執筆している2026年9月25日時点の情報です。Cowork は更新が速い機能のため、最新情報は必ず公開情報(本記事末尾の参考リンク)もあわせてご確認ください。
「設計調査の資料と、Copilotとの会話が別々になってしまう」
「昨日の続きを相談するたびに、どの資料を使っていたか説明し直している」
「今回の案件に関係する資料だけを使って、回答してほしい」
こうした仕事に向いているのが、Microsoft Copilot Notebooksです。
Notebooksでは、関連する会話、成果物、参照資料を案件ごとにまとめ、選んだ情報をもとにCopilotと作業を進められます。
この記事では、設計調査や技術比較を複数日にわたって行うエンジニアに向けて、Notebooksの基本と、2026年9月23日付のリリースノートに掲載された変更を整理します。
対象は組織向けMicrosoft Copilot/Copilot Chatです。実環境での検証レポートではなく、Microsoftの公開資料に基づく解説です。
1. 結論:Notebooksは「案件で使う資料と会話」をまとめる場所です
Notebooksのポイントは、何を根拠に考えるかを、利用者が選べることです。
Microsoftの公式資料では、Notebooksは参照範囲を限定したAIの作業領域として説明されています。文書やページなどを追加し、その内容について質問したり、要点を整理したり、下書きを作成したりできます。
たとえば、システム更新の検討なら、次のような情報をまとめます。
| 情報 | 役割 |
|---|---|
| 現行構成の説明資料 | 現在の状態を把握する |
| 新しい要件 | 満たすべき条件を確認する |
| 比較対象の仕様書 | 選択肢を比較する |
| 打ち合わせメモ | 判断の背景や未決事項を確認する |
| Copilotとの会話・作成した下書き | 検討の続きを進める |
これは利用イメージを示す仮想例です。
重要なのは、資料を集めることだけではありません。その案件で使う情報を選び、会話と成果物を同じ文脈で扱うことに価値があります。
出典:Microsoft Support — How Microsoft Copilot Notebooks works
2. 今回の更新:新しいデザインと、Searchからの参照追加
2026年9月23日付の公式リリースノートには、Notebooksに関する2つの変更が掲載されています。
会話・成果物・参照資料をまとめる新デザイン
Microsoft Copilotアプリの新しいNotebooksデザインでは、関連するチャット、作成した成果物、参照資料を継続的な作業領域にまとめられると説明されています。
CopilotはNotebookに蓄積された文脈を回答の根拠として使い、セッションをまたいで作業を続けられます。
今回のリリースノートで対象とされているプラットフォームはWebです。
また、Copilotアプリは軽量な体験、OneNoteはより充実した作業領域中心の体験として案内されています。公式の導入資料では、同じNotebookを両方から開けると説明されています。
SearchのQuick Accessから資料を追加
資料を探している途中に、Notebookへ参照を追加する導線も掲載されています。
公式手順は次のとおりです。
- Microsoft CopilotアプリでSearchを開きます。
- Quick Access内の対象項目の横にある**…**を選びます。
- Add to → Notebookを選び、追加先のNotebookを指定します。
こちらも今回の掲載対象はWebです。
資料を見つけたタイミングで案件のNotebookへ追加できるため、「後でまとめようとして忘れる」という作業の分断を減らす使い方が考えられます。
リリースノートの日付には注意
9月23日付の一覧は、8月26日~9月22日にリリースされた更新をまとめたものです。
一般提供の変更を掲載するリリースノートですが、機能は段階的に展開されます。9月23日に全利用者へ一斉提供された、という意味ではありません。
出典:
Microsoft Learn — Release Notes:September 23, 2026 / Get started with Microsoft Copilot Notebooks
3. チャット履歴やメモリとは、どう使い分ける?
