目次
- はじめに
- 開発過程
- 謝辞
はじめに
近年の自作小型ペンプロッタブームに乗っかってみたく、今年のはじめに製作させていただいたゲーミングモバイル3DプリンタFraxinus00Wをオマージュしてペンプロッタを作成してみました。
本資料は、これまでにXで公開した開発過程のまとめ資料の後半(Part 2)になります。
Fraxinus00pen仕様概要
- 方式
CoreXY - 造形エリア
縦170mmx横120mm はがき印刷を想定 - 移動速度
最大500mm/sぐらい - 描画速度
最大300mm/sぐらい - 加速度 20000mm/s^2
- 制御ソフトウェア
Klipper - 使用マイコンおよびコントローラ
Raspberry Pi 4相当 + BigTreeTech SKR Pico - 使用ペン
三菱SXR-200-07 4C規格 - Z軸駆動機構
秋月ソレノイド5V ZHO-0420S-05A4.5 プッシュ型(4Vで駆動) - サイズ
A4サイズ(底面積) - 電源
USB Type-C PD 12V
開発過程(Part 2)
その7 12月8日 文字も書けるぞ
InkscapeのExtensionにあるHershey Textというチョコレートみたいな名前の機能を使うと、Inkscape上にテキストで記載したものが、ベクトルフォントで印刷できるようだ。
標準で用意されているフォントは英数のみだか、日本語フォントを変換されていたものをありがたく流用させていただいた。
[その8 12月10日 Seeed reTerminal+Klipper Screen搭載]
Klipperの制御をWiFi経由で接続したPCのブラウザで行っていたが、展示会などの出先ではWiFiが不安定だったりして非常に困ることがある。そこでKlipper Screenを設定してタッチパネルで既存のGコードの印刷指示等をできるようにした。
当初Raspberry Pi 4にタッチパネル付きのLCDパネルを接続しようと考えていたが、手頃なタッチパネルがなかったため、どこの誤家庭にも積まれているSeeed社のreTerminalを採用した。
このreTermilanは、LCDまわりが特殊なため、Seeed社から提供されているカーネルをインストールし、LCDが正常に表示されている状態で、KIAUH(Klipper Installation And Update Helper)経由でKlipperおよびKlipper Screenをインストールすることで正常に表示することができた。(もう一度やってうまくいくか自信なし。。。)
reTerminalは折り畳めるようにし、可搬性を考慮した。
(https://x.com/pokibon/status/1866460166834827466)
その9 12月13日 筐体再構築
試作レベルが思いのほか順調に進んだので、正式版の筐体を作成した。
MDFのフレームやMotorマウント部は5mmのアクリルで作成、3Dプリント品はInfillを50%に強化、および発熱が大きいソレノイド周りはABSフィラメントで印刷した。
アクリルはお約束のNeoPixelで青に発光するようにした。
番外編 12月14日 スタックチャンもくもく会でお披露目1
スタックチャンもくもく会に出席し、しらかわあずま@画工弁狸士さんからコンテンツをいただいた。
番外編 12月14日 スタックチャンもくもく会でお披露目2
名称未設定ちゃん@misetteichanのキャラをPenPlotter用に変換したところ、非常にできが良かったので、後日本人に承諾を得て、私のペンプロッタ公式ベンチマークに使用することとした。
その10 12月15日 振動補正の実装
ここまで90度コーナー等の立ち上がりで発生するリンギングの影響で、描画速度は100mm/s程度に押さえていたが、ヘッドに加速度センサLIS2DWを取り付けKlipperのInput Shaperを設定した。この効果は抜群で、200mm/s以上が実用的になった。名称未設定ちゃんベンチマークは11秒に高速化した。(元のスピードは忘れた。。。)
その11 12月16日 Pen UP/DOWN性能の測定
ペン移動の高速化に伴い気になっていた、Pen Down指示から、実際にPenが用紙に接地するまでの時間を計測した。
結果はPen Downが約8.5ms、Pen Upが2.5msであり、思ったより高速であった。
ちなみにPenのストロークは現状2mmとしている。
300mm/sの速度では、この遅延による描画の欠落が目立つため、Gコード処理に遅延を入れるなどの対策が必要である。(現状、遅延コマンド(M400+G4)が無視されるため実現できていない)
その12 12月16日 年賀状の印刷
念願の年賀状を印刷してみた。あらたにPen Plotter用に作られた?超極細日本語フォントとなごみ極細ゴシックフォントをインストールした。今年(来年)の年賀状はこれで勘弁してもらおう。
その13 12月17日 インクの交換
ここまで約2週間で50~100枚のはがきサイズを印刷したところでインクが切れた。
4Cインクは金属軸なのでインク残量がわからないのがちょっと痛い。
どうも使っているジェットストリームは短寿命らしい。ボールペンじゃなくてぼるペンかなといいたくなる。
ボールペンの筆記距離をまとめたページから、このインクは200mしかもたないらしい。
終わりに
これを真似て作る奇特な方はいないと思うが、参考になればと設計データ類はGitHubに公開しておきました。
謝辞
本PenPlotterのベースとなったFraxinusを設計された、福馬 洋平@fukumay1さんや3Dプリンタの沼人たち、およびいつも展示会などで自作PenPlotterの素晴らしさを教えていただいている、いしかわきょーすけ@kyosuke_ishikawやその沼人たちに貴重なご指導と温かいご支援を賜りました。ここに深く感謝の意を表します。