LTE-Mとは
既存のLTE回線を活用したLPWA(省電力・広域通信を可能とする無線通信技術)の一つ。
LTE-Mは一時は、機械型通信を意味するeMTC(enhanced Machine Type Communication)とも呼ばれており、M2Mで使用されることを想定された通信技術である。
つまり、LTE-Mの「M」は「Machine」を意味する
通信事業者が既に保有しているLTEの基地局をそのまま利用できることから、携帯電話事業者が積極的に取り組んいる。
国内では2018年1月からKDDIがサービスの提供を開始し、2018年10月時点ではドコモ、ソフトバンク、ソラコム(KDDI子会社)もサービスを開始しており、大手3キャリアが足並みを揃える状態になっている。
提供企業 | 提供開始日 | プラン名 | 月額基本料金 |
---|---|---|---|
ドコモ | 2018/10/1 | IoTプラン | 400円/月 (2年契約あり) |
IoTプランHS® | 800円/月 (2年契約なし) | ||
600円/月 (2年契約あり) | |||
1,000円/月 (2年契約なし) | |||
ソフトバンク | 2018/4/26 | IoT料金プラン(単体プランA) | 100円/月 |
IoT料金プラン(単体プランB) | 150円/月 | ||
IoT料金プラン(単体プランC) | 200円/月 | ||
IoT料金プラン(単体プランD) | 300円/月 | ||
KDDI | 2018/1/29 | LPWA10 | 100円/月 |
LPWA100 | 150円/月 | ||
LPWA500 | 200円/月 | ||
LPWA2000 | 300円/月 | ||
ソラコム | 2018/9/26 | plan-KM1 | 100 円/月 |
※ 2018-09-26時点
LTE-Mはセルラー系(無線免許が必要な通信)に分類される。
LTE-Mのカテゴリーについて
3GPP(3Gに関連する仕様の標準化をするプロジェクト)では、
ユーザーが利用するLTE端末の性能指標について、
LTE-UE(LTE User Equipment)という名称で、分類化している。
LTE-UEにおいて、LTE-Mは、NB-IoTともにLPWA向けのカテゴリーに1つ「LTE CatM1」として分類され、
従来に比べ、低速だが、省電力化されている。
3GPPのRelease 14では、NB-IoTともに、次のバージョン(Cat.M2、Cat.NB2)の検討が
進められている。
Cat.M2は、より拡張されたMTC、feMTC(further enhancement MTC)とも呼ばれ、
省電力化と通信距離がさらに向上することが見込まれている。
LTE Cat.1 | LTE Cat.M1 (LTE-M) | LTE Cat.NB1 (NB-IoT) | |
---|---|---|---|
下り最大速度 | 10Mbps | 300kbps | 29kbps |
上り最大速度 | 5Mbps | 375kbps | 63kbps |
送信電力 | 23dBm | 20または23dBm | 20または23dBm |
通信方式 | 全2重 | 全/半2重 | 半2重 |
モビリティ性能 | 移動体通信 | 移動体通信 | 定点通信 |
※ 上記はNTTドコモの通信方式の場合のものである
NB-IoTとの違い
NB-IoTとの違いの一つは、モビリティ性能で、利用するのに適しているケースがそれぞれ異なる。
- LTE-M
デバイスが移動するケースに適している。
※ 例 : ウェアラブル端末など
- NB-IoT
デバイスを固定するケースに適している
※ 例 : 下水設備や駐車場など
LTE-Mの特徴
上述した通り、LTE-MとNB-IoTはセルラー系に分類される。
セルラー系はライセンスバンド(無線免許が必要な帯域)を利用するので、電波干渉が起きる可能性が低い。
また、既存のLTE回線を使用するので、速度も高速である。
一方で、ライセンスバンドのためか、通信料金は高く、消費電力も高い。
LTE-M、NB-IoT | LoRaWAN、Sigfox | |
---|---|---|
電波干渉 | 低い | 高い |
通信速度 | 早い | 遅い |
通信料金 | 高い | 低い |
消費電力 | 多い | 少ない |
LTE-Mを構成する技術
eDRX (Extended Discontinuous Reception)
端末側で基地局との通信確認の間隔を引き伸ばすことで、端末の待機状態を長くし、消費電力を減らす技術。
LTE-Mでは上記を拡張したeDRX (拡張DRX) と利用することが可能で、間隔をさらに伸ばし、最大43分間、端末を待機状態にする。
PSM (Power Saving Mode)
端末が待機中に行っている処理をほとんど停止して、
端末を電源OFFに近い状態 (省電力モード) に遷移させることで、電力消費を抑える技術。
省電力モード中は、データの受信はできないが、端末側からのデータの送信はいつでも可能。
Repetition ( 繰り返し送信 )
同じデータを繰り返し、送信することで、通信距離(カバレッジ)を拡張させる技術。
通信距離が長く、一部しかデータを受信できないような場合に、
同じデータを繰り返し送信し、受信時にデータを合成させて、受信成功確率を上げる。