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はじめに

こんにちは、若手社員Hです。
先日散歩をしていると、緑色の看板とその真隣にあった青信号が同じ色をしていました。
そこで今回は、長年の疑問である青信号の名前の秘密について調べたので、まとめたいと思います。

予想

日本ではたびたび、緑色なのに「青」が名前につくものが散見されます。青りんご、青梅、青菜など……
なので、その古来からの呼び方が定着した結果なのかなと考えました。

青信号の名前の由来

文献調査

調べ始めて最初に見つけた記事では、以下のように書かれていました。

日本に最初の信号機が日比谷交差点に設置された1930年の交通に関する法令では「緑信号」と書かれていました。
しかし、信号機の設置を紹介する当時の新聞記事などで「青」と記された事により青の呼び方が広まったと考えられ、その後、法令も「青」と書き換えられた経緯があります。1

また、もう1つトヨタの記事で気になるものを発見しました。

日本最初の自動交通信号機は、アメリカ製の中央柱式(交差点の中央に設置されるもの)の信号機で、1930年3月に東京の日比谷交差点に設置されました。当時は色灯による交通信号の意味を知る国民が少なかったため、警察官が配置され周知が進められました。現在設置されている側柱式の信号機は、同年12月に京都市に国産第1号が設置され、その後全国に普及しました。

信号機が初めて設置された際は、現在の青信号にあたる色は法令上「緑色信号」と呼ばれていました。1930年4月に告示され、道路の信号に関するルールを定めた『警視廳告示第105號』では、現在の青信号を次のように規定しています。

三、綠色信號『進め』は進行すへきことを示す
『警視廳告示第105號』

と記載されています。2

ここで分かることは以下の2つです。
①1930年時点では現在の呼び方である青信号ではなく、緑色信号もしくは緑信号と呼ばれていたこと。
②後々「青」の呼び方が広まったことで法令が青信号に書き換えられたこと。
③参考になる文献は存在しているそうだが、実際の一次資料の画像などがどのサイトにも載っていないこと。

③に関して、トヨタの記事では『警視廳告示第105號』と記載がありました。しかし、『警視廳告示第105號』はウェブ上に載っておらず、緑色信号と実際に書かれているかを調べるには国立図書館に行かなければなりませんでした。

そこで、『警視廳告示第105號』以外に緑信号という記載が載っている文献がないかの調査を始めました。
そして見つけたのが、『警察によるITS』3というPDFです。
こちらのp.49に交通信号年表という、年代によって信号機や信号機に関する法律がどう移り変わってきたかの年表があります。
その中で大事なのが以下の部分です。

昭5.4 信号方式を訓令告示により統一 (訓令甲第33号、警視庁告示第105号他)信号機で信号する場合は「進メ」「止レ」の中間に「注意」の信号を表示することとしました。

ここから、『警視廳告示第105號』以外に『訓令甲第33号』にも信号機に関する表記が記載されている可能性があることがわかりました。

では『訓令甲第33号』を調べてみよう……と思ったのですが、実は訓令甲というものは内部規程のため、官報などの表に出てくることがないものなのです。
ここで万策尽きました……。

と思いつつ調べていると、なんと『警視廳告示第105號』に関連して、警視庁事務年鑑という資料に載っているかもしれないことが判明しました。

警視庁事務年鑑

実は昭和初期の警視庁事務年鑑は国立国会図書館デジタルコレクションなどで無料で見ることができるそうです。
そこで、昭和5年以降のものを少し調べてみました。

昭和5年下巻

ここでは信号について以下のように載っていました。

交通整理ノ信號統一4
第二條 手ニ依ル信號方法ハ本令ノ定ムル所ニ依ルヘシ
一 一方ノ交通ニ対シ一般的ニ「止レ」ノ信號ヲ表ス場合 止メムトスル交通ニ対シ正面シ掌ヲ前ニシ左手ヲ左方(又ハ右手ヲ右方)ニ水平ニ……