以前の会話の続きを開くだけなら、チャット履歴も使えます。
Notebooksが向いているのは、会話に加えて、案件の根拠となる資料や成果物もまとめて扱いたい場合です。
使い分けの目安は、次のように整理できます。
| やりたいこと | 使い分けの目安 |
|---|---|
| 以前のやり取りを読み返して続ける | 元のチャットを履歴から開く |
| 自分の好みや回答形式を継続的に反映する | メモリやパーソナライズ設定を確認する |
| 特定案件の資料・会話・成果物をまとめて検討する | Notebooksを使う |
この表は、目的に応じた筆者の整理です。
たとえば、「回答は簡潔な日本語がよい」は個人の好みです。一方、「今回の比較では要件書と2つの仕様書を根拠にする」は案件の条件です。
自分について覚えてもらうことと、案件で参照する資料を指定することは別と考えると、Notebooksの役割が分かりやすくなります。
Notebooks自体にも専用の指示を設定できるため、案件ごとの回答ルールを持たせることもできます。
出典:Microsoft Support — Provide custom instructions for your Microsoft Copilot Notebook
4. まずは小さなNotebookを作る
公式資料では、組織向けの利用条件としてMicrosoft CopilotまたはCopilot Chatのライセンスが案内されています。
加えて、Notebookを作成するアカウントには、SharePointまたはOneDriveのサービスプランが必要です。参照できる情報源には契約による違いもあるため、すべての利用者が同じ情報源を使えるとは限りません。
作成の基本手順
- Microsoft Copilotアプリを開きます。
- 左側のNotebooksからAll notebooksを開きます。
- New notebookを選び、名前を付けます。
- Add content to Referencesで関連資料を選びます。
- Createを選びます。
Notebooksが左側に見当たらない場合、公式資料ではアプリ起動ツールから開く方法も案内されています。
最初から大量の資料を入れるより、目的が明確な案件と、少数の関連資料から始めると、回答の根拠を確認しやすくなります。
たとえば、Notebook名を「システム更新・構成比較」とし、要件書と比較対象の資料を追加する、といった始め方です。
出典:Microsoft Support — Get started with Microsoft Copilot Notebooks
5. 技術調査で使うなら「事実・仮説・未確認」を分ける
ここからは、機能の使い方をイメージするための説明用プロンプト例です。実行済みの検証結果ではありません。
最初に、資料の役割を整理する
このNotebookに追加した資料を整理してください。
それぞれについて、対象システム、対象時期、資料の目的をまとめてください。
明記されていない内容は推測せず、「不明」としてください。
内容が食い違う資料があれば、その箇所と根拠を示してください。
いきなり結論を求める前に、資料の対象環境や時期が一致しているかを確認します。
古い仕様書と新しい要件書を混ぜたままでは、比較の前提がずれる可能性があります。
比較では、判断の根拠を求める
追加した要件書を基準に、構成案Aと構成案Bを比較してください。
「要件」「各案の対応状況」「根拠となる資料・記述」「追加確認事項」に分けて整理してください。
資料に記載がない項目を、対応済みと判断しないでください。
大切なのは、見栄えのよい比較表を作ることではなく、どの記述から、その判断をしたのかを人が追えることです。
翌日は、変更点から再開する
前回の検討の続きを進めます。
追加した要件書の新版を確認し、現在の参照資料に基づいて、決定事項と未決事項を整理してください。
旧版と新版の両方が参照資料にある場合は、変更点も示してください。
旧版がない場合は、変更点を推測せず、比較できないことを明記してください。
Notebooksは継続的な検討に使えますが、過去の資料の版が必ず保存されていることや、差分を自動で完全に追跡できることまで保証するものではありません。
「以前と何が変わったか」を厳密に比較したい場合は、比較に必要な版を明示的に用意することが重要です。
6. Notebook専用の指示で、回答のルールをそろえる
同じ案件の中で毎回同じ注意事項を入力する代わりに、Notebookの指示を設定できます。
公式資料では、Microsoft Copilotアプリの場合、Notebook右上の**… → Instructions**から設定すると説明されています。
OneNoteでは、Notebook名の横の矢印からCopilot instructionsを開きます。
たとえば、技術調査では次のような指示が考えられます。
回答は日本語で、結論から記載してください。
参照資料に記載された事実、そこからの推論、未確認事項を分けてください。
設定値、日付、対応可否には、可能な限り根拠となる資料を示してください。
資料間に矛盾がある場合は、独断で解消せず、相違点を説明してください。
これは回答の整理方法を指定する例であり、誤りを完全に防ぐものではありません。
また、Notebookを共有すると、他の参加者も指示を確認・編集できます。指示欄を、自分だけが見る秘密のメモとして扱わないようにしましょう。
出典:Microsoft Support — Provide custom instructions for your Microsoft Copilot Notebook
7. 「選んだ資料に基づく」と「全部を正確に使う」は別です
Notebooksは、追加した参照資料をもとに回答するよう設計されています。
