執筆している2026年10月5日時点の情報です。Cowork は更新が速い機能のため、最新情報は必ず公開情報(本記事末尾の参考リンク)もあわせてご確認ください。
「プレビューで使っていたPowerShell設定は、このまま残してよい?」
「サイトのCopilotボタンを隠せば、検索やデータへのアクセスも止まる?」
「GAになったら、SharePointのCopilot操作はすべて追加課金になる?」
Copilot in SharePointのGA移行では、機能の提供段階だけでなく、利用可能性を管理する設定と、課金の区分も確認する必要があります。
公式資料では、一般提供は2026年9月30日から段階的に展開され、プレビュー用PowerShellの既存設定は2026年11月1日まで尊重されると説明されています。
この記事では、プレビューから利用しているSharePoint管理者に向けて、移行前に整理したい設定、Site AI settingsとRestricted Content Discoveryの違い、追加課金の確認ポイントをまとめます。
公開資料に基づく解説であり、実際のテナント設定を変更・検証したレポートではありません。
1. 結論:GA移行で確認したい変更は2つです
公式の導入ガイドは、GA移行時の変更として次の2点を挙げています。
| 変更 | 管理者が確認すること |
|---|---|
| 利用可能性の管理方法 | プレビュー用PowerShell設定から、Site AI settingsとRestricted Content Discoveryを使う管理へ移行する |
| Advanced workの追加 | ライセンスに含まれる日常的な利用と、Copilot Creditsを消費する高度な処理を分ける |
特に避けたいのは、次の思い込みです。
- 「今のPowerShell設定が、期限後も同じように効き続ける」
- 「GAになったので、すべての機能が全サイトに反映済み」
- 「Copilotライセンスがあるので、どんな規模の処理も追加費用なし」
- 「サイトのボタンを隠せば、データへのアクセスも禁止できる」
提供段階、画面上の入口、アクセス権、課金は、それぞれ別の確認事項です。
出典:Microsoft Learn — Get started with Copilot in SharePoint
2. 9月30日と11月1日は、意味が異なります
まず、移行に関係する日付を整理します。
| 日付 | 公式資料での意味 |
|---|---|
| 2026年9月30日 | GAの段階的展開を開始する日 |
| 2026年11月1日 | プレビュー用PowerShellの既存設定が尊重される期限として記載された日 |
| 11月1日以降の管理 | Site AI settingsとRestricted Content Discoveryを使うと案内 |
9月30日は、全テナントで全機能が同時に使えるようになった日ではありません。公式資料も、展開の進行に応じて、その日以降に機能が現れる場合があると説明しています。
また、11月1日の切り替え時刻やタイムゾーンは、確認した資料では示されていません。期限当日の変更を前提にせず、10月中に移行方針と設定の確認を済ませる進め方が考えられます。
これは運用上の提案であり、Microsoftが別の期限を定めているという意味ではありません。
なお、導入ガイドには「現在はPublic Preview」という表現も残っています。本記事では、同じ資料に明記された「9月30日からGAを段階的展開」という説明を踏まえ、GA移行中の管理上の変更として扱います。
出典:Microsoft Learn — Get started with Copilot in SharePoint
3. 旧PowerShell設定は、まず「現在の意図」を棚卸しする
廃止対象として挙げられているのは、プレビュー中にテナントやサイトの利用可能性を制御していた、次のパラメーターです。
KnowledgeAgentScopeKnowledgeAgentSelectedSitesListKnowledgeAgentSelectedSitesListOperation
KnowledgeAgentScopeには、次の設定値があります。
| 設定値 | プレビューでの意味 |
|---|---|
AllSites |
全サイトで利用可能にする |
IncludeSelectedSites |
指定したサイトだけで利用可能にする |
ExcludeSelectedSites |
指定したサイトを除いて利用可能にする |
NoSites |
どのサイトでも利用不可にする |
同じサイト一覧でも、IncludeとExcludeでは意味が逆になります。
そのため、サイトURLだけを抜き出すのではなく、Scopeの値と一覧を組み合わせて記録することが重要です。
