1990 年代前半の話
僕は大学時代、「人工知能システム研究室」で AI の研究をしていました。
とはいえ、その頃は深層学習(Deep Learning)なんて未来がないと本気で思われていた時代です。
さて、なぜ深層学習が「未来がない」と判断されていたのか?
理由は単純で、圧倒的にデータが足りなかったからです。
画像認識をやろうとしても、そもそもデータセットが存在しない。
フィルムカメラで撮影 → スキャナで取り込み → 大きくても 320×320 ピクセル程度の画像が数枚、そんな貧弱なデータでは成果なんて出るわけがない。
研究室では
「この分野はデータが無いからやっても仕方ない」
と判断され、研究の主軸は別に向けられていました。
転機になったのは検索エンジンの登場です。
Google が世界中のデータをかき集める仕組みに成功し、その結果、Deep Learning が一気に開花しました。
気づけば今や
AI = Deep Learning
と言われるほどの存在になり、その技術でチューリングテストを突破した。
そして、そのアウトプットには確かに “知性っぽさ” を感じるようになりました。
翻って考えると、
「人間の知能も、結局は深層学習とそんなに違わないのかもしれないな」
とずっと前から思っていた僕の考えを補強することになりました。
正直、僕が生きているうちにチューリングテストを突破する AI が出てくるなんて想像してなかったな…