少し読みにくいと思いますが、こちらは手信号に関するものが記載されていました。
もう少し時代を新しくして見てみましょう。

昭和8年

昭和6,7年には信号に関する法令が特段なかったので、飛ばして昭和8年を見てみましょう。
ここでは信号について以下のように載っていました。

自動交通整理信號機規格統一5
……
第一 信號燈
一 信號燈ハ三燈式トシ中央柱式ニアリテハ直立トシ上方ヨリ赤、黄、緑、側柱式ニアリテハ水平トシ道路ノ中央ヨリ赤、黄、緑ノ順ニ配列スヘシ
二 燈ノ前面硝子ハ……、内部ノ光源ニ因ル透過光線ハ所謂「信號色」タル赤色、黄色、緑色ヲ現示するモノタルヘシ

ありました……!緑と書かれた法令文です。
緑色信号とは書かれていないものの、いわゆる信号色の中に赤色、黄色、緑色と書かれていますし、信号に配置する色の順番にも赤、黄、と書かれています。

昭和22年

そして、時代は変わって昭和22年道路交通取締法と道路交通取締令という2つの法令が出ました。こちらは官報で確認できます。道路交通取締令の方を確認してみると次のように書かれています。

官報p.137 最上段真ん中付近6
信号機の燈火は、左の意味を有する。
一 青色は「進め」
二 赤色は「止れ」
三 黄色は「注意」

ここできちんと信号の燈火が青色の場合の記載がなされています。
緑から青に移り変わった決定的瞬間です。

外国の場合

信号機が初めて日本に来たのが1930年でしたが、どこから来たかというと外国からでした。
では、外国では青信号のことをどう呼んでいるのでしょうか。

代表として、アメリカでは青信号のことをGreen Lightと呼びます。
緑ですね。

信号機の国際標準化

極端な例ですが、例えば信号機の赤が日本では「止まれ」ですが、外国では「進め」の意味だとしたら、外国から日本に来た人は車にひかれてしまいます。
そのようなことがないように、国際的に信号機の標準化が進んでいます。
以下は『信号機の豆知識』7というサイトからの引用です。

交通信号の色が赤・青(緑)・黄になっているのは、日本独自の規格というわけではなく世界的なものです。
これを規定しているところは、CIE(国際照明委員会)という組織です。
 CIEで規定している信号の色は、赤・緑・黄・白・青の5色で、それぞれ色度の範囲や光度等が決められています。
交通信号に使われている色は、赤・緑・黄の3色です。ちなみに、白や青は交通信号以外の航空信号等に使われています。
 外国の緑信号は日本と違って真緑色ですが、我が国では色弱者に配慮してCIE規格の緑の色度範囲の中でなるべく青に見えるような色度を採用しております。

赤と緑は色弱の方にとっての区別がつきにくい色です。それでもなるべく区別できるように、日本では緑信号の色を青色に寄せているそうです。
実際に昭和のときの青信号よりも現在の青信号の方が青みがかっています。
そこからも青信号と呼べる所以があると思います。

まとめ

以上から、信号機の色や名前が緑色から青色に実際に時代に沿って変わったことが分かったと思います。私の予想も五分五分でした。
誰にとっても身近な青信号、その名前の背景について知ることができてよかったです。
結果として、青信号は緑色ですが、限りなく青に近づけた緑色だということがわかりました。
色というものは見る人にとって印象も見え方も違います。
普段からそういったことを意識して設計書や資料の作成などを行ってみると、また違った視点に気付けるかもしれませんね。

参考文献

  1. 緑色なのに「青信号」と呼ぶのはなぜ? - 大学教授に聞いてみた

  2. 青信号が「緑色」である理由を紹介!昔は「緑信号」と呼ばれていた?

  3. 警察によるITS

  4. 警視庁事務年鑑 - 昭和5年下巻

  5. 警視庁事務年鑑 - 昭和8年

  6. 道路交通取締令 - 昭和22年

  7. 信号機の豆知識

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