1. はじめに
トヨタ自動車が創る未来の街「Woven City(ウーブン・シティ)」をご存知でしょうか。
筆者はWoven Cityの取り組みを学ぶために一般向け招待制イベント「KAKEZAN2026」に参加してきました。
本投稿は、同イベントの内容のご紹介と個人的な今後と期待をまとめたものです。
2. Woven Cityとは
Woven Cityは、トヨタ自動車が静岡県裾野市に建設を進めている「実証都市」です。 「ヒト中心の街」として、自動運転、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム、人工知能(AI)などの先端技術を、人々が実際に生活するリアルな環境で導入・検証することを目的にしています。発明家やエンジニアが技術を素早く試し、改善を繰り返すことで、未来の当たり前を創り出す「未完成の街」であることが特徴です(*1)。
*1 https://www.woven-city.global/jpn/about/
3. KAKEZAN2026
3-1. イベント概要
筆者が参加したKAKEZAN2026は、ウーブン・バイ・トヨタおよびトヨタ自動車が主催する招待制イベントです。
同イベントでは、Woven Cityの敷地内にある「Woven City Inventor Garage」(居住地域から少し離れた施設)にて、Woven Cityに実装されている先端テクノロジーを紹介しております。これは、参加者間のアライアンスを促進し、その「掛け算(KAKEZAN)」を通じて、より一層の技術革新を生み出すことを期待されています。
- 名称: KAKEZAN 2026 「Heritage × Innovation」
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主催: ウーブン・バイ・トヨタ株式会社、トヨタ自動車株式会社
開催期間: Apr 20, 2026–Apr 24, 2026 - 一般招待者向け:Apr 22, 2026–Apr 24, 2026
- 会場: Woven City Inventor Garage
3-2. Woven City Inventor Garageについて
Woven City Inventor Garageは、 旧トヨタ自動車東日本 東富士工場のプレス建屋(約65,000㎡)をリノベーションした見学施設です。写真の通り、建物の至る所に、昔の面影が残っております。この古き歴史を感じる建物にて、最新のテクノロジーが紹介されております。
この屋根上にPVが載っていますがまだ稼働していないとのこと、それだけ急ピッチでいろいろなことにチャレンジしていることを感じました。
3-3. KAKEZAN2026のコンテンツ
エリア1:Introduction
- Woven City Inventor Garageの紹介
- Woven by Toyotaのビジョンやモビリティの未来に向けた取り組みの提示
エリア2:Woven by Toyota Technologies
- 「ヒト・モビリティ・インフラ」の連携による安全安心な社会を支える技術展示
エリア3:Woven City Inventors
- 先行Inventors(*2)による実証内容とWoven City内の施設解説
*2 Inventors:Woven Cityに集う仲間のうち、「発明家」の役割を担うトヨタグループ・スタートアップ・研究機関・企業を意味する。なお、Woven Cityに集う仲間のうち、住民のことはWeaversと呼ぶ。
ステージプログラム
- Woven by Toyotaのエンジニア等が登壇し、目指す未来や取り組みをプレゼンテーション
4.Woven Cityに実装中/予定のテクノロジー
KAKEZA2026で紹介されていたInventorsの事例を紹介する。
4-1. 街と繋がる
Woven Cityでは、街全体を実証の場とするための共通基盤「Test Course Systems」が構築されています。これは、街中の「モノ」をデジタル世界とリンクさせ、そのデジタル世界にてデータを蓄積する構造となっています。
そのため、住民(Weavers)にはIDを付与し、様々なハードウェアがIoT(Internet of things)によってクラウドと接続され、その日常のデータを「Test Course Systems」が蓄積しています。
基盤管理により、データは1つのシステムに集約され、AIの強化や多様なテクノロジーと連携を容易にします。
4-2. 車と繋がる
モビリティ(車両や信号機など)と連携するクラウドシステムを、Woven Cityの共通基盤と接続させることにより、車両やインフラセンサーのデータを統合し信号機・カーゲートなどと連動するモビリティに関するテクノロジーの検証が行われています。例えば、車両と信号機を統合管理し、赤信号で停車することなく目的地まで走行が可能にするテクノロジーなどです。他方で、デジタルツインの世界でも仮想のWoven Cityを構築しているため、実際のモノへ実装する前に、高速なPDCAサイクルを実現し、精度の高いシステムを街中へ実装しています。
