はじめに
- 変更履歴を保存せずにWordファイルに内容を上書きするのは危険である。
- 内容を消した状態で保存すると元に戻せない。Wordファイル自体を消してしまうと元に戻せない。
あまり望ましくない対策
- Wordの校閲ツールで変更履歴を保存
- 共同編集する校閲ツールとしては非常に優れているが、いくつか欠点がある。
- (おそらく)複数回前の履歴一覧を見ることができない。
- Wordファイル自体を消してしまうと元に戻せない。
- 図表番号が反映されないバグがある。
- バージョンごとに新しいファイル名で保存する。
-
卒論_1章_ver1.docx
、卒論_1章_ver2.docx
、...みたいな感じ - 保存する手間がかかる。容量がひっ迫される(Dropbox等の保存容量が制限されているクラウドストレージを用いている場合は困る)。
- 非常に細かい変更履歴管理をしづらい(ファイル数が増えるため)
- 何を変更したのかメモできない。.txtファイル等で別途管理する必要がある。
-
- Google Driveの変更履歴を利用
- ファイルごとの管理はできるがフォルダごとの管理はできない(はず)
- 測定データを含むフォルダ全体を巻き戻したい場合、ファイル一個一個につき処理を行う必要がある。
- ファイルごとの管理はできるがフォルダごとの管理はできない(はず)
今回紹介する方法
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GitHubデスクトップ
というアプリで変更履歴管理を行う。- 変更履歴はgitで管理
- GitHubでオンライン上に変更履歴を保存する。PCが壊れた時の対策。
-
共同編集は校閲ツールで行う
- 変更前のファイルと変更を加えるファイルを用意(ファイルは2個で済む)。
- 両方とも変更履歴を停止する。
-
変更内容の組み込み
機能を用いて変更内容を反映。
- 変更前のファイルと変更を加えるファイルを用意(ファイルは2個で済む)。
環境構築
GitHubアカウントの作成
- アカウント作成を参考に行う。
GitHubデスクトップのインストール・設定
変更履歴を管理するフォルダの指定
-
リポジトリの作成の
新しいリポジトリの作成
を行う(チュートリアルリポジトリの作成とクローン
ではない)。Local Pathは変更履歴を管理したい卒論の入っているフォルダを指定する。 -
リポジトリのアップロードの
パート4: リポジトリを GitHub に公開する
を参考にして、先ほど作ったリポジトリをGitHub上にアップロードする。-
Keep this code private
にチェックがついていることを確認する。ついている限りほかの人から見られることはない。
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Wordの変更履歴を見れるようにする設定
- 設定を参考にtikaとJavaのインストールを行う。
変更履歴記録の流れ
- 添削してもらったWordファイルをコピーして
ファイル名_base.docx
、ファイル名.docx
の二つのファイルを作る。- 編集するのは
ファイル名.docx
である。
- 編集するのは
Git側
- Wordである程度変更を加える。
- GitHubデスクトップを開く
- Summaryをクリックして今回の変更内容を簡潔に述べる。
- Changes内の任意のファイルをクリックすると変更内容が表示される。
- Historyで過去の変更履歴を見れる。
- Commit to masterで変更内容をPCのリポジトリに保存。
- Changes内の任意のファイルをクリックすると変更内容が表示される。
- 定期的に中央上のPush originでGitHub上に変更履歴をアップロード。
- Repository>View on GitHubで実際にアップロードされていることを確認できる。
- 提出できる状態になるまで以上の流れを繰り返す。」
Word側
- 提出できる状態になったら、Wordの校閲ツールの中から
ファイルを比較
を選び、ファイル名_base.docx
、ファイル名.docx
を比較する。 - これによって変更内容がWordの校閲ツールに反映されたため、提出する。
詳細(おまけ)
gitでできること
- 変更履歴をCommitの形で管理
- 変更内容をChanges上で見やすい形で見ることができる
- 初版からすべての変更履歴を簡単にHistoryからみることができる。
- Revert Commitで変更履歴の巻き戻しが可能。
- Branchで複数の方向の変更を行う場合でも対応可能。
- Mergeで複数人、複数の方向の変更をまとめることが可能。