はじめに
2026年9月18日、Googleは Gemini API のドキュメント更新にあわせて、Gemini 2.5系モデルへの新規アクセスを制限する方針を発表しました。
これは「モデルの非推奨化(deprecation)」ではありません。既存の利用者は引き続き Gemini 2.5系モデルを API 経由で使い続けられます。一方で、これまで一度も Gemini 2.5系を使ったことがないユーザー・新規プロジェクトは、今後この世代のモデルを新たに使い始めることができなくなります。
📌 影響を受ける人
- これから新しく Gemini API を使ったプロジェクトを立ち上げる人
- 既存プロジェクトはあるが、Gemini 2.5系を「まだ一度も呼び出していない」人
- モデル選定ドキュメントや CLAUDE.md 等に Gemini 2.5系を推奨モデルとして書いている人
なぜこの変更が重要かというと、「動くと思って選んだモデルが、実はもう選べない」という事故が起きうるからです。特にチュートリアルや過去の技術記事を参考にモデル名をそのままコピーして新規プロジェクトを始めると、このアクセス制限に引っかかる可能性があります。
変更の全体像
今回の変更を、新規ユーザーと既存ユーザーでどう扱いが分岐するかで整理すると、以下のようになります。
この措置は、Google が「信頼性のあるパフォーマンスを全ユーザーに提供するための容量確保」と説明している通り、需要が急増した Gemini 2.5系に対するキャパシティマネジメントが目的です。廃止(EOL)ではなく、新規流入だけを絞るという点がポイントです。
変更内容
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年9月18日 |
| 対象モデル | Gemini 2.5系(全体) |
| 変更の性質 | 非推奨化ではなく、新規アクセスの制限 |
| 既存利用者への影響 | なし(API経由で引き続き利用可能) |
| 新規利用者への影響 | Gemini 2.5系を新たに使い始めることが不可 |
| 推奨される代替モデル | Gemini 3.5 Flash-Lite / Gemini 3.8 Flash |
| 目的 | レガシーワークフローと新規アプリ両方の処理容量確保 |
代替モデルとの位置付けを比較すると、以下のようになります。
| 観点 | Gemini 2.5系 | Gemini 3.5 Flash-Lite | Gemini 3.8 Flash |
|---|---|---|---|
| 新規プロジェクトでの利用 | ❌ 不可(過去利用者のみ可) | ✅ 可能 | ✅ 可能 |
| 既存プロジェクトでの継続利用 | ✅ 可能 | ✅ 可能 | ✅ 可能 |
| モデル世代 | 旧世代 | 最新世代・軽量 | 最新世代・標準 |
| 位置付け | レガシー維持用 | 新規の軽量ワークロード向け | 新規の標準ワークロード向け |
⚠️ Breaking Change ではないが要注意
API が急に落ちるような破壊的変更ではありません。ただし、新規に API キー・プロジェクトを発行して Gemini 2.5系を呼び出そうとすると、アクセスが得られない可能性があります。既存の稼働中システムには影響しません。
影響と対応
開発者が取るべきアクションは、自分がどちらの立場にいるかで変わります。
-
既存プロジェクトで Gemini 2.5系をすでに使っている場合
→ 特に対応は不要です。引き続き API 経由でアクセスできます。ただし、長期的には 3.x 系への移行も視野に入れておくと安心です。 -
これから新規プロジェクトを立ち上げる場合
→ モデル選定の段階で Gemini 2.5系を選ばず、Gemini 3.5 Flash-Lite または Gemini 3.8 Flash を候補にしてください。軽量・低コスト重視なら 3.5 Flash-Lite、標準的な性能が必要なら 3.8 Flash が目安になります。 -
社内ドキュメントや CLAUDE.md にモデル推奨を書いている場合
→ 「推奨モデル」セクションを更新し、新規プロジェクトでは Gemini 2.5系を選定対象から除外する旨、既存プロジェクトは影響を受けない旨を明記しておくと、チーム内の混乱を防げます。
コード例
モデル指定部分の Before/After です。新規プロジェクトで Gemini 2.5系を指定していたコードは、3.x系のモデルIDに置き換える必要があります。
Before(新規プロジェクトでは動作しない可能性)
import google.generativeai as genai
genai.configure(api_key="YOUR_API_KEY")
model = genai.GenerativeModel("gemini-2.5-flash")
response = model.generate_content("こんにちは")
print(response.text)
After(推奨モデルへの切り替え)
import google.generativeai as genai
genai.configure(api_key="YOUR_API_KEY")
# 新規プロジェクトでは 3.5 Flash-Lite / 3.8 Flash を利用する
model = genai.GenerativeModel("gemini-3.8-flash")
response = model.generate_content("こんにちは")
print(response.text)
💡 Tips
既存プロジェクトで Gemini 2.5系を使い続けているコードは変更不要です。焦って一括置換するのではなく、新規に書くコード・新しく発行するプロジェクトから優先的に 3.x系へ寄せていくのが安全です。
まとめ
- Google は 2026年9月18日、Gemini 2.5系モデルへの新規アクセスを過去利用者限定に制限すると発表しました。
- これは非推奨化(deprecation)ではなく容量確保のための措置であり、既存利用は API 経由で継続されます。
- 新規プロジェクトでは Gemini 2.5系が使えず、代わりに Gemini 3.5 Flash-Lite または Gemini 3.8 Flash の利用が推奨されます。
- 既存プロジェクトへの影響はありませんが、モデル選定ドキュメントや社内ガイドラインを持っているチームは、この変更を反映しておくことをおすすめします。
新規に Gemini API を触る際は、まず「そのモデル名は新規プロジェクトでも使えるか」を確認する習慣をつけておくと安心です。