執筆している2026/7/29時点の情報です。Cowork は更新が速い機能のため、最新情報は必ず公開情報(本記事末尾の参考リンク)もあわせてご確認ください。
📌ポイント
- Cowork には 13 種類の組み込み Skill があり、Microsoft 365 を横断して "実作業" を肩代わりしてくれる。
- 独自の
SKILL.mdを OneDrive に置くだけで、最大 50 個までカスタム Skill を追加できる。 - これまで Agent Builder(旧 Copilot Studio Lite) で作っていた Agent と同様の効果を、Cowork は プロンプトから自動呼び出し で実現。エージェントを切り替える必要がない。
- 実例: 開発部門に提出する IcM 文書を自動作成する Skill を紹介。
🎉 2026年6月16日、Copilot Cowork は一般提供(GA)を開始しました。
Frontier preview program への参加は不要になりましたが、管理者による有効化と従量課金(Copilot Credits)の設定が必要です。
導入・課金まわりの全体像は、こちらの記事にまとめています 👉 [Cowork] Microsoft 365 Copilot Cowork 完全ガイド 〜導入から実践まで〜
🔄 2026年4月版からの主な訂正・更新
| 変更点 | 内容 |
|---|---|
| 🏷️ 名称の訂正 | 「Copilot Studio Lite(旧 Agent Builder)」→ 現在の公式名称は「Agent Builder」(copilot-studio-lite の URL は agent-builder にリダイレクト) |
| ✅ GA 到達 | 2026/6/16 に一般提供開始。Frontier preview への参加は不要に |
| 💰 従量課金が追加 | Copilot USL に加え、Copilot Credits の従量課金(Skill 実行もクレジットを消費) |
| 📝 保存パスの表記 | 公式表記は小文字の /Documents/Cowork/skills/
|
| 📱 モバイル対応 | 「モバイル未対応」→ iPhone / Android / Windows / Mac すべて対応済み |
| 🤝 共有方法 | OneDrive のフォルダ共有ではなく、Cowork 内の Share 機能で共有(「自分のみ」/「組織内の特定ユーザー」) |
| 📦 サイズ制限が明文化 |
SKILL.md 1 MB/付随ファイル 20 個・合計 10 MB |
| 🔌 プラグイン対応 | Microsoft 365 App Store から Skill・コネクタを追加可能に |
1. はじめに 〜 なぜ今 "Cowork Skills" なのか
Microsoft 365 Copilot に新しく加わった Cowork は、単にチャットで質問に答えるだけでなく、Word 文書の作成、メール送信、会議調整、Teams への投稿、横断検索など、複数のステップにまたがる作業を 「自律的に」 実行してくれるエージェント型 AI です。
そして、その振る舞いを支えているのが Skills という仕組みです。本記事では、Skills とは何か、組み込みの 13 個の Skill、独自に追加できるカスタム Skill、そして私(phamquyen)での実際の活用事例(IcM 文書自動作成)までを、まとめてご紹介します。
2. Cowork の Skills とは
2.1 定義: Skill = "Cowork が実行できる仕事の単位"
Skill とは、Cowork が呼び出せる「機能の単位」です。1 つの Skill は、特定のアプリ操作(Word を作成する/メールを送る 等)や、特定のワークフロー(毎朝の業務サマリーを作る 等)を担当します。Cowork はユーザーのプロンプトを解釈し、必要な Skill を 自分で選択して順番に実行 します。
重要なのは、ユーザーが「どの Skill を呼ぶか」を意識する必要がない点です。プロンプトの内容に応じて、Cowork が組み込み Skill とカスタム Skill の中から最適なものを自動的に組み合わせて実行します。
💡 実行中の画面には「メール作成の準備中」といった Skill メッセージ が表示されるので、いまどの Skill が動いているかを目で追えます。
2.2 組み込み Skill (13 種類)
Cowork には、以下 13 個の組み込み Skill が用意されています(GA 後も 13 個で変更ありません)。
| Skill | 主な機能 |
|---|---|
| Word | Word ドキュメントの作成・編集 |
| Excel | Excel スプレッドシートの作成・編集 |
| PowerPoint | PowerPoint プレゼンの作成・編集 |
| PDF ドキュメントの取り扱い | |
| メールの作成・返信・転送・送信、下書き保存、添付管理 | |
| Scheduling | 会議のスケジューリング |
| Calendar Management | 自然言語での予定作成、Teams 会議リンク追加、カレンダー管理 |
