執筆している2026/5/7時点の情報ですので、今後変更される可能性も十分ありますので、最新な情報は公開情報などもご確認ください。
対象読者: すべてのユーザー向けに Copilot in Wordを理解したい
目的: Copilot in Word の全体像を理解し、明日の業務にすぐ使える 10 個の実践 Tip を共有する
1. はじめに ― なぜ今 "Copilot in Word" なのか
Microsoft 365 Copilot の中でも Word への統合は、ナレッジワーカーが最も恩恵を受ける機能の一つです。提案書・議事録・FAQ・契約書ドラフト・お客様向けレポートなど「文章を書く」作業のほぼ全工程を AI がアシストします。
公開情報・社内ガイダンスをもとに、本ブログでは以下を一気にまとめます。
- Copilot in Word の 全機能マップ(Draft / Transform / Chat / Coaching / Voice)
- ライセンスと前提条件
- プライバシーとセキュリティ(社内データの扱い)
- 制限事項(言語・文字数・SmartArt 等)
- 業務でよく使われる 10 個の Tip シナリオ(プロンプト例つき)
- 困ったときの FAQ / トラブルシュート
2. Copilot in Word でできることの全体像
| カテゴリ | 主な機能 | 起動場所 |
|---|---|---|
| Draft(生成) | 白紙からのドラフト作成、Inspire Me(続きを書く)、参照ファイル指定(最大 20 ファイル:.docx / .pptx / .pdf / .txt) | 本文の左マージン Copilot アイコン、または Home リボン |
| Transform(変換) | Auto rewrite(自動書き換え)、Visualize as a table(テキスト→表)、口調・長さ調整 | 選択テキスト → 左マージン Copilot アイコン |
| Chat(質問) | 文書要約、Call to Action 抽出、引用付き回答、画像/チャートへの質問、選択範囲チャット | Home リボン → Copilot ペイン |
| Coaching / Writing Suggestions | 構成・論理性・トーン・読み手最適化の提案(文法を超えるレビュー) | Draft with Copilot → Writing suggestions |
| Voice | マイクボタンで音声プロンプト、応答の途中割込み | Copilot ペイン上部のマイク |
| History | 過去のチャットを自動保存・再開 | Copilot ペイン |
💡 Inspire Me は既存文書の文脈を踏まえて自然に続きを書いてくれます。長文ドラフトのリズムが切れたときに便利。
3. ライセンスと前提条件
| ライセンス | できること |
|---|---|
| Microsoft 365 Copilot (商用) | 全機能(社内ファイル参照 / Graph 連携 / 商用データ保護) |
| Copilot Pro (個人) | Word for the web で /file 参照、その他の Draft / Transform / Chat |
| Microsoft 365 (Copilotなし) | Copilot 機能は表示されない |
確認方法: What Copilot license do I have?
社内テナント(Microsoft)の場合: M365 Copilot ライセンスは付与済み。Word(Win/Mac/Web/iPad)すべてで利用可能です。Conditional Access で外部 AI へ社内データが流出することはなく、テナント境界内に閉じます(Data, Privacy, and Security for M365 Copilot 参照)。
4. プライバシーとセキュリティ(チーム必読)
Microsoft 内部利用において押さえておくべき点:
- プロンプト・応答・参照ファイルは Microsoft 365 のテナント境界内で処理され、OpenAI 等の外部モデル学習には利用されない。
- Reference a file でグラウンディングしたファイルは、閲覧権限のあるユーザーだけが参照可能(SharePoint / OneDrive の ACL を継承)。
- 顧客情報(NDA/顧客固有データ)を扱う場合は、必ず社内ガイドラインに従い、外部共有禁止のラベル(MIP)が付いた文書を使う。
- 出力は「Usefully wrong(役に立つけど間違うこともある)」を前提に、人間レビュー必須。
詳細: Privacy FAQ for Microsoft Copilot / Data, Privacy, and Security for M365 Copilot
5. 知っておくべき制限事項
- 長文制限: 1 プロンプトで処理できる単語数に上限あり(章単位に分割推奨)。参照ファイルも目安 ~80 ページ/ファイル。
- SmartArt / 複雑な表 / グラフ を含む箇所は精度が萴ちることがある。
- 対応言語: 日本語含む主要言語に対応。ただし 品質は英語が最も高い。日本語で意図通りにならないときは、プロンプトを英語で書く/日本語訳を依頼する、の二段構えが有効。
