執筆している2026/4/23時点の情報ですので、今後変更される可能性も十分ありますので、最新な情報は公開情報などもご確認ください。
📌ポイント
- Cowork には 13 種類の組み込み Skill があり、Microsoft 365 を横断して "実作業" を肩代わりしてくれる。
- 独自の
SKILL.mdを OneDrive に置くだけで、最大 50 個までカスタム Skill を追加できる。 - これまで Copilot Studio Lite (旧 Agent Builder) で作っていた Agent と同様の効果を、Cowork は プロンプトから自動呼び出し で実現。エージェントを切り替える必要がない。
- 実例: 開発部門に提出する IcM 文書を自動作成する Skill を紹介。
1. はじめに 〜 なぜ今 "Cowork Skills" なのか
Microsoft 365 Copilot に新しく加わった Cowork は、単にチャットで質問に答えるだけでなく、Word 文書の作成、メール送信、会議調整、Teams への投稿、横断検索など、複数のステップにまたがる作業を 「自律的に」 実行してくれるエージェント型 AI です。
そして、その振る舞いを支えているのが Skills という仕組みです。本記事では、Skills とは何か、組み込みの 13 個の Skill、独自に追加できるカスタム Skill、そして私(phamquyen)での実際の活用事例(IcM 文書自動作成)までを、まとめてご紹介します。
2. Cowork の Skills とは
2.1 定義: Skill = "Cowork が実行できる仕事の単位"
Skill とは、Cowork が呼び出せる「機能の単位」です。1 つの Skill は、特定のアプリ操作(Word を作成する/メールを送る 等)や、特定のワークフロー(毎朝の業務サマリーを作る 等)を担当します。Cowork はユーザーのプロンプトを解釈し、必要な Skill を 自分で選択して順番に実行 します。
重要なのは、ユーザーが「どの Skill を呼ぶか」を意識する必要がない点です。プロンプトの内容に応じて、Cowork が組み込み Skill とカスタム Skill の中から最適なものを自動的に組み合わせて実行します。
2.2 組み込み Skill (13 種類)
Cowork には、リリース時点で以下 13 個の組み込み Skill が用意されています。
| Skill | 主な機能 |
|---|---|
| Word | ドキュメント作成・要約・整形・翻訳 |
| Excel | 表データの作成・分析・数式生成・グラフ化 |
| PowerPoint | スライドの自動生成・整形・要約 |
| PDF 解析・要約・抽出 | |
| メール作成・返信・要約・送信 | |
| Scheduling | 会議の調整・空き時間検索・招待状作成 |
| Calendar Management | カレンダー整理・タスク化・リマインド |
| Meetings | 会議準備資料の作成・議事録の要約 |
| Daily Briefing | 毎朝の業務サマリー(メール・予定・タスク) |
| Enterprise Search | 社内ドキュメント・SharePoint・Teams 横断検索 |
| Communications | ステークホルダー向け通知文・案内文の作成 |
| Deep Research | 複数ソースを跨ぐ深い調査と分析レポート |
| Adaptive Cards | Teams 向け Adaptive Card の自動生成 |
これらは Microsoft 365 Copilot のライセンスがあれば、特別な設定なしにそのまま利用できます。
2.3 カスタム Skill (最大 50 個)
組み込み Skill に加え、ユーザーは 自分専用の Skill を最大 50 個まで追加 できます。作り方は非常にシンプルで、OneDrive 上の決まった場所に SKILL.md という Markdown ファイルを 1 つ置くだけです。
- 保存先: OneDrive の
/Documents/Cowork/Skills/<スキル名>/SKILL.md - Cowork は会話を始めるたびにこのフォルダを自動スキャンし、Skill を読み込みます。
- YAML フロントマター(
name,description)+ 自然言語の手順書 という構成。 - 「Cowork に頼んで Skill を作ってもらう」ことも可能(自然言語からの自動生成)。
SKILL.md のサンプル
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name: weekly-report
description: 週次の活動レポートを作成する Skill。
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# 週次レポート作成 Skill
## 目的
今週の進捗を、上司向けに 1 ページの Word でまとめる。
## 手順
1. 今週の Outlook 予定とメールから主要トピックを抽出する。
2. Teams の主要チャネル投稿を要約する。
3. 「進捗 / 課題 / 来週の計画」のセクション構成で Word を作成する。
4. 完成した Word を OneDrive の /Reports/Weekly/ に保存する。
3. Copilot Studio Lite (旧 Agent Builder) と Cowork カスタム Skill の比較
これまで、Copilot Studio Lite (旧 Agent Builder) を使って様々な Agent を作成してきました。Cowork のカスタム Skill に同じ内容を登録することで、ほぼ同様の効果を、より手軽に得ることができます。
| 観点 | Copilot Studio Lite (旧 Agent Builder) | Cowork カスタム Skill |
|---|---|---|
| 作成方法 | GUI 上で部品をつないで構築 | OneDrive 上の SKILL.md (Markdown) を配置するだけ |
