KDDIアジャイル開発センターの中島です。
本記事は、KDDIアジャイル開発センター Engineer & Designer Advent Calendar 2022の10日目の記事です。
スクラム開発のふりかえり手法のひとつである「Fun Done Learn」をアニメ鑑賞に適用してみました。
意外な気づきがあったので、本日はそちらをご紹介しつつ、
Fun Done Learnがスクラム開発現場だけでなく、様々なコミュニケーションを活性化させたい場で活用できそうという話をしてみます。
Fun Done Learn とは
アジャイル開発のふりかえり手法のひとつで、
2018年Scrum Coaches Retreat in Okinawaにて提唱されたふりかえりのフレームワークです。
・Fun(楽しかったこと)
・Done(終わったこと)
・Learn(学んだこと)
が重なり合った図を使ってふりかえりを行います。
参考文献: ファン・ダン・ラーン(FDL)ふりかえりボード
具体例
あくまで例ですが、以下はFun Done Learnでふりかえった例です。
1枚1枚付箋の内容を書いた人が説明し、チーム全員でFun Done Learnの輪のどこに当てはまるか議論します。
例えば、「祝リリース!」や「とりあえずできた!」などはFunでありDoneでありLearnであったため、3つの輪が重なり合ったところに付箋を置いています。
どこに置くかは、チームメンバー同士で話し合い決定します。
Fun Done Learn を使って得られる効果
アジャイル開発を行い、さまざまなふりかえりを試している中で、Fun Done Learnによるふりかえりは以下のような特徴があると(個人的に)考えています。
- ルールがシンプルなので始めやすい
- 「今の業務を改善しなければいけない」というやらされ感が生まれにくい
- 起きた出来事における「楽しさ」が可視化されるので、ふりかえっていて楽しい
- 楽しい結果会話が活性化するため、カイゼンしたいことも自然と話題に上がってくる(上がらないこともある)
普段Fun Done Learnを行っているメンバーからは以下のような感想が出ています。
- 楽しい雰囲気になるため、立場にとらわれず思うことを言い合える
- 楽しい雰囲気になるため、初めて参加するフルリモート環境下のチームだったが受け入れてもらえる感があった
- ルールがシンプルなため、スクラム開発、アジャイル開発に知見が浅い人でも、参加しやすい
- 同じ出来事であっても自分以外の他人の視点が見えやすい
ソフトウェア開発と全く関係のない現場でもFun Done Learnをすると話題が活性化するのでは?
日々Fun Done Learnでふりかえりを行っている中で、「スクラム開発と全く関係のない現場でもFun Done Learnをすると話題が活性化するのではないか」と考えました。
そこで、有志メンバーで集まり、話題のアニメ、チェンソーマンの1話を皆で再生し、ふりかえってみました。
事前準備・条件
- チェンソーマン1話再生環境(amazon primeを契約していればウォッチパーティがおすすめ)
- 原作やアニメを観たか否かは不問。ただし、2話以降のネタバレは禁止。
- 今回参加者は全員リモート環境。(可能であれば現地でも問題なさそう。)
やった手順
- ふりかえりの流れを説明する
- チェンソーマン1話を再生する。(今回は再生中テキストチャットは書かないようにした。)(30分程度)
- 観終わった後、ふりかえりボードに集まる(今回はふりかえりツールanycommuを使用)
- anycommuに従い、タイマーを2分回す
- ふせんが出てくるため、メンバーに観て感じたこと、思ったことなどを自由に書いてもらう
- タイマーが満了したタイミングで、1枚ずつふせんを紹介する。ふせんを書いた人はふせんの内容について説明する
ふりかえりボードはこうなった
ふりかえってわかったこと
作品そのものだけでなく、チェンソーマンのアニメ制作環境や、原作との違い、魅力的に感じる作品の特徴など、様々な視点での意見が飛び出しました。中でも、マネーリテラシーに関する考察が飛び交い、私自身「今年のふるさと納税を決める」というTRYを決めることができました。
また、ふりかえり後合流した人からも 「参加していないのにふりかえり結果をみただけで雰囲気が伝わってくる」 との意見がありました。
また、これはふりかえり全般に言えることですが、「ふせんに書いて順番に発表する」ことで、参加者全員が万遍なく話ができるという特徴があるように思っています。
Fun Done Learnはチームで集まったらやってみたいふりかえり手法
Fun Done Learnはソフトウェア開発やアジャイル開発の現場のみならず、チームで集まってコミュニケーションを活性化させたい時、新たな気づきを得たい時に活かせる 手法ではないかと思いました。是非、まだやったことがない人には試していただきたいです。