0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

Cursor 3.11新機能:サイドチャット(/side)とクラウドエージェント新フック

0
Posted at

はじめに

2026年7月10日にリリースされた Cursor 3.11 は、AIエージェントとの協働体験を大きく変えるアップデートです。目玉は、メインのエージェント会話を止めずに並行して質問できるサイドチャット機能/side, /btw)と、エージェントの発話・思考そのものを観察・制御できるクラウドエージェント向け新フックの追加です。

これまで「エージェントが長いタスクを実行中に、ちょっと別のことを聞きたい」「エージェントの応答内容をもとに自動で処理を挟みたい」といったニーズに対して、ユーザーは待つか、会話を中断するしかありませんでした。今回のアップデートはその制約を解消し、並行作業エージェント動作のプログラマブルな制御という2つの方向で開発体験を拡張しています。

📌 影響を受ける人

  • 長時間タスクをエージェントに任せつつ別作業や確認をしたい人
  • 過去のエージェント会話を頻繁に見返す人(検索機能が刺さります)
  • クラウドエージェントで自己修正ループやカスタムガードレールを組みたい人

変更の全体像

今回のリリースにおける主要な変更点の関係を整理すると、以下のようになります。

緑色の2つ(サイドチャット、クラウドエージェント新フック)が今回の severity: high の変更であり、記事の中心となります。黄色の会話検索は severity: medium、グレーのピッカー再設計は関連度が低いため簡潔に触れる程度にとどめます。

💡 Tips
差分ログ上で「3.7セクション」が削除されているように見えることがありますが、これは機能の廃止ではなく、チェンジログページ上の古いエントリが表示から外れただけです。誤解のないようご注意ください。

変更内容

1. サイドチャット機能(/side, /btw)

メインのエージェント会話とは別に、コンテキストを引き継いだサイドチャットを開始できるようになりました。

項目 内容
起動方法 /side コマンド、/btw コマンド、チャットパネル上部の「+」ボタン
コンテキスト メインチャットのコンテキストを引き継いで開始
永続性 完全なエージェント会話として保存され、後から再訪・フォローアップ可能
メインへの連携 @メンションでサイドチャットの内容をメインスレッドに戻せる
デフォルト動作 読み取り・検索・回答に特化(メインのファイル変更などを止めない)
主な用途 確認質問、代替案の調査、意思決定のサニティチェック

このフローにより、「エージェントの作業を止めて聞く」か「聞かずに我慢する」の二択だったワークフローが、並行して聞けるという第三の選択肢に変わります。

2. 会話検索(Conversation Search)

Agents Window でエージェントのトランスクリプト全文を検索できるようになりました。

  • Cmd+K: コマンドパレットからエージェント会話全体を横断検索(ローカル検索インデックスを構築し、数千件規模でも高速)
  • Cmd+F: 開いている会話内の検索(マッチ間ジャンプ、マッチ数カウンター表示、スクロール中の継続検索に対応)

これまでは「会話名」や「PR番号」でしか過去のやり取りを探せませんでしたが、内容そのもので探せるようになったのは地味に大きな改善です。

3. クラウドエージェント向け新フック

エージェントの会話そのものを観察・制御できる新しいフック群が追加されました。従来のフックはツール実行やファイル・シェル操作が対象でしたが、今回追加されたのはプロンプト・レスポンス・思考(thinking)・サブエージェント・コンパクション・ターン完了を対象とするものです。

フック名 タイミング 用途例
beforeSubmitPrompt プロンプト送信前 入力の検証・加工、ログ記録
afterAgentResponse エージェント応答後 出力内容の監査、自動レビュー
afterAgentThought 思考(thinking)後 推論過程の観察・記録
subagentStart サブエージェント開始時 サブエージェントの制御・監視
stop ターン完了時 完了判定、後処理のトリガー

このフック群を組み合わせることで、クラウドエージェントによる自己修正ループ(応答を評価し、条件を満たさなければ再度プロンプトを送るような制御)を自前で構築できます。CI連携やカスタムガードレールの実装など、エージェントの挙動をプログラム側から制御したいチームにとって有用な拡張です。

4. その他の変更(参考)

  • プロジェクト・リポジトリピッカーの再設計(プロジェクト作成やGit連携がピッカー内で完結、スコープ付き検索など)
  • ピッカーまわりの細かなUI/UX改善多数(リポジトリのグルーピング整理、Run onピッカーの追加など)

これらは severity: low〜medium で、直接のアクションは不要です。

影響と対応

変更 action_required 推奨アクション
サイドチャット 不要 まずは /side を触ってみて、確認作業の待ち時間を減らす運用に切り替える
クラウドエージェント新フック 不要 既存フックを使っている場合はドキュメントで新フック一覧を確認し、自己修正ループ導入を検討
会話検索 不要 特別な対応不要。Cmd+K / Cmd+Fの操作を覚えておくと便利
ピッカー再設計 不要 UIが変わる程度で運用への影響は小さい

⚠️ Breaking Change
今回の変更に破壊的変更は含まれていません。既存のワークフロー・フック定義はそのまま動作します。新フックはあくまで追加のオプトイン機能です。

コード例

クラウドエージェントのフック設定は、既存のチームフック定義に新フックを追加する形になります。イメージとして、自己修正ループを組む場合の設定例は以下の通りです。

Before(従来: ツール実行系フックのみ)

{
  "hooks": {
    "beforeShellExecution": "scripts/audit-shell.sh",
    "beforeFileEdit": "scripts/audit-file.sh"
  }
}

After(会話・思考・応答も対象に追加)

{
  "hooks": {
    "beforeShellExecution": "scripts/audit-shell.sh",
    "beforeFileEdit": "scripts/audit-file.sh",

    "beforeSubmitPrompt": "scripts/pre-check-prompt.sh",
    "afterAgentResponse": "scripts/review-response.sh",
    "afterAgentThought": "scripts/log-thinking.sh",
    "subagentStart": "scripts/register-subagent.sh",
    "stop": "scripts/on-turn-complete.sh"
  }
}

afterAgentResponse で応答内容を検査し、望ましくない結果であれば stop フック内で再度プロンプトを組み立てて送信し直す、といった自己修正ループを構築できます。具体的なフックの引数・戻り値の仕様は公式ドキュメントを参照してください。

まとめ

  • サイドチャット(/side, /btw): メインのエージェント作業を止めずに、並行して質問・調査ができる。永続会話として保存され、@メンションでメインに知見を戻せる
  • 会話検索: Cmd+K でトランスクリプト全文検索、Cmd+F で会話内検索が可能に
  • クラウドエージェント新フック: beforeSubmitPrompt / afterAgentResponse / afterAgentThought / subagentStart などが追加され、エージェントの会話自体を観察・制御し、自己修正ループを構築可能に
  • ピッカー再設計: プロジェクト・リポジトリ選択のUXが向上(影響は限定的)

破壊的変更はなく、いずれもオプトインの機能拡張です。特に長時間タスクを任せる機会が多い方や、エージェントの挙動をプログラム側から制御したいチームは、今回のアップデートを積極的に試す価値があります。

0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?