| Meetings | 会議インテリジェンスの準備 |
| Daily Briefing | 日次ブリーフィングの作成 |
| Enterprise Search | 組織横断の検索 |
| Communications | ステークホルダー向け通知文の作成 |
| Deep Research | 複数ソースを跨ぐ深い調査と分析レポート |
| Adaptive Cards | ボタンやデータ表示を含む構造化カードの生成 |
このほか、組み込みの画像生成 Skill(Imagen 2 モデル)もあり、「〜の画像を作って」と頼むだけで画像を生成できます。
⚠️ 利用の前提(GA 後)
組み込み Skill を使うには、次がすべて必要です。
- Microsoft 365 Copilot ライセンス(USL)
- 管理者によるテナントでの Cowork 有効化(既定はオフ)
- 従量課金(Copilot Credits) の有効化
- テナントでの Anthropic モデル有効化(EU/EFTA・英国は既定オフ)
2.3 カスタム Skill (最大 50 個)
組み込み Skill に加え、ユーザーは 自分専用の Skill を最大 50 個まで追加 できます。作り方は非常にシンプルで、OneDrive 上の決まった場所に SKILL.md という Markdown ファイルを 1 つ置くだけです。
- 保存先: OneDrive の
/Documents/Cowork/skills/<スキル名>/SKILL.md※フォルダー名は小文字のskills - Cowork は セッション開始のたびにこのフォルダーを自動スキャンし、Skill を読み込みます。
- YAML フロントマター(必須は
nameとdescriptionの 2 つだけ)+ 自然言語の手順書 という構成。 - 「Cowork に頼んで Skill を作ってもらう」ことも可能(自然言語からの自動生成)。Cowork の Customize メニューからガイド付きで作成することもできます。
📦 サイズ制限
| 項目 | 上限 |
|---|---|
SKILL.md 1 ファイル |
1 MB |
| 1 Skill あたりの付随ファイル | 20 ファイル/合計 10 MB |
.zip / .skill での一括アップロード |
圧縮 10 MB・展開 50 MB・100 ファイル |
🤝 共有方法
Cowork の Skill 一覧から Share を選び、「自分のみ」または「組織内の特定ユーザー」を指定します。共有後に Skill を更新した場合は、Re-share で共有先に反映します。
ℹ️ プラグインは管理者が組織展開できますが、カスタム Skill には管理者向けの専用展開・統制機能はありません(ユーザー所有・ユーザー間共有)。ただし Microsoft Purview の監査ログには「Skill/プラグインの追加・削除・共有」イベントが記録されます。
SKILL.md のサンプル
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name: weekly-report
description: 週次の活動レポートを作成する Skill。
---
# 週次レポート作成 Skill
## 目的
今週の進捗を、上司向けに 1 ページの Word でまとめる。
## 手順
1. 今週の Outlook 予定とメールから主要トピックを抽出する。
2. Teams の主要チャネル投稿を要約する。
3. 「進捗 / 課題 / 来週の計画」のセクション構成で Word を作成する。
4. 完成した Word を OneDrive の /Reports/Weekly/ に保存する。
2.4 プラグインで Skill を増やす
Cowork は Microsoft 365 App Store のプラグインにも対応しています。追加すると、そのプラグインの Skill が組み込み Skill と並んで表示され、コネクタもセッションで使えるようになります(Browse plugins メニューから追加)。
管理者は組織/グループ単位でプラグインを展開でき、展開されたプラグインはユーザー側で削除できません。
3. Agent Builder(旧 Copilot Studio Lite)と Cowork カスタム Skill の比較
🏷️ 名称についての訂正
かつて「Agent Builder」→「Copilot Studio Lite」と改称されましたが、**現在の公式名称は再び「Agent Builder(Agent Builder in Microsoft 365 Copilot)」**です。Microsoft Learn のcopilot-studio-liteURL もagent-builderにリダイレクトされます。以前の記事で「Copilot Studio Lite(旧 Agent Builder)」と記載していた箇所を訂正します。
これまで、Agent Builder を使って様々な Agent を作成してきました。Cowork のカスタム Skill に同じ内容を登録することで、ほぼ同様の効果を、より手軽に得ることができます。
