はじめに
この記事は、1980年代から2025年に至るまでの音楽・テクノロジー・サブカルチャーの変遷を、できるだけ時系列と出典を明示しながらまとめたものです。
扱うトピックは多岐にわたります。MIDI、MODトラッカー、メガデモ、VST/ASIO、BMS、初音ミク、ニコニコ動画、歌い手文化、EXIT TUNES、AKB48、スマートフォンの普及、AI音楽、そしてBillboardチャートにAIアーティストが登場する2025年の現在地まで。
一見バラバラに見えるこれらの事象が、実は一本の線で繋がっていることを示すのがこの記事の目的です。
第1章:インフラの誕生——MIDI・MOD・メガデモ(1983年〜1990年代)
1983年:MIDIの誕生
1970年代後半から1980年代初頭、電子楽器業界ではメーカーごとに互換性のない独自規格が乱立していた。Rolandは独自のDCBバス、Oberheimは独自システムを採用しており、「異なるメーカーの電子楽器同士を繋げられない」問題がミュージシャンの悩みだった。
1983年、Sequential CircuitsのProphet-600とRolandのJupiter-6が世界初のMIDI搭載シンセサイザーとして発売された。同年、YAMAHAのDX7がMIDI端子を搭載して世界的ベストセラーとなり、MIDI普及を後押しした。1984年以降はほぼすべての新型電子楽器にMIDI端子が搭載されるようになった。
MIDIの驚異的な点はその寿命にある。最新のDAWで1983年発売のDX7をそのままコントロールできる。40年以上前の機器と最新機器が接続・通信できる規格はMIDIだけかもしれない。
MIDIはライバルメーカーが異例の協調で作った業界共通規格だが、MMA(MIDI Manufacturers Association)という管理団体が仕切るプロプライエタリな側面も持っている。
1987年:MODトラッカーの誕生とAmigaデモシーン
MODフォーマットの起源は1987年、Karsten ObarskiのUltimate SoundtrackerというAmiga用ソフトウェアにさかのぼる。4チャンネル・15サンプルという非常に基本的な仕様だった。
初期のMODはフロッピーディスクとローカルBBSを介して流通した。低速通信時代のため、ディスクを手渡しか郵送で物理的に交換するのが当時の「合理的な」手段だった。
MODはもともと欧州で人気だった「デモ(メガデモ)」という文化から生まれた。映像と音楽を再生するプログラムを1枚1MBのフロッピーに収めるため、WAVのような波形データではなく楽譜データ+音色データを組み合わせたモジュールフォーマットを使うことで容量を節約した。やがてMODはデモから切り離され、欧州のアマチュアミュージシャンを中心に草の根BBSやインターネットで非営利で配布されるようになった。
なぜ北欧だったのか
デモシーンが北欧で隆盛した背景には複数の要因がある。
フィンランドではコモドールのVIC-20、C-64、Amigaが特に人気で、ホームコンピューター趣味を大きく形成した。北米ではAmigaは70万台程度しか売れなかったのに対し、イギリスで150万台、ドイツで130万台、イタリアで60万台と欧州各国で高いセールスを記録した。
また、デモシーンの起源はゲームの違法コピーにあった。コピープロテクトを解除する「クラッキング」を行うホビイストグループが、解除したゲームの冒頭に自分たちの「名刺」として短いデモ(イントロ)を付けた。これがデモシーンの起源となった。
Amigaのハードウェアは固定されていたため、そのハードウェアの限界を試し、理論上「不可能」な表現をいかに実現するかという競争が生まれた。
2020年、フィンランドはデモシーンをユネスコの無形文化遺産の国内リストに加えた。
著名なMODトラッカー出身者にはDarude、Axwell、Deadmau5、Infected MushroomのErez Eisenなど、後にメインストリームに出たアーティストが多数いる。
1996年:VST/ASIOの誕生
1996年、SteinbergがMac用Cubase VST 3.0をリリースした。VST(Virtual Studio Technology)は、PC内部でスタジオ作業のすべてを擬似的に実現するというコンセプトで、エフェクト機能をプラグインとして追加できる仕組みだった。それまでエフェクト処理はハードウェアDSPで行うのが常識だったが、CPUだけでリアルタイム処理できる世界初のネイティブソフトウェアとして登場した。
同時期に開発されたASIO(Audio Stream Input Output)は、Windows旧来のMMEでは200〜500ミリ秒、DirectSoundでも50〜100ミリ秒だった入出力遅延を、数ミリ秒〜10ミリ秒以下に下げた。環境によっては1ミリ秒以下も可能となり、PCに接続したキーボードでソフトウェアシンセサイザーをリアルタイム演奏することが初めて実用的になった。
