まだ提案段階なので解禁されるにしてもずっと先の話ですが、もしかしたらいずれhttps://邪.影.闘.気.殺.炎/
のドメインが取れるようになるかもしれません。
現在、国際化トップレベルドメインは2文字以上という制限になっています。
なっていますということらしいのですが、具体的にこの仕様がどこで決まっているのか見つけられませんでした。
RFC 1034・RFC 2181・RFC 3490・RFC 4185あたりには書かれていないっぽいです。
まあともかく、いまのところ.日本
や.コム
といった2文字以上の国際化トップレベルドメインを発行することは可能(実際に取得できるかは別として)ですが、.陰
とか.陽
とかの1文字は許されていないようです。
ということで2024/07/27に、漢字一文字のトップレベルドメインを取れるようにしようという提案のパブコメ募集が行われました。
Han Script Single Character IDN Generic Top-Level Domainsという名前から分かるように中国語がメインの話なのですが、日本語その他のマルチバイト文字についてももちろん考えられています。
1文字トップレベルドメインの歴史は割と古くて、最初の提案は2011年です。
当時の調査結果では、技術的には問題ないが、別言語で見た目がほぼ同じ文字があるので無制限に許可すると危険である、といったまとめになっていました。
そんなわけで当時は許可されませんでした。
その後も、主に中国語圏のコミュニティから希望があったようで、1文字ドメインについて何度も会合が行われてきました。
そして最終的に使用できる文字を制限するという方向で仕様を固めたみたいです。
トップレベルドメイン申請プロセスの一環として、文字類似性レビューを行います。
制限といっても許可される文字は1万文字以上あるみたいなので、実質的に困ることはないでしょう。
ということでこちらの提案について、2024/08/16までパブコメを募集していたのですが、残念ながらポジティブな意見はほとんどありませんでした。
パブコメ
せっかく日本語にも関連する提案なのに、パブコメに日本人は見当たりませんでした。
パブコメはおそらく全員中国人です。あとSPAM。
https://www.icann.org/en/public-comment/proceeding/seeking-input-on-han-script-single-character-idn-generic-top-level-domains-27-06-2024/submissions/china-internet-network-information-centercnnic-15-08-2024
複数文字に比べると、1文字トップレベルドメインはユーザが誤解する可能性が高い。
潜在的なリスクを考えると、この提案は慎重な扱いと、厳格な運用を講じる必要があるだろう。
https://www.icann.org/en/public-comment/proceeding/seeking-input-on-han-script-single-character-idn-generic-top-level-domains-27-06-2024/submissions/china-academy-of-information-and-communications-technology-caict-15-08-2024
セキュリティについて未解決の問題がまだ残っているので、保守的なアプローチをとる必要がある。
CGPとICANNはの1文字トップレベルドメインについての見解は矛盾している。
https://www.icann.org/en/public-comment/proceeding/seeking-input-on-han-script-single-character-idn-generic-top-level-domains-27-06-2024/submissions/tsinghua-university-14-08-2024
現在のドメインに対する攻撃の多くが、同音異義語や似た名前によるものであり、技術的な手段だけでは解決が難しい。
1文字では2文字以上の漢字トップレベルドメインよりも悪用の余地が多くなるだろう。
https://www.icann.org/en/public-comment/proceeding/seeking-input-on-han-script-single-character-idn-generic-top-level-domains-27-06-2024/submissions/zhang-fazhen-12-08-2024
視覚的な類似性しか考えられておらず、中国語の表現が一意ではないという事実が考慮されていない。
https://www.icann.org/en/public-comment/proceeding/seeking-input-on-han-script-single-character-idn-generic-top-level-domains-27-06-2024/submissions/research-center-for-collation-and-standardization-of-chinese-characters-bnu-09-08-2024
漢字の区別方法が、視覚的な類似のことしか考慮されておらず、意味的な類似点が考慮されていない。
中国語は2文字の組み合わせによる語彙が中心であるため、2文字ドメインが最も有用。
https://www.icann.org/en/public-comment/proceeding/seeking-input-on-han-script-single-character-idn-generic-top-level-domains-27-06-2024/submissions/yao-jiankang-09-08-2024
私の参加した別の会合でも、1文字トップレベルドメインは支持されませんでした。
https://www.icann.org/en/public-comment/proceeding/seeking-input-on-han-script-single-character-idn-generic-top-level-domains-27-06-2024/submissions/internet-society-of-china-08-08-2024
中国語は1つの文字に複数の意味があるため、ユーザの誤解とフィッシングに繋がる。
感想
ということで、漢字一文字トップレベルドメインが使えるようになるかというとそう簡単にはいかなそうです。
まあ実際、.一
と.─
と.ー
と.━
を区別できる気がしないですよね。
並んでいれば違いがわかったとしても、単独で置いてあったらもうどれだかわかりません。
とはいえ複数文字ドメインでも.─二三
とか書かれていたら絶対騙される自信はありますけどね。