はじめに
Google Cloud Directory Sync(GCDS)とは、Active DirectoryやAzure ADのような、企業で利用中のドメコンに登録しているユーザーやグループを、Google Workspace や Cloud Identityのユーザーやグループに同期するツールです。
Linux版とWindows版があります。
構成
Active Directoryは、AWSのEC2上に構築しています。
マネージドサービスも存在しますが、検証用なのでお手頃に。
今回の肝となるGCDSも、AWS上に置いておきます。今回はWindows版を選択しました。
GCDSは、以下のサイトの一番上の図のようにGCEにデプロイすることも可能ですが(もしかしたら、この図の意図はサービスの主幹だけなのかも)、Active Directoryに近いところに置いておいた方が無難です。
複数のドメコンを1つのGCDSで集約する場合など、離れた場所に置く場合は経路の暗号化などの対策を。
https://cloud.google.com/architecture/identity/federating-gcp-with-active-directory-introduction
実施手順
Active Directoryの設定
GCDSを使うための特別な設定変更は不要です。
蛇足ですが、検証用ADサーバーを立てる際に、クライアント端末からWorkGroupに参加できないエラーに当たりました。
結果、Security Groupの設定をミスっていたのですが、以下のサイトですごくロジカルなトラブルシューティングができました。オススメ!
https://theitbros.com/active-directory-domain-controller-could-not-be-contacted/
GCDFのデプロイと設定
デプロイはダウンロードしたインストーラーを叩くだけですし、実行もGUIで行えます。
公式サイトも充実しています。以下あたりが参考になりました。
https://cloud.google.com/architecture/identity/federating-gcp-with-active-directory-synchronizing-user-accounts
https://cloud.google.com/community/tutorials/gcds-use-cases-common-and-complex
https://support.google.com/a/answer/3011361?hl=en
お試し環境構築時に、以下のエラーメッセージに直面しました。
Failed to execute query because neither the search rule, nor the LDAP connection settings specify a Base DN. To resolve this error please specify a Base DN in either the search rule or the LDAP connection settings. The Base DN provided in LDAP connection settings is used for fallback if a search rule doesn't have its Base DN specified, reason: NameNotFoundException - [LDAP: error code 32 - 0000208D: NameErr: DSID-0310021C, problem 2001 (NO_OBJECT), data 0, best match of:
LDAP Configurationのポート変更(389 -> 3268)で解消しました。(先に挙げた公式サイトにも記載されている内容でした。)
設定次第で、双方向同期や片方向同期どちらも可能です。
例えば、合併などである会社の所有していたADサーバー上から、ユーザーを片方向同期するような使い方が想定されます。
実行
GCDFには、DryRun的に実行するSimulate Sync機能があります。
最初の実行はSimulate Syncの内容を確認してから実施することを強くお勧めします。
双方向同期する場合は、実行をスケジュールタスクに登録して自動化しておきましょう。
まとめ
ドメコンは、自己学習くらいにしか触っていない自分でも、GCDFにより、お手軽&直感的にドメインユーザーの連携ができました。
実際には利用するには、細かなチューニングが必要になるケースもありますが、GCDFの除外設定などで制御可能なことも多いです。
気になった方は一度、直接触ってみましょう!