VSTもASIOもSteinbergの独自規格であり、ライセンスはSteinbergが保持している。2018年にはVST2のSDK配布を終了してVST3への移行を促した。AppleはVSTに乗らず独自のAU(Audio Units)を開発した。音楽制作の民主化を支えたインフラは、特定の企業のプロプライエタリな設計の上に乗っていた。
第2章:日本のアングラ——BMS・東方・M3・歌い手(1996年〜2010年)
1996年〜:東方Projectの始まり
東方Projectは、ZUN個人が作り続ける同人弾幕シューティングゲームである。1996年に制作が始まり、現在一般的に流通している作品は2002年の「東方紅魔郷」以降のものである。
ZUNが二次創作のガイドラインを明文化し、ルールの範囲内で自由な二次創作を許可したことが、東方アレンジ音楽文化の爆発的な広がりを支えた制度的な背景になっている。2006年にサービスが開始されたニコニコ動画では、東方のアレンジ楽曲PVが流行し、一時期ランキングをほぼ制圧するほどの一大勢力となった。
1998年:BM98とM3の同時期スタート
1998年6月、やねうらおがBM98を配布開始。KONAMIのbeatmaniaを無断でPC上に再現した非公式シミュレーターで、完全に違法だったが爆発的に広がった。オリジナル楽曲専門のレビューサイト「Club Stubborn」が1999年に登場し、BMS作曲家という文化が生まれた。
BMS作曲家の多くが後にプロに転向、または著名なボーカロイドプロデューサーになっている。具体的にはsasakure.UK、ビートまりお、kors k、DJ Noriken、xiなど、現在も音楽ゲーム界の第一線で活動する人物が多い。
同じ1998年3月21日、同人音楽即売会M3の第1回が開催された。コミックマーケットの音楽ジャンル参加者が「自分たちの作品の受け手や他サークルとの交流の場を自分たちの手で作りたい」という想いから立ち上げた音系専門イベントである。
歌い手文化の起源
歌い手という概念はニコニコ動画以前から存在していた。2ちゃんねるのカラオケ板では、自らの歌唱を投稿する行為を行う人が一定数おり、2004年頃には「歌い手」という呼称も一部で使われていた。
2007年のニコニコ動画の普及によって、歌い手は一定の規模を持った集団として成立した。2008年上半期だけで約2万本の「歌ってみた」動画が投稿されるほどの活況となった。
安全の確保と権利の整備
ボーカロイドの権利
クリプトン・フューチャー・メディアが2010年にピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)を策定。非商用の二次創作を正式に許可する条件を明文化した。
ニコニ・コモンズとクリエイター奨励プログラム
2008年8月に「素材ライブラリー」としてニコニ・コモンズが発足。2011年12月にクリエイター奨励プログラムを開始し、「親作品→子作品」という二次創作の連鎖を可視化するコンテンツツリーを軸に、子作品が再生されると親作品のクリエイターにも奨励金が分配される構造が生まれた。
YouTubeとJASRACの包括契約
2006年からJASRACがDMCAに基づくFAX削除依頼を開始。「削除が追いつかず、一度削除してもまた同じ動画がアップロードされる」という状態だった。
2007年6月、JASRACが動画投稿サイト約40社向けに包括許諾ガイドラインを策定・送付。2008年4月にJASRACとニワンゴがニコニコ動画における包括許諾契約を締結。収益の1.875%を使用料として支払う形で合意した。
2008年10月にはYouTubeもJASRACと包括利用許諾契約を締結した(当初は国内楽曲のみ)。
ContentIDとニコニ・コモンズの思想の違い
ニコニ・コモンズは「使っていい」から始まる設計。ContentIDは「使うな、ただし条件次第で許す」から始まる設計。同じ問い(二次創作の権利処理)に対する日米の対照的な解答だった。
第3章:サブカルチャーのメインストリーム化(2007年〜2013年)
2007年:初音ミクとニコニコ動画
2007年8月、初音ミク発売。アングラが初めて大規模に「届く」インフラを得た。BMS作曲家がボカロPになり、個人製作のMADが数百万再生を記録した。
ニコニコ動画のVOCALOID関連作品は爆発的に増加し、2021年以降は投稿作品の約半分がオリジナル曲になった。ボカコレ(年2回開催の投稿イベント)だけで毎回数千曲規模が投稿される。
ボカロPのアニメタイアップ
supercell / ryo
ryoはボカロPとして「メルト」「ワールドイズマイン」など5曲連続ミリオン再生を達成した後、2009年にメジャーデビュー。アニメ「化物語」のED「君の知らない物語」を皮切りに、NARUTO、ギルティクラウン、PSYCHO-PASS、マギ、ノラガミ、甲鉄城のカバネリなど多数のアニメとタイアップ。1クールに3作のアニメとタイアップすることもあった。
「君の知らない物語」のボーカルはニコニコ動画で「ガゼル」として活動していたnagi(やなぎなぎ)で、ボカロPと歌い手の両方の文化がセットでメインストリームに出た事例となった。
