はじめに
ムービングモチベーターズ をチームで試してみました。実施した手順とその感想をまとめておきます。
ムービングモチベーターズとは
ムービングモチベーターズは Management 3.0 のプラクティスの1つで、モチベーションを可視化するための簡単なワークショップです。10種類のカード に以下のようなモチベーションの源泉となるキーワードが書いてあります。この10種類を1セットとして1人ずつに配り、自分がモチベーションを動かされると感じるキーワードから順番に並び替えます。順番が決まったらなぜその順番に並べたのかの理由とともにチームに共有します。それぞれのメンバーが何にモチベーションを動かされるかを知ることで互いの価値観を理解し、チームのコミュニケーションを円滑にする事にもつながります。
モチベーションの源泉
キーワード | 説明 |
---|---|
受容 | 私の周りの人が、私がやっていることや私らしさを認めてくれる |
好奇心 | 調査したり、考えたりしたいことがたくさんある |
自由 | 私は自分自身の仕事と責任で他人から独立している |
地位 | 私の職位は、優れていて、いっしょに働いている人たちから認められている |
ゴール | 私の人生の目的が、私がしている仕事に反映されている |
名誉 | 私個人の価値が私の働き方に反映されていることを誇りに思う |
秩序 | 安定した環境のための十分な規則と方針がある |
熟達 | 私の仕事は難しいが、まだ能力の範囲内にある |
権力 | 私の周りに起きることを自分で左右できる裁量がある |
関係性 | 私は仕事でかかわる人々と良好な社会的つながりを持っている |
実施手順
事前準備
Management3.0のサイトから 10種類のカード をダウンロードし人数分プリントアウトしてカットし10枚1セットを作っておきます。
プリントアウトできる環境によるかもしれませんが可能ならカラーのほうが10種類が色分けされているので見やすいです。さらに可能ならカードになるような硬めの紙にプリントアウトしたほうが繰り返し使いやすいと思います。
場の設定
進め方にもよりますが十数分から数十分かかりますので会議室などに集まり1人ずつ席について行うのが良いでしょう。
テーマの確認
会社に対するモチベーションなのか、プロジェクトに対するモチベーションなのかなど、テーマによってモチベーションは変わるのでまずはテーマを共有しメンバー全員で認識を合わせます。
カードの並び替え
全員にカードを配り、10種類のカードの並び替えを行います。モチベーションが上がるキーワードを上に、上がらないキーワードは下にずらすなど、モチベーションを動かされるキーワードの順番を決めます。
共有
並び替えたキーワードの順番を一人ずつ発表します。また、なぜその順番に並べたのかの理由も説明します。ここでコミュニケーションをとることで、人によってキーワードの捉え方の違いなどがあっても補うことができます。
おわりに
所感
今回はチームで毎月行っている振り返りの冒頭で実施してみました。メンバーが何にモチベーションを感じているのかを改めて知れたり、自分との価値観の違いを感じたりなど色々気づきがあります。また、チーム全体でどのカードが一番多く選ばれたかを集計するとチームのモチベーションとしての向き先も分かります。ちなみに我がチームは「受容」が最も多く選ばれました。周囲に受け入れられたいという思いが強いんでしょうかね…
チームの振り返りはプロジェクトとは違ってメンバーが共通のゴールや成果物を意識できている場合ばかりでもないのでアジャイルレトロスペクティブズにある「場を設定する」ための手法としても使えるのではないかと感じました。ただ振り返りの中で実施する場合、振り返り本編の時間を削ることになるので時間のかけかたは注意が必要かもしれません。
まとめ
簡単に実行できて、ゲーム感覚でモチベーションを可視化する手法として有用です。
定期的に実施すればチームのモチベーションがどのように変化していくかをモニタリングすることもできそうです。
チーム全体で実施する場合それなりに時間がかかるため、はじめに目安の時間(カードを選ぶ時間や選んだ結果を1人が共有する時間など)を決めて実施するほうが良いかもしれません。
カードの選び方、共有のしかたは、以下のように場や目的に応じてアレンジしてみるのも良さそうです。
- TOP3を共有
- 上位と下位を共有
- 前回からの変化を共有(定期的に実施する場合)
もちろんムービングモチベーターズ自体が答えを示してくれるわけではないので、使い方はアジャイルコーチやチーム次第です。
参考
Management 3.0 Practice: Moving Motivators
ムービングモチベーターズ、モチベーションポーカー