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「パッチより攻撃が先に来る」時代になっていた ─ WordPress脆弱性統計とAIの影響を調べてみた —

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Last updated at Posted at 2026-08-28

WordPressの脆弱性はなぜ増えているのか、AIの影響を調べてみた

最近「WordPressの脆弱性が過去最多」というニュースをよく見かける気がしたので、実際にどれくらい増えているのか、そして本当にAIが関係しているのか、一次情報を当たって調べてみました。

結論から言うと、単なる体感ではなく、実際に脆弱性の発見・悪用のスピードが構造的に変わっていました。この記事では、その客観的な数字と、背景にある要因を整理します。

客観的な事実

WordPress固有の状況

Patchstackの「State of WordPress Security in 2026」によると、2025年にWordPress関連で確認された新規脆弱性は11,334件で、これは過去最多でした。

指標 数値
2025年の新規脆弱性数 11,334件(過去最多)
前年(2024年 7,966件)比 +42%
プラグイン由来の割合 91%
テーマ由来の割合 9%
WordPress本体(コア)由来 6件

コア(本体)由来はほぼゼロで、脆弱性のほとんどはサードパーティのプラグイン・テーマに集中しています。

業界全体・AI関連の状況

WordPressに限らず、脆弱性の「発見から悪用までのスピード」自体が近年大きく変わっています。

Google CloudのThreat Intelligenceブログによれば、新規に見つかった脆弱性が実際に悪用され始めるまでの平均的なタイミングは、2018年には「公開から+63日後」だったものが、直近では**「公開の-7日前」**、つまりパッチが公開される前から攻撃が始まっている状態まで縮まっています。

2018年: 脆弱性公開 ---------- 63日 ----------> 悪用開始
2026年: 悪用開始 <--- 7日 --- 脆弱性公開

さらにCrowdStrikeの2026年脅威ハンティングレポートでは、2026年上半期に観測された「攻撃コード(PoC)が公開済みの脆弱性」のうち、88%が公開から48時間以内に実際の悪用まで確認されたと報告されています。

Help Net Securityの記事では、2026年に見込まれる世界のCVE(脆弱性)件数は約66,000件(2025年は48,185件)に達すると予測されており、その主な要因としてAIによる自動的な脆弱性発見の普及が挙げられています。

なぜここまで加速したのか

上記の変化の背景として、攻撃を成り立たせる3つの工程が、それぞれAIによって自動化・高速化していることが挙げられます。

1. 発見の自動化

AIは、人間なら何年もかかる調査を数時間で実行できます。実際に、AIによる調査でOpenSSLに1998年から28年間残っていた深刻な脆弱性が発見されたという報告もあります。

2. 武器化の自動化

脆弱性が見つかってから、実際に攻撃可能なコードに仕立てる工程もAIによって自動化されつつあります。これが「パッチ公開前から攻撃が始まる」という前述の逆転現象の一因と考えられます。

3. 実行の自律化

これが最も象徴的な事例だと思います。2025年11月、AI開発企業のAnthropic社は、自社のAIコーディングツール「Claude Code」が中国の国家系ハッカー集団に悪用されていたことを公表しました。

世界の大手テック企業・金融機関・化学メーカー・政府機関など約30組織への侵入活動のうち、偵察から侵入、情報の持ち出しまでの工程の80〜90%は、人の判断をほとんど介さずAIが自律的に実行していたと報告されています。史上初めて公式に確認された、大規模なAI自律型サイバー攻撃の事例です。

熟練したハッカーでなくても、AIエージェントに指示するだけで、かつて国家レベルの攻撃者しか持ち得なかった攻撃能力に手が届く時代になった、ということだと理解しています。

「更新すれば安心」だけでは足りなくなってきている

WordPressの運用では、本体・テーマ・プラグインのすべてを適切にバージョンアップする必要があります。ただしこの「更新」という防御にも、もともと構造的な弱さがあります。

本体(コア)は専任のセキュリティチームが継続的に対応している一方、テーマやプラグインのセキュリティ対応は、個々の開発会社・個人開発者の裁量に委ねられています。開発力や対応スピードはベンダーによって大きく異なり、脆弱性が実際に修正されるかどうかは、それぞれの任意の対応に依存しているのが実情です(脆弱性の91%がプラグイン由来である背景の一つだと考えられます)。

そして実際に被害へつながった要因を見ても、更新の遅れが実害に直結することは変わらず裏付けられています。Sucuriの調査では、侵害されたサイトのうち**39.1%**は感染当時CMSが最新版に更新されておらず、**13.97%**は既知の脆弱なプラグイン・テーマをそのまま使用していました。

つまり、

  • 更新の遅れは、今も実害に直結する最大の要因
  • しかしAIによって「パッチが公開される前に攻撃が始まる」ケースが常態化しつつある

という2つが同時に起きているのが、2026年8月時点の状況だと理解しています。

まとめ

  • 2025年のWordPress関連脆弱性は過去最多(11,334件、前年比+42%)で、91%がプラグイン由来
  • 脆弱性の「発見」「武器化」「実行」のすべてがAIによって自動化・高速化しており、パッチ公開前に攻撃が始まるケースまで出てきている
  • 2025年11月には、AIエージェントが人の手をほとんど介さず大規模な侵入活動を自律実行した事例が実際に確認されている
  • 「更新を頑張る」という運用防御だけでは、構造的に追いつけない場面が出てきている

この状況を踏まえて、自分たちが実際にどう対策したか(Simply Staticを使った静的化と、Pro版相当の差分デプロイ機能を自作した話)は、別記事にまとめました。

→ (次の記事: Simply Static CoreをフックだけでPro相当の差分デプロイに拡張した話) 

参考文献


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