EGOIST
2011年、アニメ「ギルティクラウン」の世界に登場する架空のアーティストとしてEGOISTが誕生。ryoによるプロデュースで、ボーカルは2011年のオーディションで2千人の中から選ばれたchelly。アニメの世界から独立した一アーティストとして活動し、ベストアルバム16曲中13曲がアニメタイアップとなっている。
kz(livetune)
2007年から初音ミクを使った楽曲制作を開始。代表曲「Tell Your World」は2012年のGoogle ChromeのCMソングとして起用され、初音ミクとボカロ文化を世界に広めた。
ヒャダイン(前山田健一)
ニコニコ動画でゲーム音楽のアレンジで人気を博した後、2011年にTVアニメ「日常」のOP主題歌「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」でメジャーデビュー。ももいろクローバーZ、AKB48などアイドルへの楽曲提供も行い、アイドル・ニコニコ動画・アニソンとジャンルを横断した。
じん(自然の敵P)
「カゲロウプロジェクト」でボカロ楽曲→小説→アニメ(メカクシティアクターズ)→漫画という独自のメディアミックスを展開。ボカロPが自らIPを設計してアニメ化した先駆的な事例。
supercell / ryoの権利の変遷
メジャーデビュー当初はryoの意向でJASRAC信託を回避していた。「初音ミクで書いた曲は初音ミクの曲であって他の誰かが歌うためのものではない」という考えから、メジャー流通での人による初音ミク楽曲のカバーは許可していなかった。ニコニコ動画での非商用の歌ってみたは「自己責任でいくらでも歌ってくれて構わない」という方針だった。
2022年4月1日、JASRACへの全信託に変更。これにより商業作品でのカバーも許可されるようになった。
EXIT TUNESと歌い手ライブの系譜
2006年に設立されたEXIT TUNESは、2008年の「ウマウマできるトランスを作ってみた」ヒット以降アニソントランスに転換し、2009年からVOCALOIDのCDを月1〜2枚のペースで発売。ニコニコ関係に完全にシフトした。
2011年12月よりEXIT TUNES ACADEMY(ETA)を開始。2012年5月にさいたまスーパーアリーナで約17,000人を動員、2013年も同会場で約18,000人を動員。2015年には日本武道館で約8,000人を動員した。2014年3月には、ぐるたみんの1stアルバムが動画サイトで活動する歌い手として初のゴールドディスクに認定された。
ニコニコ大会議からニコニコ超パーティーへ
2008年12月のニコニコ大会議から歌い手のパフォーマンスが入り始め、2009〜2010年の全国ツアーで仙台・金沢・高知・福岡・大阪・名古屋・札幌・広島の8都市を巡業。
2012年よりニコニコ超パーティーが開始。2015年からさいたまスーパーアリーナで単独開催となり、来場者1万5,000人規模に成長した。
AKB48と参加型文化
2005年12月8日、秋葉原のドン・キホーテ8階の小さな劇場でAKB48がスタート。キャッチフレーズは「会いに行けるアイドル」。当初は「秋葉原のオタク向けアイドル」として世間の関心は薄かった。
2009年に第1回選抜総選挙を実施。ファン投票でシングルの選抜メンバーを決めるという前例のないシステムで、ファン参加型アイドルの概念を作った。2013年の第5回総選挙のテレビ瞬間最高視聴率は32.7%に達した。
第4章:技術インフラの完成——スマートフォン・4G・SNS(2010年〜2016年)
スマートフォンの普及
日本でのスマートフォン普及は段階的に進んだ。
- 2008年:iPhone 3Gがソフトバンクから発売。一部のギーク・早期採用者のみ
- 2011年:iPhone 4SがauでもiPhone販売開始。個人普及率はまだ14.6%
- 2013年:ドコモもiPhone販売開始。3キャリア全てでiPhoneが買える。この年にスマホがフィーチャーフォンの普及率を上回った
- 2016年:全年代で71.3%、20代では96.8%に達した
4G通信の開始
2010年にドコモが3.9世代通信「Xi(クロッシー)」を開始。LTE契約数は2012年の230万件から2017年には1億219万件と、5年間で約44倍に増加した。
スマホ+4G+SNSが揃ったことで何が変わったか
2013年頃にスマホ+4G+SNSが揃った瞬間、コンテンツの消費・発見・共有における「場所」と「時間」の制約が消えた。
それ以前は動画はWi-Fi環境か自宅PCで見るものだった。4Gによって「移動中にニコニコを見る」「電車の中でボカロ曲を聴く」が日常になった。
ニコニコで知る→Twitterでフォロー→LINEで友達に共有→スマホでチケット購入→ライブ当日にスマホで写真を撮ってその場でシェア、という一連の行動が、すべて同じデバイスで途切れなく完結するようになった。
2010年前後のSNS生態系
2010年前後は「ガラケー時代の終わりとスマホ時代の始まりの狭間」で、SNSが乱立していた。