- 同じプロンプトでは 似た文章が他の人にも生成される 可能性 → 重要文書は Editor の Similarity チェックを推奨。
6. 🎯 よく利用される 10 Tip シナリオ(M365JP 向け実例)
✅ 各シナリオに 想定業務 / 使う機能 / 推奨プロンプト / コツ を記載しました。コピペしてそのまま使えます。
Tip 1. 提案書/企画書のたたき台を 30 秒で作る
- 業務: お客様向け提案書・社内企画書の初稿
- 機能: Draft with Copilot + Reference a file
-
プロンプト例:
「
/Customer-Briefing.docxと/Architecture-Overview.pptxを参考に、Contoso 社向け SharePoint Premium 導入提案書のドラフトを作成してください。構成は (1) お客様課題 (2) 提案概要 (3) 想定効果 (4) スケジュール (5) 投資概算。語調は丁寧なビジネス日本語で、A4 3 ページ程度。」 - コツ: 構成(章立て)まで指定するとブレない。最大 20 ファイルまで参照可能なので、過去類似案件の Win Story も追加すると刺さる文章になる。
Tip 2. 議事録の "決定事項 / アクション / 次回課題" を抽出
- 業務: Teams 会議文字起こし → 議事録整形
- 機能: Chat with Copilot(文書要約)
-
プロンプト例:
「この文字起こしから、以下を Markdown の表で抽出してください: ① 決定事項 ② 担当者付きアクションアイテム(期限含む) ③ 次回までの課題 ④ 未解決の質問。」
- コツ: Teams のトランスクリプトを Word に貼り付けてから Copilot Chat で実行。引用元(行番号)が表示されるので、決定事項の根拠を会議参加者へ即提示できる。
Tip 3. 長文レポートを 5 行サマリ+bullet 詳細に圧縮
- 業務: 顧客から届いた 30 ページ仕様書を上司に共有
- 機能: Chat with Copilot
-
プロンプト例:
「この文書を (a) エグゼクティブサマリ 5 行 (b) 主要ポイント 10 個 (c) リスクと前提条件 にまとめて。専門用語は初出時に括弧書きで簡単な説明を付けてください。」
- コツ: 「日本語で」「敬体で」を明記。引用付きなので、上司に「ここを根拠にしてます」と即答可能。
Tip 4. 平凡な文章を "刺さる文章" に Auto Rewrite
- 業務: 提案書のエグゼクティブサマリ磨き込み
- 機能: Auto rewrite(左マージン Copilot アイコン → Auto rewrite)
-
プロンプト例(リライト指示):
「経営層 (CIO) 向けに、ROI と競合優位性が一目で伝わるトーンに書き換えてください。一文を短く、能動態中心、専門用語は最小限に。」
-
コツ:
<>で複数案を比較、気に入った案の途中から手で書き換えると インタラクティブリライト で続きを再生成してくれる。
Tip 5. 箇条書き/長文を一発で表に変換
- 業務: 機能比較・SKU 比較・スケジュール表の整形
- 機能: Visualize as a table
-
プロンプト例:
「選択した文章から、列: [機能] [Standard] [Premium] [備考] の比較表を作成。空欄セルは "-" で埋めて。」
- コツ: 表生成後に「3 列目を削除」「ヘッダーをアイコン付きで」など追加指示で微調整可能。提案書の "比較スライド作る前段階" として高速化。
Tip 6. メール/Teams チャット → 顧客向け Word レポートへ昇華
- 業務: サポート対応のクロージングレポート作成
- 機能: Draft with Copilot + Reference an email
-
プロンプト例:
「Outlook の "Contoso 障害対応" スレッドを参照し、お客様向けの Incident Report を作成してください。構成: 事象概要 / 影響範囲 / タイムライン / 根本原因 (RCA) / 恒久対策 / 再発防止。社外提出可能なトーンで、内部用語(KB番号など)は除外。」
- コツ: メール参照は M365 Copilot ライセンスのみ。Teams チャットは現時点未対応のため、要約を貼り付けて参照させる。
Tip 7. レビュー前のセルフチェック ― Coaching / Writing Suggestions
- 業務: 上司レビュー前の品質向上
- 機能: Draft with Copilot → Writing suggestions
-
使い方:
- 文章(または全体)を選択
- Copilot アイコン → Writing suggestions
- 提案を 1 件ずつ ✅/✕ で選別 → Apply selected suggestions
- 着眼点: 文法を超えて「論理構成」「読者層への適切さ」「Call to Action の有無」「冗長表現」までレビューしてくれる。自分の文章は上書きされないため安心。
Tip 8. ドキュメント内の画像/チャートに質問する
- 業務: 顧客提供のアーキ図 PNG が貼られた仕様書理解
- 機能: Chat with Copilot(画像貼り付け)
- 手順: Snipping Tool で画像をコピー → Copilot ペインのプロンプト欄に Ctrl+V → 質問を添える
