Youtubeなどの配信者の間で人気のツール「OBS Studio」ですが、ひと工夫するとWEB会議向けにも使うことができます
画面レイアウトの変更や各種フィルタが簡単に使えるため、質の高い映像を届けたい方におすすめです
環境
- macOS Monterey(12.6)
- Apple M1チップセット
- OBS 28.1.2(Mac)
メリット・デメリット
メリット
- ソフトウェアひとつで音声・映像にフィルターを(自分好みに)かけられる
- 音声
- ノイズの抑制
- 音量の調整
- 映像
- 色調補正
- 人物の切り抜き
- 音声
- 用途によって画面レイアウトを変更できる
- WEB会議向け・プレゼンテーション向けなど
- デスクトップ画面を映す・PC上の音声を出力するといったこともできる
デメリット
- 使用時はソフトウェアを常駐させておく必要がある
- 特定の用途のみで使う場合、WEB会議システムの基本機能で足りることもある
- 最近はZoomやMicrosoft Teamsに音声のノイズ除去が搭載されているといったケースもあります
- フィルターの理解に一定の知識が必要
結論
- 音声はモニタリング機能を使って仮想サウンドデバイスに出力する
- WEB会議の音声ソースに出力先の仮想サウンドデバイスを指定する
- 映像は仮想カメラ機能を使う
- WEB会議の映像ソースに仮想カメラを指定する
- 過去のバージョンでは仮想カメラ機能はプラグインでしたが、現行では標準機能として搭載されました
手順
Blackholeのインストール
OBSの音声の出力先に仮想オーディオデバイスが必要です
M1チップセットにも対応したBlackhole
というデバイスがあるため、そちらを使用します
(2ch・16ch・64chが存在しますが、今回はシンプルな用途のため2chを選択しました)
公式サイトからニュースレターの購読を登録するとインストールできます
Homebrew Cask
を使ってインストールすることもできます
$ brew install --cask blackhole-2ch
OBSのインストール
公式サイトからインストールできます
Homebrew Cask
を使ってインストールすることもできます
$ brew install --cask obs
自動構成ウィザード
初回立ち上げ時には自動構成ウィザードが起動されます
おすすめの構成を提案してくれるので、ぜひ利用しましょう
「仮想カメラのみ使用する」を選択して、「設定を適用」で適用されます
(ここで設定された内容は、後から変えることができます)
映像ソースの設定
OBSの画面から、映したい映像を設定します
- ソースの"+ボタン"を選択
- "映像キャプチャデバイス"を選択(通常のWEBカメラの場合)
- デバイス名を設定(今回は"新規作成"で"WEBカメラ"を設定)
- デバイスに映したい映像デバイス(今回は"FaceTime HD Camera")を選択
- 画面上部のプレビューに指定デバイスの映像が映し出される
映像が画面上で拡大・縮小されている場合、以下の手順で画面に合わせます
- ソースのデバイス名を右クリック
- "変換"→"画面に合わせる"をクリック
音声の設定
- OBSの設定画面(メニューから"Preferences")を選択
- 左側メニューの"音声"を選択
- "グローバル音声デバイス"の設定から"マイク音声"を選択して、出力したい音声デバイス(今回は"MacBook Proのマイク")を選択
- 下にスクロールして"詳細設定"の設定から"モニタリングデバイス"を選択して、"Blackhole 2ch"を選択
- "OK"を押して設定を閉じる
- OBSの画面に戻り、音声に"マイク"が追加されていることを確認する
- 音声の"設定(歯車マーク)"
- 名称が"マイク"のデバイスに対して、"音声モニタリング"で"モニターと出力"を選択する
フィルタの設定
- "ソース"(映像)および"音声ミキサー"(音声)からフィルタを適用したいソースを選択して右クリック
- "フィルタ"を選択
- 各項目の"+ボタン"を選択
- 適用したいフィルタを選ぶ
- フィルタの名前をつける
- フィルターのパラメータを変更する
おすすめフィルタ
設定値は筆者環境のものです
規定値から変更がある点のみ記載しています
環境によって適切な値は異なるため、参考にしつつ各自の環境に合うよう調整してください
映像
- "エフェクトフィルタ"の"色補正"
- ガンマ(0.20) : 画面内の中間の明るさを調整
- 光度(0.0300) : 画面全体を明るくする
- 色相シフト(-5.00) : 顔を白っぽく見せるために赤みを減らす。やりすぎ注意
- "音声/映像フィルタ"の"Background Removal"
- 人物の背景を除去する追加プラグイン
- ZOOMやGoogle Meetはバーチャル背景機能を提供しているため、用途によっては不要かもしれない
- 人物の背景を除去する追加プラグイン
音声
- ノイズ抑制
- 方式(RNNoise) : 精度が高いノイズ除去ライブラリ
- ゲイン
- 規定値から変更なし : 音量を上げてくれる。ノイズ抑制で音量が抑えられるため、こちらで上げている
- ノイズゲート
- 開放しきい値(-28.00 dB) : 設定値以下の音声はマイクに乗らなくなる
- 便利だが上げすぎ注意。フィルタがかかりすぎると、声が入ったり入らなかったりして聞きづらくなる
- 開放しきい値(-28.00 dB) : 設定値以下の音声はマイクに乗らなくなる
- コンプレッサー
- 規定値から変更なし : 音の強弱を圧縮して少なくするフィルタ。大きな音が入ってきた時に抑制する目的で入れている
録画して確認する
OBSの録画機能を使って、映像や音声をチェックすることができます
まずは、録画用の設定を行います
- OBSの設定画面(メニューから"Preferences")を選択
- 左側メニューの"出力"を選択
- "録画フォーマット"をマシンで再生可能なフォーマットに変更する(今回は
mp4
にしました) - (必要に応じて)"録画ファイルのパス"を任意の場所に変更する
録画を行い、映像や音声をチェックします
- OBSの画面にある"コントロール"から"録画開始"を選択
- カメラを映す・発生するなどして、テストを行う
- "コントロール"から"録画終了"を選択
- 指定の場所に録画したファイルが出力されるため、再生してチェックする
WEB会議の設定
- OBSで"仮想カメラ開始"ボタンを押す
- 各WEB会議システムで映像デバイス・音声デバイスにOBSから出力されているものを指定する
- 映像デバイス : OBS Virtual Camera
- 音声デバイス : Blackhole 2ch
- 相手に映像・音声が届いていれば完了です。お疲れ様でした
例えばGoogle Meetの場合、以下のような設定画面となります
雑記
ここで紹介している方法はOBSの基本的な部分であり、活用次第ではもっと様々なことができます
(画面レイアウトの変更・フィルター向けプラグインの追加などなど)
筆者の場合、部屋の光の入り方が昼と夜で異なるため、別々のシーンを作って使い分けています
人気のツールということもあり、調べてみるとさまざまな使い方が紹介されています
ご自身に合った会議画面を構築してくださいね
それでは、よいWEB会議ライフを!
この記事は…
ディップ Advent Calendar 2022の13日目の記事でした
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