- Twitter(2008年日本開始):ガラケーからも投稿できたため、歌い手・ボカロPが活動報告に使い始めた最初のSNS
- mixi(2004年〜):招待制の日記・コミュニティSNS。2007〜2008年が全盛期
- ガラケーソシャゲ(2009〜2011年頃が全盛):モバゲー・GREEを中心に爆発。ガチャの概念がここで生まれた
- Facebook(日本普及は2011年頃〜):実名制・社会人向け。サブカル・歌い手文化とはほぼ無関係に並走
Twitterだけがガラケーとスマホの両方に対応できたため生き残り、歌い手・ボカロ文化の拡散回路として機能した。
中央集権的なレーベルの衰退
レーベルが持っていた権力の源泉は資本(録音コスト)・流通(レコード店・テレビ)・審査(誰を世に出すか)・プロモーション(メディア露出)の4つだった。
録音コストはDTMで消えた。流通はiTunes・Spotify・YouTubeで消えた。審査はニコニコの再生数で代替された。プロモーションはSNSのバズで代替された。
第5章:AI音楽の深い歴史(1981年〜2025年)
1981年〜:EMI(Experiments in Musical Intelligence)
カリフォルニア大学サンタクルーズ校の音楽学者David Copeが1981年より開発を開始した自動作曲システム。
設計思想は「作曲とは、今までに作られた作品の事例の解析と再合成によってなされる」というもの。
参考:EMI - 関連文献(ニコニコ大百科内のryoの項目にEMIへの言及あり)
なお、東芝EMI(Electrical and Musical Industries)とDavid CopeのEMI(Experiments in Musical Intelligence)は無関係であり、名前の偶然の一致である。
1997年:ホフスタッターの恐怖
1997年、EMIがバッハのスタイルを模倣する作曲タスクで人間の作曲家を上回ったとされた。
認知科学者ダグラス・ホフスタッターはニューヨークタイムズに以下の趣旨のコメントを述べた:
EMIによって私は混乱し、悩まされている。唯一の慰めはEMIが自らスタイルを生み出すのではなく、過去の作曲家を模倣することに依存しているという点だ。でもそれもあまり慰めにならない。音楽がどれほど「リフ」の組み合わせで成り立っているのか。もしそうなら、私にとって音楽は思っていたよりはるかに小さなものになってしまう。
ホフスタッターは1979年に出版された「ゲーデル、エッシャー、バッハ——あるいは不思議の環」(GEB)の著者であり、自己意識・意識・類推形成などの概念を研究する認知科学者である。GEBは1980年にピューリッツァー賞を受賞した。
2002年:Sony CSLのContinuator
ライブ演奏者が止まった後を継続して演奏するアルゴリズムで、自動伴走の実用化を果たした。
DeepBach(2010年代中盤)
バッハのコラール約350曲を学習した生成モデル。プロのミュージシャンや音大学生を含む聴取テストで、約半数がDeepBachの生成作品をバッハ作と判断した。
参考:ソニーCSL、深層学習でバッハを発明|MIT Tech Review
参考:人工知能AIにより誰でもバッハらしく作曲できる無料ツール|darwin-journal
2025年:Breaking Rust——AIカントリー歌手がBillboardチャートイン
2025年11月、AI楽曲・AIアーティスト「Breaking Rust」の「Walk My Walk」がBillboard Country Digital Song Salesチャートで1位を獲得。Spotify月間約200万リスナー。
正体はAubierre Rivaldo Taylorという人物で、以前はDefbeatsaiという名義でAI生成カントリー曲を作っていた。SNSには「彫りの深いカウボーイのAI生成画像」と「folksy映像」のみ。
参考:Breaking Rust - Wikipedia
参考:Breaking Rust's "Walk My Walk" Tops Billboard|Hypebeast
同時期のDeezer×Ipsos調査(9,000人対象)では、97%の人がAI音楽と本物の区別がつかないという結果が出ている。
その他のAIアーティストのチャートイン
Xania Monet:ミシシッピのソングライターTelisha "Nikki" JonesがAIプラットフォームSunoを使って作ったR&Bアーティスト。「Let Go, Let Go」がHot Gospel Songs 3位、「How Was I Supposed to Know?」がHot R&B Songs 20位。44.4百万ストリーム。3百万ドルの争奪戦の末、Hallwood Mediaと数百万ドルの契約を締結。AIアーティストとして初めてBillboardラジオチャートにデビューした。
参考:AI "Artist" Xania Monet Is One of Many Hitting Billboard Charts|Exclaim!
