はじめに
株式会社よりそうでは書籍「GitLabに学ぶ世界最先端のリモート組織のつくりかた」で輪読会を行なっています。
本記事ではその経緯、振り返り、今後についてまとめたいと思います。
きっかけ
私が「GitLabに学ぶ世界最先端のリモート組織のつくりかた」を購入したときにその旨を Slack に投稿してみたところ、見てくれた何人かの同僚が同書を購入してくれました。
同じ本を同時に読んでいる人が社内にいるんだからと良い機会思い、輪読会を主催してみることにしました。
(↑ その時の Slack。CTO が即参加表明してくれました!)
GitLabに学ぶ世界最先端のリモート組織のつくりかた
本書は GitLab 社の「GitLab Handbook」を基に、フルリモート体制で組織を運営するノウハウを解説したものです。
リモート組織のメリット、移行プロセス、文化醸成、人事制度と業務ルールの設計など幅広い含まれており、リモートワークを取り入れていないチームでも参考になるものばかりでした。
輪読会の内容
参加者
システム部を中心に、マーケ部、企画部など複数の部署から合計 6 人が参加しました。
ツール
FigJam を使いました。理由は単純に使ってみたかったから、と言うのもありますが、複数の意見をグルーピングしたり、関連性を可視化するのに便利だと考えたからです。
頻度・時間
大体週 1 回から 2 週に 1 回くらいの頻度で、業務時間中に開催しました。
1 回あたりの時間は当初 30 分でしたが、やや短いとの意見があり、途中から 45 分に変更しました。
対象の章
第5章 「カルチャーはバリューによって醸成される」
回数
第5章を読み終えるまで 5 回かかりました。
進め方
事前に指定の章を読み、意見を FigJam の付箋で貼ってもらう形式にしました。
当日は作業ではなく議論を中心にしたかったため、このような形式を選択しました。
付箋は「気づき」「業務で活かせそうなこと」の 2 種類に分けて、章の中のセクションごとに書き出します。
輪読会当日はそれぞれの付箋を読み上げ、更に意見があればそれについて話す、という形式で進行しました。
アンケート
毎回アンケートをとり、改善を繰り返すようにしていました。
アンケートの内容は以下です。
- 満足度
- 進行速度
- 1 回あたりの時間の長さ
- 章の選定が適切かどうか
- 自由意見
振り返り
第 5 章を読み終わった後、参加者全員で振り返りを行いました。
良かった点と改善が必要な点を下記にまとめます。
良かった点
部署を超えた交流が生まれた
リモートワークだとなかなか仕事で関わらない他部署の方と話す機会は非常に少ないのが現状です。
今回の輪読会によって新たに交流の機会を生むことが出来ました。
実際に会議のやり方やコミュニケーションを改善できた
輪読会に参加したメンバーは、
- 会議はプロポーザルをレビューする場
- 口頭による端的な回答
- 沢山の人の目につくように感謝を示すしくみづくり
などを実践し、コミュニケーションの改善に取り組むようになりました。
私自身は会議の効率性など大きく改善されたと感じています。
またこの輪読会自体も、事前準備を非同期的にやっておき、輪読会当日は議論に集中する、というように本書で紹介されている内容を実践したものとなっています。
会社のコミュニケーションガイドライン作成の土台となる議論ができた。
議論の中で、会社としてやっていきたいことや課題を洗い出しました。
今後、ワーキンググループとしてコミュニケーション課題に取り組むことも計画しているので、その中で今回の議論内容を活用しようと考えています。
改善が必要な点
終わりが見えない状態の長期化
第 5 章は、GitLab Handbook のコアである Value に焦点を当てたもので、非常にボリュームのある内容でした。
1 回の輪読会では、全体の付箋の数の 1/6 ほどしか進みませんでした。
また、何回でこの章を読み切る、のような計画をしていなかったため、途中で進行を不安視する意見も出てしまいました。(自分自身も焦りを感じていました。)
ツールの適合性
FigJam を中心に議論を進めていましたが、途中で議論の量が多くなってきたときに、一度内容を要約する、ということになりました。
このとき、FigJam はアイデアなどを可視化、グルーピング化するのには向いていますが、後から見直してドキュメント化するのはやや不向きだと感じました。
- 一覧化して、カテゴリごとに表示したり、コメント数ごとにソートする
- ChatGPT に要約させる
などの作業はスプレッドシートのようなツールのほうが向いているかも知れないと感じました。
ただし、FigJam には最近 AI を活用した機能がリリースされています。 この点は今回の深く考慮出来ていないです。
活用方法次第ではより効率的に輪読会を進められた可能性があると思っています。
目的が不明確
始めたきっかけが「今丁度読んでいる人たくさんいるしとりあえず始めるか!」という感じだったので、終始「何のためにこの輪読会をやっているのか」という疑問がつきまといました。
当然ですが、業務時間でやっている以上、目的や成果物は常に問われます。
振り返りでも「どう改善するか」という議論になりますが、改善の方向性も目的や解決したい課題が明確でないと、うまく決める事ができません。
目的を曖昧にしたまま見切り発車してしまったために(初の試みであったため見切り発車であることは合意が取れていましたが)主催者としてはどう進めていくか非常に悩ましかったです。
一方で、成果物や目的を厳密に定めず、カジュアルに輪読会を行いたいという気持ちもあります。
今後は、主催者が同じ悩みで苦しまずに輪読会ができるように、
- 業務時間外の完全自由な輪読会
- 業務時間内だが短くカジュアルな輪読会
- 業務時間内で必要な時間/成果物/目的をかっちりと決めた輪読会
のようなタイプ別の輪読会を開催できる制度を構築することを検討しています。
まとめ
見切り発車で始めた今回の輪読会でしたが、一区切り付いた今では、
- 本の内容を深く理解出来た
- 新たな交流が生まれた
- 輪読会をやっていこうという機運が高まった
- 現状の輪読会の改善点が明確になった
- コミュニケーション WG や新たな輪読会制度など次のアクションにつながった
等々、多くの収穫が得られ、当初は見えなかった景色が見えてきました。
今後も輪読会を継続しつつ、派生した活動を推進していきたいと思います!
よりそうのみなさん、来年もよろしくお願いします!