Zabbix Summit 2018を前にして、待ちに待ったZabbix 4.0 がリリースされました。
製品発表会で「今から」とか発表する企業と違って、できたらイベント直前でもしれっと出しちゃうZabbixが私は大好きです。
それでは、早速リリースノートを見ていきましょう。
今回のZabbix 4.0 ではリリースノートよりも 新機能については
Zabbix 4.0.0 の新機能の方がまとまっているため、合わせて翻訳します。
#新しい機能と改善点
##ダッシュボード関連
- 「Zabbixサーバーの健全性」に新しいダッシュボードを追加
- デフォルトのダッシュボードの名前が「グローバルビュー」に変更され、ウィジェットのレイアウトが改善されました
- キャッシュに関連する内部項目の「pused」モードのサポートが追加されました
- 「テンプレートアプリZabbix Server」と「テンプレートアプリZabbixプロキシ」テンプレートに新しく名前をつけた既存の項目を追加
- ダッシュボードウィジェットからフッターを削除
- キオスクモード画面
データ表示端末向けに操作メニューを表示しないキオスクモードが搭載されました。
- 新しいテーマ
ハイコントラストのlightテーマ、darkテーマが追加されました。
##グラフ関連
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「クラシックグラフ」から「グラフ(クラシック)」に名前を変更しました。
-
グラフウィジェットでいくつかのバグを修正しました。
-
高機能なグラフ
SVGにより、より表現力の高いグラフが利用可能になっています。
フロントエンド関連
- すべてのインタフェースで一貫した演算子名を採用しました。
これまでのフロントエンドでは、比較演算子に一貫性が無かったため、4.0 からは演算子名が変更されました。(正規表現メニューやメンテナンス、アクションでも表示です。トリガー条件式の演算子は変化してません。)
Zabbix 4.0 | Zabbix 3.4 以前 |
---|---|
Equals | =, Equal, Exactly |
Does not equal | <> |
Is greater than or equals | >= |
Is less than or equals | <= |
Contains | Like |
Does not contain | Not like |
- 必須項目のマーク
これまでは、必須項目とオプション項目を見分ける事ができませんでしたが、Zabbix 4.0 では必須項目にマークが付くようになりました。
テンプレート関連
- 廃止予定のマクロ
$1~$9
は標準テンプレートからは削除されました。
##アイテム関連
- 値の即時取得がサポートされました。
これにより1時間周期で取得するアイテムなどで即座に値を取得する事が可能になります。
- HTTP/HTTPS アイテムタイプの追加
WEB監視とは別に、監視アイテムとしてHTTP/HTTPSエージェントが追加されました。
これによりGET、POST、PUT、HEADリクエストが行えます。
WEB API等を利用した監視に利用できるのではないでしょうか。
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値の前処理でLLDが利用可能になりました。
Zabbix 3.4で追加された値の前処理機能で、LLDが利用可能になりました。 -
単位変換の禁止設定
これまでは、IS接頭辞を付けない単位として ms、rpm、RPM、%
がハードコーディングされていました。
Zabbix 4.0 では 単位文字列の前に!
を付与することで、SI接頭辞の付与を禁止できるようになりました。
これにより単位を!B
と指定すれば、2KB
ではなく、2048B
と表示するように設定できます。
##トリガー関連
- トリガレベルでのメンテナンス
これまでZabbixのメンテナンス機能ではホスト単位での設定となっていました。
Zabbix 4.0 ではトリガーに設定されたタグにより、タグ単位=トリガー単位でのメンテナンス設定が可能となりました。
これにより、監視対象単位ではなく、特定のトリガーだけを通知抑止することが可能となります。
- Time トリガーの担当プロセスの変更
nodata(), date(), dayofmonth(), dayofweek(), time(), now()トリガーの処理がtimer プロセスからhistory syncerプロセスに変更されました。
これによりこれまで30秒毎に発生していたスパイク負荷が、30秒以内で均等に分散されるようになりました。
##認証関連
- 新しいHTTP認証
これまで、HTTP認証ではApache認証のみが利用可能でしたが、新たにKerberos、NTLM等に対応しました。
これまでよりも簡単にシングルサインオンを実現できるようになります。
##その他
- Agent自動登録の再実行
これまでのAgent自動登録では、DBに名前が存在しないAgentからアクセスがあった場合に1回のみ動作していましたが、Zabbix 4.0 ではホストメタデータが変更された場合に自動登録アクションが再実行されるようになりました。
これにより、新たにアプリケーションを追加した際に、zabbix_agentd.confのHostMataData=を更新することで、新たにテンプレートを割り当てさせる等の動作が可能になります。
- Agent自動登録のアクション追加
- ホストを削除する
- ホストを有効にする
- ホストグループから削除する
- テンプレートからリンクを解除する
Agent自動登録に新たに削除系アクションが追加されました。
これまでは全自動Zabbixのように、ディスカバリーアクションと組み合わせてホストを削除する必要がありましたが、
Agent自動登録の再実行と組み合わせて使うことにより、インスタンス削除前に一旦HostMataData=で削除を示す値を設定するなどの方法によって、Agent自動登録の機能だけで、ホストの削除を行う事も可能になります。
- MySQL 8.0サポート
- Elasticsearchの日付ベースのインデックス設定
Zabbix 3.4.5 以降からデータの格納先としてElasticsearcが利用可能になりました。
Zabbix 4.0 ではこの際に日付ベースのインデックス設定ができるようになりました。
- Proxy接続のセキュリティー向上
これまで、Active Proxyを利用する場合、Proxy名の一致のみで受け入れられていました。
Zabbix 4.0 ではActive ProxyのIPアドレスを指定可能になりました。
これによりProxyのなりすましを防止することが容易になりました。
- イベント重大度の変更
これまではイベントの重大度はトリガーの設定に依存していました。
Zabbix 4.0 ではイベント単位で後から重大度を変更可能となりました。
- コンパクトビューモード
イベント画面で、大量の障害を表示するためにコンパクトビューモードが追加されました。
- 複数メールアドレスの一括指定
これまでは、1人のユーザに複数のメールアドレスを登録する場合複数のメディアを設定する必要がありましたが、1つのメディアに複数のメールアドレスを登録可能になりました。
- リアルタイムデータエクスポート機能
zabbix_server.confのExportDir=
を指定する事により、
JSON形式でリアルタイムにevents, values, trendsをエクスポートすることが可能となりました。
ExportFileSize=
の値毎にローテーションされます。
Zabbix のデータを他のアプリケーションなどで利用しやすくなります。
-
サーバ-プロキシ 間通信の圧縮
Zabbix 4.0 ではServer-Proxy間の通信でデータ圧縮が行われるようになりました。
これにより、これまで以上に必要通信帯域が削減されデータ転送時間が削減されています。
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データベースダウンメッセージの詳細化
-
ホスト一覧の除外リスト
ホスト一覧を表示する際に、除外リストを指定することが出来るようになりました。
これにより、大量のホストの中から目的のリストをより効率的に表示することができます。
- Agent/Proxyのプロトコル変更
Agentおよび、Proxy通信では値の重複を回避するために同一セッショントークンの中で値に対して連番の仮想IDが付与されるようになりました。
なお下位互換のためにセッショントークンを持たない通信については、重複検証をせずに受け入れます。
#まとめ
他にも様々な修正と新機能が提供されています。
Zabbix 4.0 は待望のLTSとなります。
Amazon Linux リポジトリも公開済みですので、ぜひお試しください。