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新人こそ、臆せず「もっと良くできるかも」を出していい

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はじめに

未経験からIT業界に入ると、最初はわからないことだらけです。

コードが読めない。
専門用語がわからない。
会議で何を話しているのか追いつけない。
質問していいのかも迷う。

だからこそ、最初のうちは「まずは黙って覚える」「とにかくメモを取る」「余計なことを言わない」と考えがちです。

もちろん、メモは大事です。
質問を整理する力も大事です。
相手に伝わる文章を書く力も、エンジニアにとってかなり重要です。

ただ、そこで止まらなくていいと思っています。

新人だからこそ、自由に意見を出していい。
新人だからこそ、「これ、もっと効率よくできませんか?」と言っていい。
新人だからこそ、現場に新しい風を入れられる存在であっていい。

この記事では、これからIT業界を目指す人や、配属されたばかりの新人エンジニアに向けて、**「新人が意見を出すことは迷惑ではなく、チームにとって価値になる」**という話をします。


新人の「わからない」は、実はかなり価値がある

現場に長くいる人ほど、業務のやり方に慣れています。

慣れていること自体は、とても強いです。
速く作業できますし、トラブルにも対応できます。

一方で、慣れすぎると次のようなことが起きます。

  • 手順が複雑でも「そういうもの」と感じる
  • 同じ説明を毎回していても、問題だと気づきにくい
  • 古い運用が残っていても、疑問を持ちにくい
  • 本当は自動化できる作業を、人力で続けてしまう

そこに新人が入ると、素朴な疑問が出ます。

「なぜこの作業を毎回手でやるんですか?」
「この確認、チェックリスト化できませんか?」
「この説明、ドキュメントにしておくと次の人が楽になりませんか?」
「同じ入力を何回もしている気がするのですが、まとめられませんか?」

この疑問は、経験不足から出るものかもしれません。
でも同時に、現場が見落としていた改善点かもしれません。

新人の「わからない」は、単なる弱点ではありません。
チームにとっては、慣れによって見えなくなった非効率を見つけるセンサーです。


「まず覚える」だけでは、もったいない

新人の時期に、基本を覚えることは大事です。

  • 業務の流れ
  • 開発環境の使い方
  • Gitの運用
  • チケットの書き方
  • コードレビューの受け方
  • 質問の仕方
  • 報連相の仕方

これらを軽視していい、という話ではありません。

ただし、覚えることだけが新人の仕事ではないと思います。

新人は、既存のやり方を学びながら、同時に次の視点を持つことができます。

「この作業は、次に入る人にとってわかりやすいだろうか?」

これは新人にしか持ちにくい視点です。

半年後、一年後には自分も現場に慣れます。
すると、最初に感じた違和感を忘れてしまいます。

だから、配属直後の「ここがわかりにくい」「ここで詰まった」「ここは説明がないと無理」という感覚は、かなり貴重です。

その違和感をメモに残し、整理し、改善案として出す。
それができる新人は、ただ教わるだけの存在ではなく、チームを良くする存在になります。


メモは「覚えるため」だけでなく「改善するため」に使う

メモを取る目的は、忘れないためだけではありません。

もちろん、同じ質問を何度も繰り返さないためにメモは必要です。
でも、それだけだと少しもったいないです。

メモは、改善の材料にもなります。

たとえば、次のようにメモを分けておくと、後から改善案に変えやすくなります。

メモの種類 書くこと 改善につながるポイント
手順メモ 作業の順番、コマンド、画面操作 手順書化、自動化、チェックリスト化
疑問メモ なぜそうするのか、何がわからないか 教育資料の改善、説明不足の発見
つまずきメモ どこで止まったか、何に時間がかかったか 新人向けオンボーディング改善
重複メモ 同じ入力、同じ確認、同じ説明 テンプレート化、自動化
危険メモ 間違えやすい操作、影響が大きい作業 レビュー観点、手順の安全化

メモを「自分用の備忘録」で終わらせず、チームの資産に変える意識を持つと、価値が一段上がります。


新人の改善提案は、小さくていい

改善提案というと、大げさに聞こえるかもしれません。

しかし、最初から大きな改革をする必要はありません。

むしろ新人のうちは、小さな改善の方が向いています。

たとえば、こういうもので十分です。

  • よく使うURLを一覧化する
  • 環境構築手順の抜けを追記する
  • 質問テンプレートを作る
  • チケット作成時の入力例をまとめる
  • よくあるエラーと対応方法をメモする
  • レビュー前チェックリストを作る
  • 手作業のコマンドをスクリプト化できないか相談する
  • AIに投げるプロンプトの型を整備する