公式資料では、OneDrive全体、すべてのメールやTeamsチャット、Web全体を無条件で参照するわけではないと説明されています。
SharePointのサイトやフォルダーを参照として追加する場合も、その場所にあり、ユーザーがアクセス権を持つ対象コンテンツが参照範囲になります。
ただし、次の点には注意が必要です。
資料に書かれていないことまでは補えない
たとえば、障害報告に発生時刻しか書かれていなければ、Notebookに入れたことだけで原因が確定するわけではありません。
資料にない情報は追加で確認する必要があります。
すべての参照資料が成果物に使われるとは限らない
公式FAQでは、成果物の生成時、依頼内容や成果物の種類に応じて、参照資料の一部が選ばれることがあると説明されています。
そのため、資料を追加したことと、その資料が今回の出力に使用・引用されたことは別です。
必須の資料を指定したうえで、回答の引用や根拠も確認しましょう。
上限や対応形式は、単純化しない
参照数やグラウンディングに使われるファイル数には制限があります。グラウンディングとは、回答を資料などの根拠に結び付けることです。
確認した公式資料では、契約による参照数の違いに加え、共有フォルダーなどから関連ファイルを選ぶ場合の説明もあります。単に「300件までなら全部必ず使う」とは解釈できません。
また、外部URLの対応については、概要ページと参照追加ページ内で記述が一致しない箇所がありました。本記事では、すべての環境で外部URLを追加できるという前提の操作手順は扱いません。
実際の契約、画面、追加する情報源に応じて、最新の対応条件を確認してください。
出典:
How Microsoft Copilot Notebooks works / Add references to your Microsoft Copilot Notebook / Frequently asked questions
8. 共有前は、Notebookの中のファイルまで確認する
Notebooksは共同作業にも使えますが、共有時には特に注意が必要です。
公式資料では、Notebookの共有によって、内部のリンク先ファイルへのアクセスも相手に付与される場合があると説明されています。
共有する人に各ファイルの共有権限がなければ、相手が個別にアクセスを要求する必要があります。また、ライセンスなどの条件によって利用できない情報源もあります。
つまり、次のようには考えられません。
Notebookだけを共有するので、参照資料の共有範囲は絶対に変わらない。
共有前には、少なくとも次を確認しましょう。
- 招待する相手は、この案件の資料を閲覧してよいか
- 参照資料に、別案件や別部署の情報が混ざっていないか
- Notebookの指示や成果物にも、共有すべきでない情報がないか
- 相手のライセンスやアクセス権で、必要な情報源を利用できるか
公式FAQでは、現時点で招待されたメンバーはNotebookへの編集アクセスを持ち、読み取り専用メンバーはサポートされないとされています。
個人用の調査Notebookを、そのままチーム全体へ共有する前に、内容と権限を見直すことが大切です。
出典:
Share a Microsoft Copilot Notebook / Frequently asked questions
9. まとめ
Copilot Notebooksは、会話を保存するだけの場所ではありません。
案件に必要な参照資料、関連する会話、作成した成果物をまとめて、継続的に検討するための機能です。
今回の更新では、Web版の新デザインと、SearchのQuick AccessからNotebookへ参照を追加する導線がリリースノートに掲載されました。
実務では、次の使い方を意識すると整理しやすくなります。
- 案件の目的を決め、必要な資料から追加する
- 事実・推論・未確認事項を分けて回答させる
- 再開時には、新しい条件や資料の変更を明示する
- 引用と元資料を確認し、回答をそのまま確定事項にしない
- 共有時は、Notebookだけでなくリンク先ファイルのアクセスも確認する
Notebooksを「何でも覚えてくれる箱」として使うのではなく、何を根拠に、どの案件を考えるかを整理する場所として使うことがポイントです。
参考リンク
いずれも2026年9月25日確認。
- Microsoft Learn — Release Notes:September 23, 2026
- Microsoft Support — Get started with Microsoft Copilot Notebooks
- Microsoft Support — How Microsoft Copilot Notebooks works
- Microsoft Support — Add references to your Microsoft Copilot Notebook
- Microsoft Support — Provide custom instructions for your Microsoft Copilot Notebook
- Microsoft Support — Share a Microsoft Copilot Notebook
- Microsoft Support — Frequently asked questions about Microsoft Copilot Notebooks
本記事について
本記事は、公開情報をもとに内容を整理し、できるだけ分かりやすく解説することを目的として作成しています。記載内容は個人の見解であり、所属組織の公式見解を示すものではありません。少しでもお役に立てればうれしいです。
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