概要
本記事では、TradingViewのPineScriptを用いてオンチェーンデータを扱う方法について解説する。オンチェーンデータとは、ブロックチェーン上で生成・記録されたデータのことであり、暗号資産(仮想通貨)のファンダメンタル分析に役立つ情報を提供するものである。
TradingViewは主に価格チャートの可視化に適しているが、適切な外部データを取り込むことで、オンチェーンデータを活用した分析も可能となる。この記事では、その実現手法と注意点について述べるものである。
オンチェーンデータとは
オンチェーンデータは、ブロックチェーンに記録された取引やウォレットアクティビティなどのデータを指す。例えば以下のようなデータが挙げられる。
- アクティブアドレス数
- トランザクション数
- マイニングハッシュレート
- トランザクション手数料の推移
これらのデータは、特定の暗号資産のネットワークアクティビティや需要動向を把握するための重要な手がかりとなる。
PineScriptでオンチェーンデータを扱う仕組み
PineScript自体は、オンチェーンデータを直接取得する機能を持たない。したがって、外部データソースを利用し、それをTradingViewにインポートする形で対応する必要がある。その一般的な方法としては、以下のような手段が挙げられる。
-
外部APIを利用したデータ取得
ブロックチェーン関連のAPI(例: Glassnode、CryptoQuant、Messariなど)を使用してオンチェーンデータを取得し、そのデータをCSVやJSON形式で保存する。 -
TradingViewのデータシート機能を活用
TradingViewの「スプレッドシート機能」を利用して、外部データをアップロードし、PineScriptで参照する。
実装例:CSVデータを利用したオンチェーンデータの表示
以下は、外部データをインポートし、PineScriptで可視化する手法の概要である。
1. データの準備
外部APIからオンチェーンデータを取得し、CSVファイルとして保存する。例として、以下のような形式を想定する。
Date, ActiveAddresses
2023-01-01, 123456
2023-01-02, 124000
2023-01-03, 126500
2. データのインポートとスクリプトの作成
CSVデータをTradingViewにアップロードし、以下のスクリプトを使用してデータをチャートにプロットする。
//@version=5
indicator("On-Chain Data Visualization", overlay=false)
// CSVからデータを読み込む
active_addresses = request.security("EXCHANGE:SYMBOL", "D", close)
// データをプロット
plot(active_addresses, color=color.blue, title="Active Addresses")
注意点
1. データの正確性
オンチェーンデータは、データソースの信頼性に依存する。取得するデータが正確であることを確認した上で使用すべきである。信頼性の低いデータは誤った結論を導く原因となりうる。
2. データ更新のタイミング
オンチェーンデータはリアルタイム性を重視する場合があるが、外部データの更新頻度によって分析結果に遅延が生じることがある。この点を考慮した運用が求められる。
3. API使用時の制約
外部APIを利用する場合、無料プランにはレートリミットや機能制限が存在することが多い。有料プランを使用する必要がある場合は、コストとのバランスを慎重に検討すべきである。
結論
PineScriptを用いてオンチェーンデータを扱うことで、トレードのファンダメンタル分析に深みを与えることが可能である。本記事で述べた手法を参考に、TradingViewを活用した高度な分析環境を構築していただきたい。
引き続き、システムトレードやアルゴリズムプログラミングに関する知見を共有していく所存である。
読者の皆様の成功を心より願っている。
APIドキュメント:
免責事項
本記事に記載されている内容は、筆者がTradingViewおよびPineScriptを用いて学び得た知識と経験を基に執筆したものである。内容の正確性および完全性については可能な限り配慮しているが、必ずしもその保証をするものではない。
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