プロジェクトマネジメントにおいて、ステークホルダー間の意見の対立(コンフリクト)は避けて通れない道です。私は自動車業界で働いていますが
「性能をアップしたい機能チーム」vs「コスト、品質を守りきりたいチーム」
「新しい設計を導入したいチーム」vs「リードタイムの関係からここでデザインfixしたいチーム」
のようなコンフリクトはしばしばありました。
みなさんも板挟みになり、頭を悩ませた経験がある方は多いのではないでしょうか。
しかし、コンフリクトは単なる障害ではありません。異なる視点が交差する場所には、プロジェクトの成功に向けた「最適解」が隠されています。本稿では、板挟み状態を乗り越え、チームを前進させるための3つの要点を考えてみました。
1. 「やりたいこと」の奥にある「実現したいこと」を聞く
コンフリクトが発生した際、双方の主張をそのままぶつけ合うだけでは平行線です。重要なのは、各々がなぜその主張をしているのか、その背景にある「真の目的(実現したいこと)」を深掘りすることです。
「やりたいこと(手段)」ではなく「実現したいこと(ゴール)」を対話の中で引き出すことで、制約条件や優先順位が明確になります。ここを紐解くことで、「時期をずらして検証する」「サンプルレベルで先行実験を行う」といった、双方が納得できる第3の選択肢が見えてきます。
2. 自分の中に「プロジェクトの軸」を持つ
調整を行う際、最も危ういのが「誰の顔色を立てるか」という視点で動いてしまうことです。これではその場しのぎの解決にしかならず、チームの信頼を損ないます。
PMとして最も大切なのは、プロジェクトの成功に向けた明確な「軸」を自分の中に持つことです。
コストが重視されるフェーズならば、コストを抑えるための代替案を軸にする。
性能が最優先ならば、その性能を最大化するための検証手順を軸にします。
この軸を自分の中に持ち、関係者全員と共有しておくことで、個人的な感情論ではなく「プロジェクトの目的に照らしてどう動くべきか」という共通認識を醸成できます。
3. 認識を合わせ続け、板挟みを「全員の合意」に変える
コンフリクト解消は、一度決めて終わりではありません。重要なのは、ステークホルダー全員が「なぜその意思決定に至ったのか」という背景を深く理解し、腹落ちしている状態を作ることです。
板挟みになっている状態から脱却する唯一の方法は、PMが仲裁役になることではなく、全員を同じ目的に向かって走らせる「認識合わせのプロセッサ」になることです。意思決定のプロセスを可視化し、なぜその軸を採用するのかを繰り返し対話することで、コンフリクトは「個人の対立」から「チームの課題」へと昇華されます。
まとめ
コンフリクトは、プロジェクトの優先順位が明確でない時にこそ激しくなります。PMとしての揺るぎない軸を持ち、対話を通じてステークホルダーの「真の目的」を繋ぎ合わせることで、プロジェクトはより強固なものになると考えています。
「板挟み」に疲れたときこそ、一度立ち止まって「私たちの目指す一番大事な軸は何か?」を問い直して見るのも良いかもしれません。