| 観点 | Agent Builder(宣言型エージェント) | Cowork カスタム Skill |
|---|---|---|
| 作るもの | Copilot Chat を拡張するエージェント | Cowork の実行能力を拡張する指示書 |
| 動作する場所 | Copilot Chat | Cowork セッション内 |
| 作成方法 | GUI 上で部品をつないで構築 | OneDrive 上の SKILL.md (Markdown) を配置するだけ |
| 保存先 | Dataverse / Power Platform | OneDrive /Documents/Cowork/skills/
|
| 呼び出し方 | エージェントを明示的に選択して起動 | Cowork がプロンプトを解釈し自動で呼び出し |
| 配布・共有 | 管理センターから組織展開が可能 | Cowork の Share 機能でユーザー間共有(管理者展開なし) |
| 修正の手軽さ | Studio 画面を開いて編集・再発行 |
SKILL.md をその場で編集して保存 |
| 組合せ実行 | 基本は単体エージェント、連携は別途設計 | Cowork が複数 Skill を自動で組み合わせて実行 |
| 学習コスト | GUI とコネクタの理解が必要 | Markdown が書ければ OK |
| 課金 | Copilot USL に含まれる | 実行時に Copilot Credits を消費 |
💡 ここがうれしい — Cowork カスタム Skill のメリット
- わざわざ各エージェントを開いて「呼び出す」操作が 不要。Cowork のプロンプト一発で OK。
- 「どの Agent を使えばいいか」を覚えておく必要がない。Cowork がプロンプトの内容から判断。
SKILL.mdは Markdown なので、テキストエディタや Word でそのまま編集・バージョン管理が可能。- Cowork の Share 機能で、チームメンバーに配布できる。
⚖️ 使い分けの目安
- 全社に配って、みんなに同じ振る舞いをさせたい → Agent Builder(管理者による組織展開が可能)
- 自分/小さなチームの定型作業を、Cowork に自動で拾わせたい → カスタム Skill
4. 活用事例: 開発部門向け IcM 文書を作成する Skill
実際、わたしが利用したシナリオを紹介します。
サポート エンジニアでは、お客様からのお問合せを開発部門 (Product Group) にエスカレーションする際、IcM (Incident Management) チケット を起票します。IcM では「お客様の事象」「再現手順」「影響範囲」「依頼事項」を 明瞭な英語 で記載することが求められ、毎回まとまった時間がかかる作業です。
そこで、これまで Agent Builder で作成していた "IcM 文書作成 Agent" を、Cowork のカスタム Skill (icm-writer) として登録してみました。使い方はとても簡単です。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① Cowork に貼り付け | お客様のお問合せ本文と、これまでの調査ログを Cowork のチャットにそのまま貼り付け、「IcM 文書を作成して」と指示。 |
| ② Skill を自動選択 | Cowork がプロンプトを解釈し、登録済みの icm-writer Skill を自動で呼び出し(エージェント切替不要)。 |
| ③ IcM フォーマットで生成 | SKILL.md に定義した「Title / Summary / Repro / Impact / Ask」など IcM 標準セクションに沿って、明瞭な英語で本文を生成。 |
| ④ 開発部門へ提出 | 生成された Word/Markdown をレビューし、IcM テンプレートにそのまま貼り付けて起票。再現条件や調査結果が抜け漏れなく記載される。 |
💡 添付ファイルも活用できます
ログや HAR、スクリーンショットなどをそのままセッションに添付できます(1 ファイル 200 MB 未満)。.zipや.har/.log/.jsonにも対応しているので、調査資料を丸ごと渡してしまうのが早いです。
4.1 SKILL.md の書き方 (抜粋)
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name: icm-writer
description: お客様問合せと調査内容から、開発部門向け IcM 文書を英語で作成する。
---
# IcM Writer Skill
## 入力
- お客様からのお問合せ本文 (日本語可)
- これまでの調査内容・ログ・再現確認結果
## 出力フォーマット (英語)
1. **Title**: 1 行で簡潔に事象を表現
2. **Customer Impact**: 影響を受けているユーザー数 / 業務インパクト
3. **Symptom**: お客様が観測している事象
4. **Repro Steps**: 再現手順 (番号付きリスト)
5. **Investigation Summary**: サポートエンジニア側で実施した調査と結果