参考:Xania Monet is the first AI artist to chart on US Billboard rankings|NME
The Velvet Sundown:AI生成バンドとして1ヶ月足らずで約40万人のSpotify月間リスナーを獲得。後に「スポークスマン」がメディアを騙すためのホークスだったと認めた。AI使用を認めた途端にミュージシャンによるタブ譜へのアクセスが4分の1以下に激減した。
参考:Industry Experts React To AI Artist Topping The Billboard Charts|TechRound
Billboardによれば、2025年後半の時点で過去4週間連続で毎週少なくとも1組のAIアーティストがチャートにデビューしている。Deezerの報告では、プラットフォームにアップロードされる音楽の28%が完全にAI生成だとされている。
参考:How Many AI Artists Have Debuted on Billboard's Charts?|Billboard
第6章:椎乃味醂「あなたにはなれない」——AI批評としての楽曲
椎乃味醂の「あなたにはなれない」(2025年)は、GPT-4に「意味をなさない文章を作れ」と指示して生成されたテキストをそのまま歌詞として引用している楽曲である。
歌詞中には以下の一節がある:
「大体表層だけ切り取って、淡々と集めるだけの、毎回構造だけ乗っ取って、簡単に並べるだけの」
これはAIの動作原理そのものの記述であると同時に、1981年のEMIの設計思想「作曲とは既存作品の解析と再合成によってなされる」とほぼ同じことを言っている。
さらに歌詞の中に「その推測こそ、人間らしさの根幹なのだ」という人間讃歌が含まれており、AIを批評しながら人間を讃える構造になっている。
第7章:歌ってみたの権利構造(2026年現在)
JASRACとNexToneはYouTube・ニコニコ動画・Instagram・TikTokなどの動画投稿サイト運営者と包括利用許諾契約を締結している。そのため、これらのサイトにJASRACまたはNexTone管理楽曲の歌ってみた動画を投稿する場合、投稿者が個別に許諾を得る必要はない。
ただし、著作権(JASRAC管理)はクリアでも、著作隣接権(レコード会社が持つCD音源の権利)はJASRACが管理していないため、市販のCD音源やオフボーカル音源を伴奏に使う場合は別途許諾が必要になる。自分で制作した伴奏音源を使う場合はこの問題が生じない。
第8章:ファンダムの進化
「fandom」という言葉は1903年ごろからアメリカ英語で使われていた。fan+dom(ファンたちの領域・集団)を意味する。アメリカのSFファンダムが起源とされる。
ファンダムの進化は消費構造の変化と連動している。
- 従来:受動的に好きな対象を応援する
- AKB48総選挙以降:投票・握手という参加で対象を「育てる」
- ニコニコ以降:二次創作・歌ってみたで対象そのものを「作る」
- Fortnite / Roblox:UGCとして「体験を設計する」
第9章:BMS出身で現在も第一線のコンポーザー
BMS作曲家から第一線のコンポーザーへ転向した人物は多い。
- sasakure.UK:BMS→ボカロP(「*ハロー、プラネット。」「トンデモワンダーズ」)→音楽ゲーム収録、アニメタイアップ
- ビートまりお:BMS→東方アレンジ(「ナイト・オブ・ナイツ」「Help me, ERINNNNNN!!」)→アニサマ出演
- kors k:BMS出身→beatmaniaのトップコンポーザー→現在も音楽ゲーム界の第一線
- DJ Noriken:BMS→音楽ゲーム多数収録
- xi(サイ):BMS出身→音楽ゲーム界で「Ascension to Heaven」など伝説的な楽曲
特に音楽ゲーム(beatmania IIDX・SOUND VOLTEX・maimai等)の楽曲制作者にはBMS出身者が非常に多く、BMS→音楽ゲームへの公式採用というパイプラインは今も生きている。
年表まとめ
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1981 | David CopeがEMI開発開始 |
| 1983 | MIDI規格誕生。DX7発売 |
| 1987 | Amiga用Ultimate Soundtracker(MODの起源) |
| 1996 | VST / ASIO誕生(Steinberg)。東方Project制作開始 |