これらは地味です。
でも、現場ではかなり効きます。

なぜなら、毎日少しずつ発生する迷いや手戻りを減らせるからです。

大きな成果だけが改善ではありません。
毎回5分かかっていた迷いを1分にすることも、立派な効率化です。


改善の流れを図にすると、こうなる

ポイントは、いきなり変えようとしないことです。

まず違和感をメモする。
次に、何が問題なのか整理する。
安全に試せるなら小さく試す。
影響がありそうなら、先輩や上長に相談する。

この流れを守れば、新人でもかなり意見を出しやすくなります。


「自由に意見を言う」と「好き勝手にやる」は違う

ここは大事です。

新人が自由に意見を言っていい、というのは、好き勝手に作業していいという意味ではありません。

特にITの現場では、次のようなものがあります。

  • セキュリティルール
  • コーディング規約
  • レビュー手順
  • リリース手順
  • 障害対応ルール
  • 顧客との契約や運用ルール

これらを無視して「こっちの方が効率的です」と進めるのは危険です。

効率化は大事ですが、品質や安全性を壊してはいけません。

だからこそ、意見を出すときは次の形にすると安全です。

背景:今こういう作業をしています。
困りごと:ここで毎回時間がかかっています。
提案:こうすると少し楽になるかもしれません。
影響範囲:自分の作業メモ、またはチーム内の手順書だけです。
確認したいこと:この方向で試しても問題ないでしょうか?

この形なら、いきなり現場を変えようとしている感じになりません。
相手も判断しやすくなります。


意見の出し方で、受け取られ方は大きく変わる

同じ内容でも、言い方によって印象は変わります。

たとえば、次の言い方は少し危ないです。

このやり方、非効率じゃないですか?
なんで自動化してないんですか?
この手順、古くないですか?

言っていることが正しくても、相手には攻撃的に聞こえるかもしれません。

新人が意見を出すときは、次のようにすると伝わりやすいです。

自分がまだ慣れていないだけかもしれませんが、この作業で少し迷いました。
次に同じ作業をする人向けに、手順を1枚にまとめてもよいでしょうか?

この確認を毎回手で行っているように見えたのですが、チェックリスト化すると抜け漏れを減らせそうだと思いました。
試しに自分用メモとして作ってみてもよいですか?

この入力作業が何度か重複しているように見えました。
将来的にテンプレート化できる余地があるか、少し調べてみてもよいでしょうか?

ポイントは、相手を否定しないことです。

「今のやり方が悪い」と言うのではなく、
「もっと楽にできるかもしれない」
「次の人が迷わなくなるかもしれない」
「抜け漏れを減らせるかもしれない」
という形で出すと、前向きな提案になります。


新人が出しやすい改善アイデアの例

1. 手順書の改善

新人が最初につまずくのは、環境構築や初回作業です。

たとえば、手順書にこういう抜けがあることがあります。

  • どのツールを先に入れるのかわからない
  • 画面名が今のバージョンと違う
  • コマンドをどのフォルダで実行するのかわからない
  • エラーが出たときの対応が書かれていない
  • 前提条件が書かれていない

これは新人が一番気づきやすい改善ポイントです。

自分が詰まった箇所をメモし、あとから手順書に追記できれば、次の新人は同じところで止まりにくくなります。


2. 質問テンプレートの作成

新人は質問に悩みます。

「何がわからないのか、わからない」状態になることもあります。

そこで、質問テンプレートを用意すると便利です。

【やりたいこと】
〇〇を実行したいです。

【起きていること】
△△というエラーが出ています。

【試したこと】
・Aを確認しました
・Bを再実行しました
・Cの記事を読みました

【自分の仮説】
□□が原因ではないかと思っています。

【確認したいこと】
次にどこを確認すべきでしょうか?

このテンプレートは、自分のためにもなります。
同時に、先輩が回答しやすくなるので、チーム全体の時間も節約できます。


3. チェックリスト化

レビュー前やリリース前の確認は、抜け漏れが起きやすいです。

新人のうちは、何を確認すべきかわからず不安になります。

だからこそ、チェックリストが効きます。

## レビュー依頼前チェック

- [ ] チケット番号をコミットメッセージに含めた
- [ ] 不要なコメントアウトを残していない
- [ ] ローカルで起動確認した
- [ ] テストデータを戻した
- [ ] 画面のスクリーンショットを添付した
- [ ] 仕様と違う判断をした箇所は理由を書いた

最初は自分用で構いません。
使ってみて良さそうなら、チームに共有できます。


4. AI活用ルールの整備

今はAIにコードや説明を手伝ってもらえる時代です。

ただし、AIを使うときは注意も必要です。

  • 機密情報を入れない
  • 顧客情報を入れない
  • 出力をそのまま信用しない
  • ライセンスやセキュリティに注意する
  • 最後は人間が判断する

新人がAIを使うなら、まずは安全な範囲で活用するとよいです。

たとえば、次のような用途です。

  • エラーメッセージの意味を調べる
  • コードの読み方を説明してもらう
  • 質問文を整理してもらう
  • 手順書のたたき台を作る
  • チェックリストの案を作る
  • 自分の理解が合っているか確認する