6. **Ask to PG**: 開発部門への具体的な依頼事項
## 文体ルール
- 主語と動詞を明確にし、技術用語は Microsoft 公式表記に揃える。
- 推測と事実を分け、推測には "It appears that ..." を用いる。
- 1 文 30 語以内を目安に、簡潔な英語で書く。
4.2 Cowork でのプロンプト
(お客様メール本文と調査ログを貼り付け)
↑ この内容で IcM 文書を作って。
4.3 動作フロー
4.4 効果
- お問合せと調査ログを貼るだけで、IcM フォーマットに揃った英文ドラフトが 数十秒で完成。
- 「英訳 → 構成整理 → フォーマット適用」を一気通貫で実施。レビュー時間を大幅に削減。
- 過去に Agent Builder で作成した "IcM Agent" と 同等の出力 が、Cowork からそのまま得られる。
- チームメンバーは Cowork に「IcM 起票して」と話しかけるだけ。Agent の存在を覚える必要なし。
4.5 さらに一歩 — 自動化する
GA 後の Cowork は、スケジュール実行とイベント駆動タスクに対応しました。たとえば次のような指示が可能です。
件名に「エスカレーション依頼」を含むメールを受信したら、
本文と添付ログから icm-writer で IcM ドラフトを作って、私に通知して。
🔒 イベント駆動タスクは既定でアクションを準備して承認を待つ動作になっており、勝手に送信・投稿はしません。各タスクはあなたの権限で実行されます。
5. 始め方 (Quick Start)
- 管理者にテナントでの Cowork 有効化・従量課金・Anthropic モデル有効化を依頼する(既定はオフ)。
- Microsoft 365 Copilot (m365.cloud.microsoft) を開き、上部の Chat / Cowork トグルから Cowork を選択。
- OneDrive に
/Documents/Cowork/skills/<your-skill-name>/フォルダーを作成。 - その中に
SKILL.mdを配置 (YAML フロントマター + 自然言語の手順書)。 - Cowork で新しいセッションを開始すると、カスタム Skill が 自動で読み込まれます。
- うまく呼び出されない場合は、
descriptionを「いつ呼ばれるか」が伝わる文に書き直すのがコツ。
📱 ブラウザーのほか、Microsoft 365 Copilot デスクトップアプリ(Windows / Mac)、モバイルアプリ(iPhone / Android)、Outlook / Teams からも利用できます。
6. 注意点・ベストプラクティス
- ⚠️ カスタム Skill は Microsoft による検証がされません。生成結果は必ずレビュー してください。
- 💰 Skill の実行は Copilot Credits を消費 します。広範な調査を伴う Skill(Deep Research 系)は特にコストが上がるため、管理者による上限設定とタスク単位のコスト表示を活用しましょう。
- 🔒 機微情報を含むプロンプトを扱う Skill は、共有範囲(Cowork の Share 設定と OneDrive のフォルダー権限)を必ず確認。
- 🌏 Cowork は Anthropic がサポートする国・地域でのみ利用可能です(日本は対象)。EU/EFTA・英国は Anthropic モデルが既定オフで、EU Data Boundary の対象外です。
- 💻 ローカルファイルへの直接アクセス・編集は不可(OneDrive / SharePoint 経由)。
- 🗑️ OneDrive・SharePoint のファイル/フォルダーの 削除は不可。
- 📎 添付ファイルは 200 MB 未満。暗号化されたファイルは権限があっても読めません。
7. 参考リンク
Cowork の Skills 関連(Microsoft Learn)
- 🔗 Cowork の使い方(13 個の Skill 一覧・カスタム Skill 作成)
- 🔗 Cowork のカスタマイズ(Skill の作成・共有)
- 🔗 Cowork のプラグイン
- 🔗 Cowork FAQ(制限事項・対応ファイル形式・課金など)
- 🔗 Microsoft 365 Copilot Cowork(公式ハブ)
- 🔗 Cowork を使い始める(前提条件・承認フロー)
管理・ガバナンス
- 🔗 Cowork の管理とガバナンス(従量課金・プラグイン管理・モデル管理)
- 🔗 Anthropic を副処理者として利用する(EU Data Boundary の扱い)
- 🔗 Microsoft Purview と Cowork(監査・コンプライアンス)
Agent Builder
公式発表・その他
- 🔗 Copilot Cowork is now generally available(Microsoft 365 Blog, 2026/6/16)
- 🔗 Copilot Cowork 製品ページ
- 🔗 Microsoft 365 Copilot Frontier program
- 🔗 Cowork コスト見積もりスプレッドシート
- 🔗 Microsoft 365 Copilot ホーム