はじめに
MaaSサービスを考える上で、地図は切っても切り離せない機能要件です。
そこで、現在急成長しているMapboxについて、今更ながらまとめました。
後半にGoogle Maps Platformとの比較考察をしていますので、ぜひ参考になさってください。
Mapboxとは
地図開発プラットフォーム
さまざまなユースケースに最適な地図を簡単に構築することができる
特徴
- カスタマイズ性
- 店舗データや気象、交通情報、航空写真などのデータを地図上にレイヤーとして重ね合わられる
- Mapboxも提供
- Mapbox独自の地図API/SDKにより、検索やナビゲーション機能も一つのサービス上で提供できる
- Mapbox Japan
米Mapboxとソフトバンクの合弁会社
サービス
1. Maps
-
- テンプレートスタイルをベースに、地図の細かいデザインカスタマイズが行える
- 建物や道路、公園、河川などのタイルの色の変更
- 地理ラベルのフォント変更
- ズームレベルに合わせたタイルやアイコン、ラベルの表示
- GISデータの可視化
- CSVやGeoJSONなどのデータをアップロードし、地図上にプロットすることができる
- これらをWeb上かつノーコードで行える手軽さ
- テンプレートスタイルをベースに、地図の細かいデザインカスタマイズが行える
-
- 大量データをベクタータイルセットに変換し、データの変更に応じてマップにプロットする
- Yahoo Japanの天気アプリで使われている
-
SDK
- ウェブとモバイルアプリのSDKを提供
- Mapbox GL JS
- Maps SDK for iOS
- Maps SDK for Android
-
Static Maps
- 地図画像を作成することができる
- 描画パフォーマンスの向上
- WebGL未対応のブラウザでの動作保証
2. Search(地理情報を検索することができるAPI)
- Geocoding API
- フォワードジオコーディング
- 地名などの位置テキストから緯度経度に変換する
- リバースジオコーディング
- 緯度経度から地名に変換する
- フォワードジオコーディング
- Japan Search API
- 日本語の地名検索に最適化されている
- 漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字に対応
- 日本ではSearch APIという名称
- ベータ版のため日本国内データのみ取得可能、POI情報は取得できない
- APIエンドポイント
- suggest
- 入力テキスト1文字ごとに候補が提案される
- retrieve
- suggestで選択した結果の地理情報を取得できる
- suggest
3. Navigation(ルート案内に関するAPI群)
- Matrix API
- 複数ポイント間の移動において、最短ルートの時間または距離を取得できる
- Optimization API
- 複数ポイント間の移動で、最適なルートを取得できる
- 使用例:配達ルートの計画
4. その他
- Vision SDK
- AI駆動型の運転支援サービス
- Vision、AR、Alertの3つがある
- Mapbox広告
- 地図上に広告を配信するプラットフォーム
- Mapbox Atlas
- Mapboxのすべてのサービスをオンプレミスで利用できる機能
APIの価格表
Mapboxは潤沢な無料枠があり、開発レベルであれば料金を気にせず作業ができる(一部例外あり)
Google Maps Platformも同等レベルの無料枠があるので、そこまで差異はない
ただ、Google Maps Platformを使用するためにはクレジットカード登録が必要になるが、
Mapboxはそれが不要なので、気軽に始められる
Mapbox
API | 料金 |
---|---|
Map Loads for Web | 5万リクエストまで無料 |
Maps SDK for Mobile | 2.5万アクティブユーザーまで無料 |
Directions API | 10万リクエストまで無料 |
Search API | 500リクエストまで無料(サジェストですぐ超えてしまうので注意) |
Google Maps Platformの場合(毎月$200まで無料)
API | 料金 |
---|---|
(Static Maps)Map Static API | 5万リクエストで$100/month |
(Dynamic Maps)Maps SDK for Android / iOS | 2.5万リクエストで$175/month |
(Dynamic Maps)Maps JavaScript API | 5万リクエストで$350/month |
Direction API | 10万リクエストで$500/month |
Google Maps Platformとの違い
Google MapsもMapbox同様にJavaScriptでデータマッピングが行える
ReactでWebGLを使用する際に最適なライブラリDeck.glでもGoogle Mapsを使える
-
地図タイルのレンダリング
- Google Mapsはサーバサイドレンダリング
- Mapboxはクライアント側でレンダリング
-
地図スタイルのカスタマイズ性
- 双方、Web・コードにてスタイルのカスタマイズが可能
- Google Mapsは日本語対応しているが、Mapboxは直感的にカスタマイズできる印象
React Native × Mapbox
React Native向けのWebGLライブラリについて、
Google Maps PlatformとMapboxを比較した
Google Maps Platform向けライブラリ「React-native-maps」は、Githubスター数はMapbox向けの「React-native-mapbox-gl」より10倍多いものの、更新が2022年1月で止まっている
一方、React-native-mapbox-glは、Githubスター数は少ないものの更新頻度が早く、提供機能も充実している
※2022/3/4時点
React-native-maps | React-native-mapbox-gl | |
---|---|---|
地図 | Google Maps Platform | Mapbox |
機能 | 9つのコンポーネント | コンポーネント、ソース、レイヤー、オフラインなど |
Githubスター数 | 13k | 1.2k |
Githubリポジトリ | https://github.com/react-native-maps/react-native-maps | https://github.com/rnmapbox/maps |
最後に
記事を作成していてMapboxがこんなに多くのAPIを提供していることに驚きましたし、
Mapboxを生かして面白いMaaSサービスが生み出せるんじゃないかと思いました。
読んでいただいた方のお力になれば幸いです。
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パーソルプロセス&テクノロジー株式会社(以下パーソルP&T)、システムソリューション(SSOL)事業部所属の堀江です。
私はモビリティソリューションデザインチームに所属しており、モビリティ(ここでは移動手段全般)に関するサービスを考えたり、アプリを構築したりしております。
いわゆる**「MaaS」**に取り組んでおります。
私たちが「MaaS」に取り組む中で、現在活用している、もしくは活用する予定の技術やサービスやとりあえず発信したいことなどなど、幅広くチームメンバーと共に執筆していきたいと思います。
メンバーごとに違った内容を発信していきますので、お楽しみに!
また、「MaaS」について詳しく知りたい方は、チームメンバーの吉田が記事を掲載しておりますので、
ぜひそちらをご覧ください。
「MaaSとは」でたどり着いて欲しい記事 (1/3 前編)
「MaaSとは」でたどり着いて欲しい記事 (2/3 中編)
「MaaSとは」でたどり着いて欲しい記事 (3/3 後編)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!