AIは、先輩の代わりではありません。
でも、質問前に自分の考えを整理する相棒にはなります。

新人がAIをうまく使えると、学習速度も上がりますし、先輩に聞く内容も具体的になります。


意見を出す前に確認したい3つのこと

新人が改善案を出すときは、次の3つを確認すると安全です。

1. それは本当に困りごとか

自分だけが一度迷っただけなのか。
他の人も毎回困っているのか。
次の新人も同じところで詰まりそうなのか。

ここを確認すると、提案の説得力が上がります。

2. 影響範囲はどこまでか

自分のメモを直すだけなのか。
チームの手順書を変えるのか。
本番作業に関わるのか。
顧客対応に影響するのか。

影響範囲が広いほど、慎重に相談する必要があります。

3. 小さく試せるか

いきなり全体を変える必要はありません。

まずは自分用のメモで試す。
次に隣の人に見てもらう。
その後、チームに共有する。

このように段階を踏むと、改善案は通りやすくなります。


新人の提案がチームにもたらすもの

新人が意見を出せるチームには、良いことが多いです。

新人の小さな疑問が、チーム全体の改善につながることがあります。

たとえば、環境構築で新人が3時間詰まったとします。
その原因を手順書に追記した結果、次の新人が30分で済むようになったとします。

これは立派な成果です。

コードを書いたわけではないかもしれません。
でも、チームの時間を節約しています。

エンジニアの価値は、コードの行数だけでは決まりません。
チームがより安全に、より速く、より迷わず進める状態を作ることも価値です。


「新人だから黙る」ではなく「新人だから聞く、書く、提案する」

新人のうちは、どうしても遠慮してしまいます。

「こんなことを言ったら失礼かもしれない」
「自分が知らないだけかもしれない」
「まずは全部覚えてから意見を言うべきかもしれない」

そう考える気持ちは自然です。

でも、全部わかるようになってから意見を出そうとすると、たぶん遅いです。

なぜなら、全部わかる頃には、最初に感じた違和感を忘れているからです。

だから、新人のうちは次の姿勢でいいと思います。

わからないから黙るのではなく、
わからないから丁寧に聞く。

未熟だから提案しないのではなく、
未熟だからこそ小さく試す。

経験がないから価値がないのではなく、
経験がないから見える景色を共有する。

この姿勢は、チームにとっても本人にとってもプラスになります。


ただし、先輩側への敬意は忘れない

新人が意見を出すときに、もう一つ大切なことがあります。

それは、既存のやり方には必ず理由があるかもしれない、という前提を持つことです。

一見すると非効率に見える作業でも、次のような理由があるかもしれません。

  • 監査上、手作業の記録が必要
  • 顧客指定の手順がある
  • 過去に自動化で事故が起きた
  • 古いシステムの制約がある
  • 他部署との都合がある
  • 本番環境では使えないツールがある

だから、いきなり否定しない。
まずは理由を聞く。
その上で、改善できる余地があるか相談する。

この姿勢があると、意見はかなり受け入れられやすくなります。


新人におすすめしたい行動

最後に、これからIT業界を目指す人や新人エンジニアにおすすめしたい行動をまとめます。

1. 自分が迷ったところを残す

迷ったところは、次の人も迷う可能性があります。
そのメモは、未来の誰かを助けます。

2. 質問前に、少しだけ整理する

完璧な質問でなくていいです。
「何をしたいか」「何が起きているか」「何を試したか」だけでも整理すると、会話が進みやすくなります。

3. 小さな改善案を出す

手順書、テンプレート、チェックリスト、リンク集、エラー集。
小さいものでいいです。

4. いきなり変えず、まず相談する

現場には見えない事情があります。
だから、提案は相談ベースで出しましょう。

5. 「自分が楽になる」だけでなく「次の人が楽になる」を考える

この視点があると、改善案はチームに受け入れられやすくなります。


まとめ

新人に必要なのは、ただ黙って覚えることだけではありません。

メモを取る。
文章を整える。
質問する。
違和感を残す。
小さく試す。
改善案として共有する。

ここまでできれば、新人は十分にチームへ貢献できます。

新人は、まだ何も知らない存在かもしれません。
でも、だからこそ見えるものがあります。

現場に慣れた人が見落としている不便さ。
初めて触る人がつまずくポイント。
次に入る人が困りそうな場所。
繰り返し説明されているのに、まだ整備されていない手順。

それらに気づけることは、新人の強みです。

新人こそ、臆せず意見を述べていい。
新人こそ、効率化を創意工夫していい。
新人こそ、チームに新しい風を入れる存在であっていい。

ただし、相手を否定するのではなく、敬意を持って、具体的に、小さく提案する。

それができれば、あなたの「わからない」は、チームを良くする力になります。


おまけ:改善提案テンプレート

最後に、そのまま使えるテンプレートを置いておきます。

【背景】
現在、〇〇の作業で△△を行っています。

【困っていること】
□□の部分で毎回少し時間がかかっています。
また、初めて作業する人はここで迷いやすいと感じました。

【提案】
まずは自分用に、手順メモ/チェックリスト/テンプレートを作ってみたいです。
問題なければ、チーム内にも共有したいです。

【期待できる効果】
・作業時の迷いを減らせる
・質問の回数を減らせる
・抜け漏れを減らせる
・次に入る人が作業しやすくなる

【確認したいこと】
この方向で一度試してみてもよいでしょうか?

新人の改善提案は、このくらい小さくていいです。
小さく始めて、良ければ広げる。
それだけでも、チームは少しずつ良くなります。

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