| 呼び出し方 | エージェントを明示的に選択して起動 | Cowork がプロンプトを解釈し自動で呼び出し |
| 配布・共有 | エージェントを発行・共有設定が必要 | OneDrive のファイル共有でそのまま共有可能 |
| 修正の手軽さ | Studio 画面を開いて編集・再発行 |
SKILL.md をその場で編集して保存 |
| 組合せ実行 | 基本は単体エージェント、連携は別途設計 | Cowork が複数 Skill を自動で組み合わせて実行 |
| 学習コスト | GUI とコネクタの理解が必要 | Markdown が書ければ OK |
💡 ここがうれしい — Cowork カスタム Skill のメリット
- わざわざ各エージェントを開いて「呼び出す」操作が 不要。Cowork のプロンプト一発で OK。
- 「どの Agent を使えばいいか」を覚えておく必要がない。Cowork がプロンプトの内容から判断。
SKILL.mdは Markdown なので、テキストエディタや Word でそのまま編集・バージョン管理が可能。- OneDrive のフォルダ共有で、チームに一括展開できる。
4. 活用事例: 開発部門向け IcM 文書を作成する Skill
実際、わたしは利用したシナリオを紹介します。
サポート エンジニアでは、お客様からのお問合せを開発部門 (Product Group) にエスカレーションする際、IcM (Incident Management) チケット を起票します。IcM では「お客様の事象」「再現手順」「影響範囲」「依頼事項」を 明瞭な英語 で記載することが求められ、毎回まとまった時間がかかる作業です。
そこで、これまで Copilot Studio Lite (旧 Agent Builder) で作成していた "IcM 文書作成 Agent" を、Cowork のカスタム Skill (icm-writer) として登録してみました。使い方はとても簡単です。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① Cowork に貼り付け | お客様のお問合せ本文と、これまでの調査ログを Cowork のチャットにそのまま貼り付け、「IcM 文書を作成して」と指示。 |
| ② Skill を自動選択 | Cowork がプロンプトを解釈し、登録済みの icm-writer Skill を自動で呼び出し(エージェント切替不要)。 |
| ③ IcM フォーマットで生成 | SKILL.md に定義した「Title / Summary / Repro / Impact / Ask」など IcM 標準セクションに沿って、明瞭な英語で本文を生成。 |
| ④ 開発部門へ提出 | 生成された Word/Markdown をレビューし、IcM テンプレートにそのまま貼り付けて起票。再現条件や調査結果が抜け漏れなく記載される。 |
4.1 SKILL.md の書き方 (抜粋)
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name: icm-writer
description: お客様問合せと調査内容から、開発部門向け IcM 文書を英語で作成する。
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# IcM Writer Skill
## 入力
- お客様からのお問合せ本文 (日本語可)
- これまでの調査内容・ログ・再現確認結果
## 出力フォーマット (英語)
1. **Title**: 1 行で簡潔に事象を表現
2. **Customer Impact**: 影響を受けているユーザー数 / 業務インパクト
3. **Symptom**: お客様が観測している事象
4. **Repro Steps**: 再現手順 (番号付きリスト)
5. **Investigation Summary**: サポートエンジニア側で実施した調査と結果
6. **Ask to PG**: 開発部門への具体的な依頼事項
## 文体ルール
- 主語と動詞を明確にし、技術用語は Microsoft 公式表記に揃える。
- 推測と事実を分け、推測には "It appears that ..." を用いる。
- 1 文 30 語以内を目安に、簡潔な英語で書く。
4.2 Cowork でのプロンプト
(お客様メール本文と調査ログを貼り付け)
↑ この内容で IcM 文書を作って。
4.3 動作フロー
4.4 効果
- お問合せと調査ログを貼るだけで、IcM フォーマットに揃った英文ドラフトが 数十秒で完成。
- 「英訳 → 構成整理 → フォーマット適用」を一気通貫で実施。レビュー時間を大幅に削減。
- 過去に Copilot Studio Lite で作成した "IcM Agent" と 同等の出力 が、Cowork からそのまま得られる。
- チームメンバーは Cowork に「IcM 起票して」と話しかけるだけ。Agent の存在を覚える必要なし。
5. 始め方 (Quick Start)
- Microsoft 365 Copilot (m365.cloud.microsoft) を開き、左メニューから Cowork を選択。
- OneDrive に
/Documents/Cowork/Skills/<your-skill-name>/フォルダを作成。 - その中に
SKILL.mdを配置 (YAML フロントマター + 自然言語の手順書)。 - Cowork で新しい会話を開始すると、カスタム Skill が 自動で読み込まれます。
- うまく呼び出されない場合は、
descriptionを「いつ呼ばれるか」が伝わる文に書き直すのがコツ。
6. 注意点・ベストプラクティス
- ⚠️ カスタム Skill の出力は Microsoft では検証されません。生成結果は必ずレビュー してください。
- 🔒 機微情報を含むプロンプトを扱う Skill は、共有範囲(OneDrive のフォルダ権限)を必ず確認。
- 🧪 現時点で Cowork は プレビュー機能 であり、利用には Frontier preview program への参加が必要です。
- 📱 モバイル未対応 / ローカルファイル直接編集は不可 など、いくつかの制約があります(詳細は FAQ 参照)。