はじめに
Claude Code v2.1.304 がリリースされました。今回は新機能の追加に加え、mod の settings.read フックの仕様変更、スキルのフック数の上限、LLM ゲートウェイ利用時の挙動変更など、対応が必要になりうる変更が含まれています。さらに、claude --worktree でコミットを失う恐れがあった問題など、安全性に関わる修正も入っています。
この記事では、severity が高い変更を中心に、「誰に影響があるか」「何をすべきか」を整理します。
📌 影響を受ける人
- mod(
settings.read/tool.checkフック)を自作・運用している人- Bedrock / Vertex / Foundry / LLM ゲートウェイ経由で Claude Code を使っている人
claude --worktreeを使っている人CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOWを設定している人- Code Review を組織で運用している Owner / 管理者
変更の全体像
対応の優先度
| 優先度 | 変更 | 対応 |
|---|---|---|
| 高 | mod settings.read 仕様変更 |
新しい入力形式で動作確認 |
| 高 | worktree / rm -r の安全性修正 | アップデートで自動的に解消 |
| 中 | LLM ゲートウェイでの tool search | 挙動変化の確認 |
| 中 | スキルのフック上限 | 上限に近い構成がないか確認 |
| 中 | CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW |
設定値の見直し |
変更内容
1. /auto-mode-setup:auto mode の対話式セットアップ(high)
プロジェクトの内容と最近のセッションを読み取り、auto mode にユーザーの作業環境を教える対話式のセットアップです。
- Amazon Bedrock、Google Vertex、Microsoft Foundry、Claude apps gateway、テレメトリー無効のセッションでも使えます
- 関連改善として、安全分類器のコンテキストをリクエストごとに保存しなくなったため、auto mode のセッションファイルが小さくなりました
クラウドプロバイダー経由や、テレメトリーを無効にしている企業環境でも使えるのがポイントです。
2. Code Review:レビューレベルの選択と組織全体のレビュー(high)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| レビューレベル | Quick / Standard(デフォルト)/ Deep |
| 設定単位 | 組織単位 + リポジトリ単位 |
| 設定できる人 | Owner |
| 組織全体オプション | GitHub 組織の全リポジトリ(後から追加されたものも含む)を対象にできる |
また、管理者が Code Review を有効にしてから1〜2分以内に開かれた PR が、何も表示されずにスキップされていた問題も修正されました。今は再試行されてレビューされます。
使い分けの例(記事筆者による一例です)
- 重要なリポジトリ → Deep
- 一般的なリポジトリ → Standard
- 軽微な変更が多いリポジトリ → Quick
3. mod の settings.read フック仕様変更(high / Breaking Change)
⚠️ Breaking Change
settings.readフックが、各設定レイヤーを個別に受け取り、マージ後の設定を書き換える形に変わりました。既存のsettings.readフックを実装している mod は、新しい入力形式に合わせて動作確認が必要です。
※ Before の形は入力データに明記がないため、簡略化した図です。
この変更で、管理 mod は組織の設定を上限(ceiling)として強制できるようになります。保持期間スイープが使う cleanupPeriodDays も対象です。
4. mod の tool.check 拡張(medium)
-
decider: "person":人間だけが承認できる問い合わせを返せます。許可ダイアログかホストのコールバックでしか承認できません。尋ねる相手がいない環境では、mod が示した理由で拒否されます -
e.isReadOnly:ツール呼び出しが読み取り専用のときに設定されます - 先に実行されるプラグインが mod のフックをスキップした場合、イベント名とプラグイン名を記したトランスクリプト行が表示されます
5. 安全性の修正(high)
| 問題 | 修正内容 |
|---|---|
claude --worktree |
HEAD がデタッチ状態か別ブランチのとき、終了時に確認なしで worktree とブランチを削除し、コミットを失う恐れがあった |
rm -r |
/Volumes、/media、WSL の /mnt/c などのマウントドライブや最上位フォルダに対し、rm -rf /Applications と同じ安全確認が出ていなかった |
| sandbox(Linux) |
sandbox.filesystem.denyRead の glob に文字クラスではない角括弧(例:[user-id] のルートフォルダ)が含まれると、sandbox 内のコマンドが起動に失敗していた |
💡 Tips
過去にclaude --worktreeで作業していて、コミットが見当たらない場合はgit reflogを確認してみてください。
6. LLM ゲートウェイ対応(medium)
- カスタム
ANTHROPIC_BASE_URLでも tool search がデフォルトで有効になりました - ゲートウェイが 400 / 422 を返した場合は、tool search なしで再試行します
- 「
context_management: Extra inputs are not permitted」エラーは、そのフィールドを除いてリクエストを再送することで解消されます
7. スキルのフック上限(medium / Breaking Change)
⚠️ Breaking Change
1つのソース(リポジトリ、自分のフォルダ、またはプラグイン)のスキルが登録できるのは、セッションあたりフック 1,024 個、マッチャー 16,384 文字までです。
また、プラグインのフックのみを許可するポリシーの下で、メイン会話で使われたスキルのフックが除外された場合、そのスキルに allowed-tools が付与されなくなりました。あるスキルの once フックが、別のスキルの同一フックまで削除していた不具合も修正されています。
8. CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW の接尾辞対応(medium)
これまで CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW=200k と書くと、暗黙のうちに 100K のウィンドウで動いていた可能性があります。今は --autocompact と同様に k / M 接尾辞を受け付け、範囲外や無視された値には警告が出ます。
9. その他の変更
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| Pro/Max | 休止中の会話の再開が5時間の使用量上限をかなり消費する場合に警告。「そのまま再開」か「新しい会話」を選択。/usage はレート制限時に解除時刻を表示 |
/claude-api |
managed-agents-secure を追加(Managed Agents の設定を公開セキュリティガイドと照合。読み取り専用)。Claude Platform on AWS で ant CLI を使用(以前は SDK や curl にフォールバック) |
| コンパクション | 後にスキル一覧を再送。/reload-skills は新規・変更分のみ送信。要約にツール名を表示(Ctrl+O) |
/fast |
Opus 5.5 のダイアログから「(research preview)」ラベルを削除 |
| VSCode 拡張 | Bedrock / Vertex / Foundry / ゲートウェイ / テレメトリー無効でも mod を描画。バックグラウンドのサブエージェントは1行ステータス表示に(全トランスクリプトは /tasks) |
| クラウド / Cowork / Remote Control | 最初のターンが stdio MCP サーバーの起動を待たない(alwaysLoad: true の場合を除く)ほか、複数の不具合を修正 |
| Agent SDK / ヘッドレス | プラグインが --max-turns や Stop を越えて実行を続けさせていた問題、PreToolUse の拒否理由がタイムアウトエラーに置き換わる問題などを修正 |
| パフォーマンス | 多数のサブエージェント並行時の応答性、長い会話でのメモリ使用量を改善 |
| 設定・ポリシー | API キー承認後の組織ポリシー更新遅延、サーバー管理 OpenTelemetry 設定の無視などを修正 |
| Claude Tag(Slack) | Enterprise Grid でチャンネル共有時に応答しなくなる問題、スレッド外の @Claude !fork に返信がない問題を修正 |
影響と対応
アクション一覧
-
mod 開発者:
settings.readフックを新しい入力形式(レイヤー個別)に合わせて確認。管理 mod なら、組織設定を上限にする設計を検討できます - ゲートウェイ利用者:tool search がデフォルト有効になるため挙動を確認。400/422 時は自動で再試行されます
-
CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW利用者:200kなどと書いていた場合、実際は 100K で動いていた可能性があります。意図した値か見直してください -
スキル・プラグイン開発者:フック数とマッチャー文字数が上限内か確認。プラグインのフックのみ許可するポリシー下では
allowed-toolsの扱いも確認 - Code Review の Owner:組織とリポジトリごとのレビューレベルを設計
-
--worktree利用者:アップデートで確認なしの削除は解消されます
コード例
CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW の確認
# Before: 200k と書いても、実際には 100K として動いていた可能性がある
export CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW=200k
# After (v2.1.304): k / M 接尾辞を受け付ける。範囲外や無視された値には警告が出る
export CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW=200k
書き方は同じでも、解釈が変わる点に注意してください。意図したウィンドウサイズになっているか、起動時の警告の有無で確認できます。
新コマンドの例
# auto mode の対話式セットアップ
/auto-mode-setup
# Managed Agents の設定をセキュリティガイドと照合(読み取り専用)
/claude-api managed-agents-secure
mod の tool.check で人間の承認を要求する(概念例)
提供データには具体的な API シグネチャが含まれていないため、以下は概念的な擬似コードです。実際の記法は公式のリリースノートと plugin-authoring スキルで確認してください。
// 擬似コード: 実際のシグネチャは公式ドキュメントを参照
function onToolCheck(e) {
if (e.isReadOnly) {
return; // 読み取り専用なら通常どおり
}
return {
decider: "person", // 人間だけが承認できる
reason: "書き込みを伴う操作のため、担当者の承認が必要です",
};
}
承認する相手がいない環境では、mod が示した理由で拒否されます。
まとめ
-
新機能:
/auto-mode-setup(クラウドプロバイダー経由やテレメトリー無効でも利用可)、Code Review のレビューレベル(Quick / Standard / Deep)と組織全体のレビュー -
要対応:mod の
settings.readフック仕様変更、スキルのフック上限(1,024 個 / 16,384 文字)、ゲートウェイでの tool search デフォルト有効化 -
要確認:
CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOWの設定値。200kが実際には 100K だった可能性があります -
安全性:
--worktree終了時のコミット消失と、マウントドライブへのrm -rの確認漏れが修正されました
mod やゲートウェイ、スキルのフックを使っている場合は、アップデート後に上記のチェックリストを一通り確認することをおすすめします。