はじめに
私は株式会社よりそう入社 2 年目のエンジニアで、2024 年からテックリードというロールで働いています。
2024 年はこれまでの知見を生かし技術的なリードをしつつ、組織軸での活動を拡大した 1 年でした。
初めてピープルマネジメントや制度設計に取り組み、多くの学びがありました。
本記事は、個人的な 2024 年の振り返りと 2025 年の展望を記録しておくものです。
主な活動と成果
技術面
フロントエンド領域でのリード
2023 年末に Nuxt2 が eol となったため、担当しているプロダクトの Nuxt3 への移行が急務でした。
このプロダクトは 2022 年にリリースして以降、複雑さが増していたことから、同時にリファクタをすることも検討しましたが、不確実性が高いと判断し、
- 既存のコードをなるべく変えずに Nuxt3 へ移行
- その後の大規模リリースで新しい設計方針を適用する
という流れでの開発計画を立てました。
結果的に、Nuxt3 移行とリニューアルともに、大きな遅延なく進行し、安定した品質でのリリースを実現できました。
生成 AI 活用の推進
11 月には Cursor の有料版を全社的に導入しました。
かねてから個人的に Cursor を利用していて、生産性向上に大きく寄与すると確信していたので、導入を提案しました。
よりそうでは元々 AI を活用していく方針があったため、提案から導入まで大きな障壁はありませんでした。
導入後間もないですが、定期アンケートからは生産性や開発体験が向上しているという意見が上がっており、今後とも活用度合いを上げていくようにサポートする予定です。
組織面
ピープルマネジメントへの挑戦
2024 年から、フロントエンド領域で、メンバーとの 1on1 や、新メンバーのオンボーディングを担当するようになりました。
最初は「自分なんて 1 on 1 をする立場じゃない」という感覚が拭えず、どう進めれば良いのか迷ってしまいましたが、現在では「1 on 1 をする立場である」と自覚しましたし、1 on 1 の結果、チーム全体の生産性が上がるということは、自分が開発をして生産性を上げることと同じである、ということに気づき、メンバーのサポートの場として少しずつ活用できるようになっていると感じます。
ワーキンググループ制度の設立
同僚にリードしてもらいつつ、ワーキンググループ制度を設立しました。
ワーキンググループは、重要だが緊急ではない経営課題の解決を目指すチームで、有志の兼任メンバーで構成されます。
人事制度改善やコスト最適化などのワーキンググループが存在しており、少しずつですが具体的な成果も出始めています。
とはいえ制度自体もまだまだ未完成なので、2025 年もブラッシュアップをし続けていく予定です。
学びと成長
視点の変化
2024 年は視点がメンバーからリーダーへと変わった1年でした。
2024 年の中盤までは、マネジメントやリードに割く時間が増えて、自分の開発時間を捻出できずストレスを感じていました。
その後、CTO からのフィードバックなどもあり、チーム全体でのパフォーマンスが向上すれば良い、という考えにシフトしていきました。
テックリード像の解像度が高まった
テックリードのロールが付与されたばかりの段階では、恥ずかしながら「チームで技術選定を行う人」くらいの認識だったのですが、いくつかの課題解決に取り組む中で、
「組織と経営の状況を踏まえて技術的な意思決定をする人」
と再定義しました。
組織の状況とは、例えばメンバーのスキルセットやアサインの状況です。
- 学習コストが得られるメリットを上回らないか
- 検討中の施策を推進できる余裕があるか
など、チームの状況は技術的意思決定を大きく左右するということを学びました。
経営の状況とは、最新の業績や事業戦略のことを指します。
- 事業戦略から逆算して今本当に必要な施策は何なのか
- 実験的な施策に投資できるかどうか
- 有料のツールを選択肢に入れるかどうか
等の判断に関わってきます。
また、技術的な意思決定の前後でも、テックリードが担う役割は重要であると感じました。
技術的な意思決定の前は
- 外部からの情報収集
- チームの状況把握
- 良い打ち手の選定
後では
- 施策実施後のサポート
- フィードバック収集
などを丁寧に行うことで、成功率を上げることができると考えています。
ビジネススキルの習得
これまでのキャリアの中で、初めて体系的に基本的なビジネススキルを学習しました。
仕事の質が向上し、エンジニアにも必須であるスキルであると考えるようにまでなりました。
ロジカルシンキング
同僚のエンジニアによる勉強会で学び、情報を構造化するスキルを習得しました。
議論や分析の質の向上を実感しています。
仮説思考
よりそうの CMO による勉強会で課題解決の基本型を学びました。
課題解決や目標設定など、あらゆる場面で仮説を立てることの重要性を実感しています。
課題と改善点
経営軸の不足
ドメイン知識や、プロダクトの顧客理解など、経営軸に関連する部分のインプット、アウトプットはまだまだ不足していると感じています。
課題解決の経験不足
不確実性の高い課題に対して制度の高い見立てをし、効果的な打ち手を講じる、という部分はまだまだ経験が少ないので、2025 年は試行回数を増やしたいです。
見積もりの精度改善
想定していた工数を超えてしまうことがしばしばありましたが、分析してみると主因は自分の開発時間不足にありました。
開発以外の役割(マネジメントや意思決定)にかかる時間を考慮した現実的な工数を設定するようにしていきたいです。
2025年の展望
技術面
2024年はフロントエンドのメンバーが増えました。また、チーム全員のスキルが向上したと感じています。
2025年は技術面でのリードは、チーム全体で進めていくような体制を構築していきたいです。
その分、自分はフロントエンド以外の領域への挑戦を考えています。
バックエンド開発に参画し、データモデリングを経験したいです。
ビジネスのコアに関わる部分なので、ドメイン知識も身につけていきたいです。
プロダクト
2024 年末には開発を担当しているプロダクトが大型リニューアルをしたので 2025 年はその安定運用と磨き込みが重要となります。
これまで営業チームや顧客と関わる機会はほとんどなかったので、直接関わる機会を増やそうと考えています。
エンジニアが一次情報に触れ、要件だけでなく要求やその温度感を知ることで、より価値のあるものを素早く届けていきたいです。
AIの活用
Cursor の導入により、開発で生成 AI を活用する下地は整ったと考えています。
2025 年はどう活用するかに焦点を当てて施策を打っていきたいです。
AI が精度の高いコードを生成するためにはAIがあらゆるコンテキストにアクセスできる状態が重要だと考えられるので、その前提で情報の管理方法を設計し、適用していくことを考えています。
テックリードとして
テックリードとしては、課題解決の精度を高めつつ、テックリードを目指すメンバーの支援をしていきたいと考えています。
単純なサポートというよりは、お互い壁打ちして、課題解決の精度を高め合えるような状況を作り出せたら良いなと考えています。
感謝
2024年はこれまでのキャリアの中でも最も多くの学びを得た1年でした。テックリードとして成長できる機会を積極的に作っていただいたCTOにとても感謝しています。
学びを共有してくれた同僚や、フロントエンドの設計をより強固なものにしてくれた同僚、メンバー視点からなかなか抜け出せない自分を優しくサポートしてくれたマネージャーにも感謝しています。
追記
こちらの記事を書いた後、早々にこの記事が役立つ場面がありました。
同僚から課題解決に対する自身の姿勢について相談された時に、自分のメンバーからリーダーへの視点の変化の体験を交えた上でフィードバックをすることができたのです。
記事としてアウトプットしていたからこそ、上手く言語化できた内容だと思いました。
振り返りに関わらず日々アウトプットを重ねることで、思考を整理し必要な時に引き出せる状態を実現できることを実感しました。