| 1997 | ディープブルーがカスパロフを破る。EMIがバッハ模倣で人間を上回る。ホフスタッターの発言 |
| 1998 | BM98配布開始(6月)。M3第1回開催(3月) |
| 2002 | Sony CSL Continuator。東方紅魔郷(Windows版東方の始まり) |
| 2005 | AKB48劇場スタート |
| 2006 | ニコニコ動画プレオープン。EXIT TUNES設立 |
| 2007 | 初音ミク発売。JASRAC包括許諾ガイドライン策定 |
| 2008 | JASRACとニコニコ包括契約。JASRACとYouTube包括契約。ニコニ・コモンズ発足。ニコニコ大会議で歌い手パフォーマンス開始 |
| 2009 | supercell「君の知らない物語」(化物語ED)。AKB48第1回選抜総選挙 |
| 2010 | PCL策定。ドコモLTE開始 |
| 2011 | EGOIST誕生(ギルティクラウン)。ヒャダイン「日常」OP。クリエイター奨励プログラム開始。スマホ普及率14.6% |
| 2012 | EXIT TUNES ACADEMYさいたまスーパーアリーナ17,000人。ニコニコ超パーティー第1回。kz「Tell Your World」Google Chrome CM |
| 2013 | スマホがガラケーを逆転。ドコモもiPhone販売開始 |
| 2016 | AlphaGoがイ・セドルを破る。スマホ普及率71.3%(20代96.8%) |
| 2017 | Ponanzaがプロ棋士との公式対局を事実上終了 |
| 2020 | フィンランドがデモシーンをユネスコ無形文化遺産に登録 |
| 2022 | ryo(supercell)がJASRACへ全信託に変更 |
| 2025 | Breaking Rust「Walk My Walk」Billboard Country Digital Song Sales 1位。Xania Monetが数百万ドルのレコード契約。Deezer調査で97%がAI音楽と本物を区別できず |
出典一覧
MIDI
MOD / メガデモ
- Module file - Wikipedia
- MODアーカイヴ手引 #1|note
- 海外の音楽アプリで見かける「MOD」や「S3M」ってなに? - Phile-web
- Demoscene - Wikipedia
- Demoscene - Elävän perinnön wikiluettelo
- Amiga - Wikipedia(日本語)
VST / ASIO
東方 / M3 / BMS
権利の整備
supercell / EGOIST / ボカロPのアニメタイアップ
- ryo - ニコニコ大百科
- supercell - Wikipedia
- supercell著作権管理に関するご報告|supercell公式
- EGOIST 楽曲一覧|ryo(supercell)楽曲まとめブログ
- ヒャダインのじょーじょーゆーじょー - Wikipedia
EXIT TUNES / 歌い手ライブ
- EXIT TUNES - ニコニコ大百科
- エグジットチューンズ - Wikipedia
- ニコニコ大会議 - Wikipedia
- ニコニコ超パーティー - Wikipedia
- 歌い手の起源はニコニコ?2ちゃんねる?|note
AKB48
スマートフォン / 4G
AI音楽
- ダグラス・ホフスタッター - Wikipedia
- ゲーデル、エッシャー、バッハ - Wikipedia
- ソニーCSL、深層学習でバッハを発明|MIT Tech Review
- 人工知能AIにより誰でもバッハらしく作曲できる|darwin-journal
- Breaking Rust - Wikipedia
- Breaking Rust's "Walk My Walk" Tops Billboard|Hypebeast
- Breaking Rust: AI artist tops US chart|Euronews
- AI "Artist" Xania Monet Is One of Many Hitting Billboard Charts|Exclaim!
- Xania Monet is the first AI artist to chart on US Billboard rankings|NME
- How Many AI Artists Have Debuted on Billboard's Charts?|Billboard