導入
こんにちは、もんすんです。
ITインフラやアプリケーション開発において、「スケーラビリティ」 や 「移行戦略」 といった言葉が使われることがあります。
これらは、システムを効率的に運用・拡張するために重要な考え方です。
今回は、それぞれの概要と実際の利用例について備忘録の意味を込めつつ、解説していきます。
スケーラビリティとは?
スケーラビリティとは、システムが増加する処理量や負荷に対応する能力を指します。
例えば、自分が運営しているウェブサイトへのアクセス数が急増した場合、そのアクセスをスムーズに処理するにはシステムを拡張する必要があります。
この拡張が容易に行えるかどうかが、システムのスケーラビリティに関わります。
スケーラブルなシステムを構築するためのアプローチとして、以下の2つが挙げられます。
1. 水平スケーリング(Horizontal Scaling)
水平スケーリングでは、サーバーやコンテナなどの「数」を増やして負荷に対応します。
追加のサーバーを用意し、処理を複数のサーバーで分散させるイメージです。
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利点:
- リソースを簡単に追加・削減できる柔軟性がある。
- サーバーが1台ダウンしても、他のサーバーが処理を続けることで高可用性を確保できる。
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例:
- クラウド環境での自動スケーリング(AWSのAuto ScalingやGoogle CloudのInstance Groups)。
- コンテナ技術を使ったKubernetesの負荷分散。
2. 垂直スケーリング(Vertical Scaling)
垂直スケーリングは、既存のサーバーの性能を向上させる方法です。
CPUやメモリを増強して、1台のサーバーでより多くの処理をこなせるようにします。
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利点:
- 既存のシステム構成を大きく変更せずに対応可能。
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制約:
- サーバー自体の物理的な限界があるため、拡張性に制約がある。
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例:
- データベースサーバーのメモリ増設や高性能CPUの導入。
移行戦略とは?
システムを効率的に運用するためには、環境の変更(移行) が必要になることがあります。
オンプレミス(自社保有のサーバー)からクラウドへの移行がその一例です。
このような移行を成功させるための計画を移行戦略と呼びます。
主な移行戦略
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リホスト(Rehost / Lift and Shift)
現在のシステムをほぼそのまま新しい環境に移行する方法です。
移行が迅速に行える一方で、新環境のメリットを十分に活用できない場合があります。 -
リプラットフォーム(Replatform)
一部を最適化し、新しい環境に適応させる方法です。
例: アプリケーションをクラウド用に再構成し、データベースをクラウドネイティブなサービスに移行。 -
リファクター(Refactor)
アプリケーションを再設計し、新しい環境の機能を最大限活用します。
開発コストが高くなる可能性がありますが、システムの性能向上や柔軟性の向上が期待されます。 -
リパーチェス(Repurchase)
既存システムをクラウドサービスに置き換える方法です。
現在のニーズに合ったソリューションを採用できます。 -
リテイン(Retain)
現在の環境にシステムをそのまま残す方法です。
移行が難しい場合や、現環境での運用が適切な場合に選択されます。 -
リタイア(Retire)
必要のないシステムを廃止し、コストを削減します。
最後に
システムのスケーラビリティを高めることで、ビジネスの成長に伴う負荷に柔軟に対応できます。
水平スケーリングと垂直スケーリングを適切に組み合わせることで、効率的なシステム運用が可能です。
また、移行戦略を計画する際には、ビジネス要件や現状のインフラを考慮し、最適な方法を選択することが重要です。
これらの考え方をしっかりと理解し、システムの要件に最適な選択を行っていきましょう!