頭をよぎります
- そして、できないことを指摘ばかりするマネージャーになってしまいます
- 弱みを一切見なくていいというわけではありません
- 例えばその弱みが周囲に悪影響を与えていたり、その人のビジョン達成の大きな障害になっているなら、しっかり指摘すべきです
- しかしドラッカーは「組織では強みを活かし、弱みを中和する」と語っています
- 弱みばかり着目せず、どうしたら強みを活かし、弱みを中和できるか考えることが、マネージャーとしてのIntegrityの第一歩でしょう
ITエンジニアとしてのIntegrity
- ITエンジニアとして働く中で、Integrityの重要性を感じる瞬間は多々あります
- 例えば
- システムトラブルが起きて、エラー通知が鳴り止まない時
- 再現の取れないバグが起きて、困っている時
- こういったピンチの時に、Integrityは現れやすいです
- 見て見ぬ振りをするのか
- 分からないから一言声かけて任せるのか
- 分からないなりに調査してみるのか
- 終息後も、分からなかったから学ぼうとするのか
- それとも横目で見るだけなのか
- もちろん業務の優先順位や忙しさにもよるので、全てのピンチに反応や対応するのは難しいでしょう
- しかしチームで起きたピンチを対岸の火事として眺めていると、いつまでもそういったピンチを乗り越える力は身に付かないです
- そう考えると、Integrityはチームのためでもあり、自身の成長のためにも大きな役割を果たす資質でしょう
実際あったIntegrityエピソード
- もう5年ほど前の出来事です
- 仕事の中で、イベントホールを終日貸し切って行うイベントがありました
- そこでは自社製のWebシステムによって顧客管理をしていました
- しかしイベント当日、システムに不具合が見つかり、運営に多大な影響を及ぼしてしまいました
- 一般的なWebサイトならメンテナンスに切り替えればおおごとにならないでしょう
- しかしイベントホールを貸し切っている以上、ブースを設置いただいているクライアント様、イベントホールまで足を運んでくださったお客様がいらっしゃいます
- ということは、一刻も早い修正が必要です
- その日私は万が一のトラブル対応要員として勤務しており、それが悪い形で的中した形です
- 一般的なWebサイトならメンテナンスに切り替えればおおごとにならないでしょう
- 実装スケジュールは把握していましたが、設計や実装は私ではなかったため、当日コードを読み解きながら修正をした記憶があります
- なんとか修正はしたものの、次から次へと別の不具合が見つかり、結局1日中、不具合修正に追われることとなりました
なぜこの事態が起きたのか
- そもそもこのトラブルは、それに至る背景がありました
- このイベントのために新機能を実装しており、そのスケジュールに無理があったのです
- 期限ギリギリ、なんとか完成したのは前日
- つまり、しっかり動作確認をする余裕もなく、ほとんどぶっつけ本番になっていたのです
- あらかじめそのシステムが動かないと回らないオペレーションでイベント設計されていたのが悪く働きました
- スケジュールのマズさは1週間前には気付いていたものの、止める判断を最初から除外していました
- 結果として、多くのステークホルダーにご迷惑をお掛けする事態になりました
ここからの学び
- そもそもスケジュールに関する意識の甘さがありました
- 前日であっても、それは"間に合った"と認識していました
- 十分なテストスケジュールを確保するため、それ以降のイベント運営では最低1週間前には機能を完成させ、そこに間に合わない実装は代替案に切り替えることとなりました
- "Noと言う勇気"
- マズいと分かっていても、スケジュールやイベント運営上引くに引けない状況でした
- そのまま決行したことは大きな誤りであり、これこそIntegrityの欠如の最たる例です
- それ以降、保身のためにYesばかり言うのではなく、止めるべき時はNoと言う勇気をもつようになりました
- 必ずしもそれを守りきれていないのは、まだまだ自身の甘さでもあります
最後に
- 結論、Integrityって重要だよねということです
- それはマネージャーであっても、ITエンジニアであっても同じことです
- いちビジネスパーソンとして、もっと言うなら1人の人間として、Integrityを持ち続け、磨き続けていきたいものです