-
プロンプト例:
「この構成図に描かれているサービス間の通信プロトコルと、SPO/ODB に関わる依存関係を箇条書きで教えて。SLA に影響しそうな単一障害点も指摘して。」
- コツ: 画像内テキストの OCR + 文脈理解の両方が走るので、英語のホワイトペーパー図解も日本語で説明させられる。
Tip 9. 多言語ドキュメントの翻訳+ローカライズ
- 業務: 米本社発の英語 KB を日本のお客様向けに展開
- 機能: Chat with Copilot
-
プロンプト例:
「この文書を日本のエンタープライズ IT 管理者向けに、敬体・自然な日本語にローカライズしてください。製品名・機能名は公式日本語名(例: SharePoint Online → SharePoint Online のまま)に統一。日付形式は YYYY/MM/DD、通貨は円換算(参考レート 1USD=150JPY を併記)。」
- コツ: 「直訳しない」「日本のビジネス慣習に合わせる」の指示が品質を大きく左右する。一気に全文ではなく、章ごとに依頼すると安定。
Tip 10. 音声で "歩きながら" ドラフト作成
- 業務: 移動中のアイデア整理、口頭ブレインストーミング
- 機能: Voice(マイクボタン)
- 使い方: Copilot ペインのマイクをオンにして話す → リアルタイムでプロンプト化&応答 → 途中で割り込み修正 OK
-
プロンプト例(口頭):
「えーっと、来週の Contoso 訪問用のアジェンダを作って。1 時間枠、最初の 10 分でアイスブレイクと前回の振り返り、次の 30 分で SharePoint Premium のデモ、最後 20 分は Q&A と次のアクション確認、で。」
- コツ: 出張前の通勤中・タクシー移動中に Word for iPad + AirPods で実行。フリーハンドで初稿が完成。
7. プロンプト設計のベストプラクティス(GCSE フレーム)
Microsoft 公式が推奨する 4 要素を満たすと精度が劇的に上がります。
| 要素 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| Goal(目的) | 何を作るか | 「Contoso 向け提案書を作る」 |
| Context(文脈) | 読者・背景・トーン | 「読者は CIO、初回提案、丁寧な日本語」 |
| Source(参照元) |
/file で指定 |
/Customer-Briefing.docx |
| Expectation(期待) | フォーマット・長さ | 「A4 3 ページ、章立て付き、箇条書き多用」 |
8. FAQ/トラブルシュート
Q1. Copilot アイコンが表示されない
→ ライセンス未付与 / 組織ポリシーで無効 / Office のバージョンが古い。Office を最新ビルドに更新(File → Account → Update Options)。
Q2. 日本語の出力品質が安定しない
→ プロンプトを箇条書き+具体例つきで指示、章ごとに分割、必要なら英語で生成 → 翻訳の二段構え。
Q3. 参照ファイルが見つからない(/file で出てこない)
→ そのファイルが SharePoint / OneDrive にあり、自分に閲覧権限があることを確認。ローカル PC のみのファイルは参照不可。
Q4. 同じプロンプトで毎回違う文章が出る
→ 仕様(生成 AI の確率的性質)。重要案件はテンプレ+プロンプトをセットで Wiki/Loop に保存しチームで再利用するのが◎。
Q5. 機密情報を入れて大丈夫?
→ テナント境界内に閉じる前提だが、Sensitivity Label が付いた文書を使うことが組織標準。ラベル無しの平文でお客様データを直接入力しない運用にしてください。
9. チームでの活用を加速する 3 つの提案
- プロンプトテンプレート集をチーム Wiki に蓄積: 上記 Tip 1〜10 をベースに、案件タイプ別 (RFP回答・ASR・PoC レポート・移行設計書) のプロンプトを共有資産化。
- "Copilot レビュー会" を週 1 回 30 分: 各自の Before / After 文書を持ち寄り、効いたプロンプトをチームで横展開。
- Coaching を "出社前セルフレビュー" のルーティン化: 提案書を上司レビューに回す前に Writing suggestions → 修正 → 提出、を標準フローに。
10. 参考リンク(公式)
- Welcome to Copilot in Word
- Draft and add content with Copilot in Word
- Rewrite text with Copilot in Word
- Chat with Copilot about your Word document
- Use Writing suggestions (Coaching)
- FAQ about Copilot in Word
- Supported languages for M365 Copilot
- Data, Privacy, and Security for M365 Copilot
- Cooking up a great prompt
🙋 質問・要望
ご質問・追記要望は本ページのコメント欄までお寄せください。