はじめに
以前の記事では、Claude Desktop から Docker の MCP サーバーや Perplexity の MCP サーバーを使って情報を得たり GitHub に Issue を作成する方法を紹介しました。
今回は、awslabs/mcp に公開されている AWS の MCP サーバーのなかから AWS Documentation MCP Server を使って AWS のドキュメントを取得・検索する方法を紹介します。macOS や Linux 環境では awslabs/mcp リポジトリの README に記載されている方法でも可能ですが、Windows 環境では MCP サーバーの指定方法が異なります。本記事では Windows 環境での方法を紹介します。
参考情報
AWS MCP Servers とは
awslabs/mcp の説明によると、AWS MCP Servers は、AWS のベストプラクティスをお客様の開発ワークフローに直接導入する MCP 専用サーバー群と書かれています。
A suite of specialized MCP servers that bring AWS best practices directly to your development workflow.
AWS MCP Servers のひとつ、AWS Documentation MCP Server には以下の機能があります。この MCP サーバを Claude Desktop から使用すると、AWS のドキュメントを PDF や HTML でダウンロードして RAG を構築するといった手間を掛けずに AWS のドキュメントから情報を取得することができます。
- ドキュメントを読む: AWS のドキュメントページを取得し、マークダウン形式に変換する
- ドキュメントを検索する: 公式の検索 API を使用して AWS ドキュメントを検索する
- レコメンデーション: AWS ドキュメンテーションページの推奨コンテンツを取得する
前提条件
- Windows 11 を使用
- Claude Desktop 0.9.0 以降(この記事では Windows 版 0.9.0 を使用)
Python 環境の構築
uv のインストール
AWS Documentation MCP Server では uv による Python パッケージとプロジェクト管理ツールを使用します。uv の公式ドキュメントに従って uv をインストールします。
powershell -ExecutionPolicy Bypass -c "irm https://astral.sh/uv/install.ps1 | iex"
> uv --version
uv 0.6.11 (0632e24d1 2025-03-30)
Python のインストール
uv をインストールしたら、Python 3.10 もしくはそれ以上のバージョンをインストールします。AWS Documentation MCP Server の公式ドキュメントには uv コマンドでインストールする手順が記載されていますが、他の手段でインストールした Python でも動作するかもしれません。
uv python install 3.10
Claude Desktop のセットアップ
インストール
Claude.ai 公式サイトからインストーラーをダウンロードしてインストールします。
MCP サーバーの設定
続いて、AWS Documentation MCP Server の公式リポジトリに従って AWS Documentation MCP Server をインストールします。
- Claude Desktop を起動し、左上のハンバーガーメニューから「ファイル」→「設定」を選択
- 設定ウィンドウから「開発者」を選択
- 「構成を編集」をクリックしてエクスプローラーを開く
-
claude_desktop_config.json
を編集(場所:C:\Users\{ユーザー名}\AppData\Roaming\Claude\claude_desktop_config.json
)
claude_desktop_config.json
に以下の設定を追加します。AWS Documentation MCP Server のドキュメントでは args
に awslabs.aws-documentation-mcp-server
のみを指定していますが、Windows 環境では異なることに注意してください。
{
"mcpServers": {
"awslabs.aws-documentation-mcp-server": {
"command": "uvx",
"args": [
"--from",
"awslabs-aws-documentation-mcp-server",
"awslabs.aws-documentation-mcp-server.exe"
],
"env": {
"FASTMCP_LOG_LEVEL": "ERROR"
},
"disabled": false,
"autoApprove": []
}
}
}
設定後、Claude Desktop を再起動します。メニューから「終了」を選択して閉じ、再度起動します。ウィンドウを閉じただけでは設定が反映されないため注意してください。
動作確認
Claude Desktop を起動すると、チャット画面にハンマーのアイコンが表示され、設定した権限に応じて利用可能な MCP ツールが表示されます。前回までの記事で GitHub の MCP サーバーと Perplexity の MCP サーバーを設定している場合、18 個のツールに今回のツールが加わり 21 個のツールが表示されます。
ハンマーのアイコンをクリックすると、利用可能な MCP ツールが表示されます。その中に read_documentation
、search_documentation
、recommend
が表示されていることを確認できます。
使用例: ドキュメントの検索
AWS Documentation MCP Server を使うには、プロンプトに「AWS に関するキーワード」と「ドキュメントから探して」のように AWS のドキュメントから検索を行うことを明示的に指定すると、AWS Documentation MCP Server が検索を行うようです。この MCP サーバーを使うかどうかは LLM が動的に判断しているので、この指定であっても MCP サーバーを使わない回答となる場合があります。
以下のような質問をしてみましょう:
Ubuntu環境でコマンドラインでS3にファイルをアップロードする方法をドキュメントから探して。
Claude は最初に AWS Documentation MCP Server の実行許可を求めます。
許可を与えると、AWS Documentation MCP Server が Ubuntu 環境でコマンドラインで S3 にファイルをアップロードする方法をドキュメントから探して、Claude に回答を返します。
まとめ
Windows 環境では、claude_desktop_config.json
に設定する MCP サーバーの定義が公式ドキュメントと異なることを紹介しました。Windows 環境で Cursor エディタや Cline の MCP 機能を使う場合もこの定義が利用できると思います。
Claude Desktop で AWS Documentation MCP Server を使うと、AWS ドキュメントを PDF や HTML でダウンロードして RAG を構築するといった手間を掛けずに AWS のドキュメントから情報を取得することができます。