4-3. 家と繋がる
Woven City内の各家庭に専用のコントローラーを設置することにより、家庭内の各種デバイスと接続し、共通基盤へデータ蓄積を行います。
これにより、様々な世帯の行動パターンに対する適切なソリューションを検証することが可能です。
また、データ取得だけでなく、コントロールも可能です。例えば、マンションのフロントで顔認証してオートロックを解除した際に家庭を適切な状態にする(エアコンや証明を制御)などが挙げられます。
将来的には、エネルギーマネジメントシステムと連携して、太陽光発電や家庭用蓄電池、EV充放電器などを統合制御することを目指します。
4-4. エネルギーと繋がる
ウーブン・バイ・トヨタ株式会社が特定送配電事業者のライセンスを取得し、Woven Cityは同社が電力事業の運用を行っています。
例えば、Woven City内の電力の需要と供給を管理し、必要に応じてエネルギーマネジメントを行います。
「走る蓄電池」とも称されるEV(電気自動車)が多く社内導入される将来において、EVの充(放)電を加味した電力システムのエネルギーマネジメントは課題と国内でも認識されております。
Woven Cityでは、EVだけにはとどまらず、街には太陽光発電や水素を活用した定置式FCなど、多様な分散型電源が実装されています。これらのクリーンエネルギーを、天候や時間帯による需要変動に左右されることなく安定的に供給するためには、高度な需給制御が欠かせません。街のエネルギー設備とEV、そしてスマートホームの各データが共通基盤を介して連動することで、「発電・蓄電・消費」の最適化を図る、次世代の「エネルギーの地産地消」 の実現を検討している模様。まずは街のエネルギーマネジメントに着手して、電力システム側の運用も習得しつつ、EVを考慮したエネルギーマネジメントを検証していきます。
5.話題を集める2つのAI
最近のニュースでも報じられている2つのAIも体験してきました。
- 豊田章男AI
豊田章男氏を模したAIであり、同氏と会話しているかのような受け答えができます。同氏の特徴である簡潔に核心を突いた回答が同氏の声音で返ってきますので、感動すること間違いなしです。
例:カーボンフリーを達成するためには電力会社、自動車会社やとらわれず、多くの官民含めた多様な連携が必要とのこと
- Saya
2025年の大阪・関西万博でも話題になったArtificial Emotional Intelligence「Saya」です(*3)。キモチのこもったコミュニケーションを実現するAIであり、会話時の「共感」を言葉と身振りで表現してくれます。今回のイベントでは、「Woven Cityの見どころ」に特化した回答を返してくれました。豊田章男AIとも重複する部分がありますが、「AIっぽいな」という会話の時代はすぐに終わりを迎えると確信させてくれるテクノロジーです。
*3 https://aei-saya.jp/
6.トヨタの源泉、織機体験
- トヨタの始まりは、創業者がお母様の布織仕事をより楽にしたいという思いから生まれた織機から始まっています。発明前は、人の手で1本1本糸を紡ぐ必要があり、糸の緩みがあると着物全体が萎れてしまうため、数日かけて一気に織り切らなければなりませんでした(数日で一反)。しかし、織機では女性でも簡単に作業できる仕組みになっています。この織機により、安定した布織と作業時間の短縮(1日で一反)を実現いたしました。
- この織機はヒトのためを思った創意工夫の塊であり、その源流の思いを肌で感じることができる織機体験も経験いたしました。
7. おわりに~個人的な感想と今後への期待~
Woven Cityは実証の壁を突破し、次世代の社会実装を加速させる共創の場と感じました。従来の都市では困難だった「許認可」や「実証環境」の壁を取り払い、テクノロジーを最速で形にするプラットフォームへ進化することを期待します。下記に具体的な感想を3点でまとめます。
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圧倒的な実証スピードとデータ活用
トヨタが整えた「本物の街」という環境を活かし、モビリティを中心とした実証実験からAI強化までを高速でサイクル化。データの宝庫として、アイデアを即座に検証・改良できる体制を構築します。 -
クリーンなエネルギー基盤の構築
再生可能エネルギーと蓄電池の統合制御、そして分散電源の社会実装を深く融合。強固で持続可能なエネルギーインフラを、実証の枠を超えて実用レベルへと引き上げます。 -
「KAKEZAN」による社会への還元
外部の革新的なテクノロジーとトヨタの基盤を掛け合わせることで、実証実験を「実験」で終わらせません。ここで生まれた成果を実際の街へと実装し、人々の暮らしをより良くすることを目指します。
以上










