はじめに
2026年9月3日、Google AI(Gemini API)の changelog で音楽生成モデル「Lyria 3.5」のパブリックプレビューが発表されました。しかし発表からわずか1日後の9月4日に記載内容が修正され、当初アナウンスされていた2モデル構成が単一モデルに変更されるという珍しい事態が起きています。
具体的には、次の2点が変わりました。
- モデルIDが
lyria-3.5-pro-previewからlyria-3.5に統一された - 30秒クリップ生成向けに最適化されていた
lyria-3.5-clip-previewの記載が完全に削除された
発表直後の内容をもとにコードを実装したり、ドキュメントを社内共有したりした方は、モデルIDの記述を修正しないとAPIリクエストが失敗する可能性があります。この記事では、何がどう変わったのか、なぜ重要なのか、そしてどう対応すべきかを整理します。
📌 影響を受ける人
- 2026年9月3日〜4日の間に Lyria 3.5 の音楽生成機能を試した/実装した方
lyria-3.5-pro-previewまたはlyria-3.5-clip-previewというモデルIDをコードやドキュメントに書き込んだ方- 30秒程度の短尺クリップ生成ユースケースを検討していた方
変更の全体像
発表当日(9/3)と翌日(9/4)でモデル構成がどう変わったかを図示します。
このように、pro-preview は名称変更として吸収された一方、clip-preview は行き場がなくなっている点が最大のポイントです。
変更内容
1. モデルIDの統合(lyria-3.5-pro-preview → lyria-3.5)
| 項目 | 9/3時点の記載 | 9/4修正後 |
|---|---|---|
| モデルID | lyria-3.5-pro-preview |
lyria-3.5 |
| フルレングス楽曲生成 | ✅ | ✅(引き継ぎ) |
| 音楽的一貫性の向上 | ✅ | ✅(引き継ぎ) |
| 自然なボーカル | ✅ | ✅(引き継ぎ) |
| 尺・構成の細かな制御 | ✅ | ✅(引き継ぎ) |
| テキスト・画像入力対応 | ✅ | ✅(引き継ぎ) |
| 出力音質 | 44.1 kHz ステレオ | 44.1 kHz ステレオ(維持) |
機能面での後退はなく、IDの表記だけが変更された形です。
2. lyria-3.5-clip-preview の記載削除
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象モデル | lyria-3.5-clip-preview |
| 想定用途 | 30秒クリップ生成、ループ、高速な実験サイクル |
| 変更内容 | changelog から完全に記載が削除 |
| 文言の変化 | "Both models support..." → "The model supports..." |
| 提供状況 | 不明(提供中止か、当初の誤記かは公式差分から判断不可) |
⚠️ Breaking Change
lyria-3.5-clip-previewというモデルIDでAPIを呼び出すコードが存在する場合、今後動作しなくなる可能性があります。短尺クリップ生成のユースケースでこのIDを使う予定だった場合は、代替手段の検討が必須です。
3. changelogページのメタデータ更新
ページフッターの「Last updated」が 2026-09-03 UTC から 2026-09-04 UTC に更新されました。これは記載修正に伴う付随的な変更で、機能的な影響はありません。
影響と対応
対応が必要かどうかを判断するためのフローチャートです。
具体的なアクション:
- コード内で
lyria-3.5-pro-previewを検索し、lyria-3.5に一括置換する - 社内ドキュメントやREADME、CLAUDE.mdなどのモデル一覧を最新の記載に更新する
-
lyria-3.5-clip-previewを前提とした短尺クリップ生成ロジックがある場合、lyria-3.5の「fine-grained duration control(細かな尺制御)」機能で30秒程度の出力を指定できないか検証する - 現時点ではプレビュー段階の機能であるため、正式リリース時に再度モデルID・仕様が変わる可能性を念頭に置いておく
💡 Tips
プレビュー版のモデルIDは正式リリースまでに変更されることが珍しくありません。ハードコードを避け、モデルIDを設定ファイルや環境変数に切り出しておくと、今回のような修正が入っても影響範囲を最小限にできます。
コード例
Before/Afterでモデル呼び出し部分の差分を示します(擬似コード)。
Before(9/3時点の実装)
# 9/3発表時点の記載に基づく実装
response = client.models.generate_music(
model="lyria-3.5-pro-preview",
prompt="アコースティックギターを中心とした穏やかなインスト曲",
duration_seconds=180,
)
# 短尺クリップ用に別モデルを呼び分けていたケース
clip_response = client.models.generate_music(
model="lyria-3.5-clip-preview",
prompt="ロック調のループBGM",
duration_seconds=30,
)
After(9/4修正を反映した実装)
# モデルIDを 'lyria-3.5' に統一
response = client.models.generate_music(
model="lyria-3.5",
prompt="アコースティックギターを中心とした穏やかなインスト曲",
duration_seconds=180,
)
# clip-preview の代替として、同一モデルで尺を短く指定
clip_response = client.models.generate_music(
model="lyria-3.5",
prompt="ロック調のループBGM",
duration_seconds=30, # fine-grained duration control で短尺を指定
)
モデルの呼び出し口を1箇所にまとめておくと、こうしたID変更時の修正コストを抑えられます。
# 設定を一元化しておく例
MUSIC_MODEL_ID = "lyria-3.5" # 変更があればここだけ書き換える
def generate_music(prompt: str, duration_seconds: int):
return client.models.generate_music(
model=MUSIC_MODEL_ID,
prompt=prompt,
duration_seconds=duration_seconds,
)
まとめ
- Lyria 3.5 は発表からわずか1日で changelog の記載が修正され、
lyria-3.5-pro-previewはlyria-3.5という単一モデルIDに統合された -
lyria-3.5-clip-preview(30秒クリップ向けモデル)の記載は削除され、現状は代替としてlyria-3.5の尺制御機能を使う必要がある - フルレングス楽曲生成、テキスト・画像入力対応、44.1 kHzステレオ出力といった主要機能自体に後退はない
- 9/3時点の情報をもとに実装・ドキュメント化した場合は、モデルIDの書き換えが必須
- プレビュー段階のモデルは仕様変更が起こりやすいため、モデルIDを設定として外出しするなど変更に強い実装をしておくことが望ましい
Lyria 3.5 はまだパブリックプレビュー段階です。正式リリースに向けてさらに仕様が変わる可能性もあるため、Music generation ガイドなど公式情報を継続的にウォッチしておくことをおすすめします。