はじめに

技術書を読んでいるとき、「なるほど、わかった！」と思ったのに、いざ説明しようとすると言葉に詰まる…そんな「わかったつもり」の経験はありませんか？

今回は、個人的に効果を感じている学習法を紹介します。それは「軽量AIとのラバーダッキング」です。

この学習法の概要

やり方はとてもシンプルです。

技術書を読む: まずは普通に、理解したい章や節を読み進めます。
軽量AIに要約・説明させる: 読んだ内容について、Geminiなどの軽量なAIモデルに「〇〇について説明して」とお願いします。
AIの回答を疑い、ツッコミを入れる: AIの回答を鵜呑みにせず、「あれ、ここ、ちょっと違くない？」「この場合だったらどうなるの？」と、自分の頭で考えながら具体例を挙げ、間違いを指摘したり質問を重ねたりします。

この「ツッコミを入れる」プロセスこそが、この学習法のキモです。

ポイントは、AIがそれっぽく間違えることです。

大規模で高性能なAIは賢いのでそれほど疑うことはないのですが、軽量なモデルは内容に矛盾があったり、意図しない出力をしていることが多々あります。

しかし、これが逆に良いトレーニングになります。AIが生成した「正しくないかもしれない要約」を読むことで、私たちは自然と批判的な視点で文章を読み解くようになります。

「本当にこうだっけ？」と自分の記憶や本の記述と照らし合わせる作業が、知識を定着させるための強力なフックになるのです。

例えば、プログラミングの「非同期処理」について学習しているとします。

技術書を読む：「非同期処理とは、処理の完了を待たずに次の処理へ進む仕組みのこと…」と読みます。
AIに聞く: 「非同期処理について小学生にもわかるように説明して」と指示します。
AIの回答: 「宿題をやってる途中で、お母さんにおつかいを頼まれたとするね。おつかいに行って帰ってきてからまた宿題をやるのが非同期処理だよ！」
ツッコミを入れる:
- （自分）「ん？その例えだと、非同期というか同期処理（のなかで中断してる）では？」
- （自分）「本当は、『洗濯機を回している間に宿題を進める』みたいに、完了を待たずに別の作業を始めるのが非同期処理なんじゃないの？」
- （自分）「じゃあ、この場合はどう説明するのが正しいんだろう…？」

このように、AIの間違いや不適切な例えに対して**「本当はこうではないか？」**と考えることで、頭の中の曖昧だった知識が、具体的でしっかりとした理解に変わっていきます。

技術書を読むだけ、という受け身の学習では、知識はなかなか定着しません。

軽量AIをあえて「ちょっと頼りない壁打ち相手」として使うことで、私たちは能動的に考え、自分の言葉で知識を再構築する機会を得られます。

もしあなたが「わかったつもり」で終わってしまう学習に悩んでいるなら、ぜひこの「軽量AIとのラバーダッキング」を試してみてください。きっと、これまで以上に深く、楽しく学べるはずです。

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