読み取りから始める
公式資料にある確認コマンドは、次のとおりです。
Get-SPOTenant |
Select-Object KnowledgeAgentScope, KnowledgeAgentSelectedSitesList
SharePoint Online Management Shellで対象環境へ接続済みであり、必要な管理権限があることが前提です。
これはプレビュー設定を確認するための例です。期限後の制御方法として、旧パラメーターを使い続けることを勧めるものではありません。
マルチジオ環境では、公式資料が各Geoでの管理を案内している点も確認してください。
値だけでなく、設定理由も残す
棚卸しでは、次のような記録が役立ちます。
| 記録する項目 | 例 |
|---|---|
| 現在のScope | 指定サイトだけで試験利用 |
| 対象サイト | 検証サイト、対象部門のサイト |
| 設定した理由 | 権限レビュー完了まで利用を限定 |
| サイト所有者 | 業務上の判断をする担当者 |
| 移行後の目的 | 入口の調整か、発見制限か、権限の見直しか |
公式資料には、旧設定が新設定へ同じ意味で自動変換されるという保証はありません。
旧設定の値を機械的に置き換えるのではなく、何を制限したかったかを再確認することが移行の出発点です。
出典:Microsoft Learn — Manage Availability of Copilot in SharePoint
4. Site AI settingsとRestricted Content Discoveryは、同じ制御ではありません
移行後の管理では、2つの仕組みの役割を分けて理解します。
Site AI settings:サイトでのAIの使い方を管理する
サイトのSettings → Site AIから開く設定です。
公式資料では、サイト所有者が次の内容を管理できると説明されています。
- グローバルヘッダーのエージェントアイコンから開く対象を選ぶ
- サイトページのCopilotボタンを、サイト訪問者に対してのみ非表示にする
- サイトの高度なドキュメント処理を有効にする
ここで大切なのは、ボタンの非表示対象が限定されている点です。
「訪問者向けのボタンを隠す」と「全利用者からAIや情報へのアクセスを禁止する」は同じではありません。
Restricted Content Discovery:発見範囲とAIの入口を制限する
Restricted Content Discoveryは、権限レビューなどを行う間、特定のSharePointサイトのコンテンツが、組織全体の検索やCopilotで発見されることを制限するための仕組みです。
Copilot in SharePointの導入ガイドでは、この設定がサイトで有効なら、他の利用可能性の設定にかかわらず、そのサイトにCopilot in SharePointとAIアクションが表示されないと説明されています。
一方、Restricted Content Discoveryの公式資料では、次の点も明記されています。
- 既存のアクセス権は変えない
- 権限を持つユーザーは、コンテンツへ直接アクセスできる
- 検索インデックスからコンテンツを削除するわけではない
- サイト内からの検索や、開いている文書を扱う体験など、影響しない範囲がある
目的から設定を選ぶ
| 実現したいこと | 確認する仕組み |
|---|---|
| エージェントアイコンから開く対象を変更する | Site AI settings |
| 訪問者向けにCopilotボタンを非表示にする | Site AI settings |
| 権限レビュー中のサイトについて、組織全体での発見やAIの入口を制限する | Restricted Content Discovery |
| 特定ユーザーに文書を開かせない | 元のアクセス権や情報保護設定 |
Restricted Content Discoveryを、旧NoSitesやサイト除外一覧の単純な代替として全サイトへ適用するのは避けたいところです。検索やCopilot回答に使える情報も減るため、制限の目的と影響を確認します。
利用にはSharePoint Advanced Managementなどの前提条件もあります。また、反映には時間がかかり、大規模サイトでは1週間を超える場合があると公式資料に記載されています。
出典:
Get started with Copilot in SharePoint / Restrict discovery of SharePoint sites and content / Prerequisites for SharePoint Advanced Management
5. 追加課金は「日常的な利用」と「Advanced work」を分ける
Copilot in SharePointは、ライセンスに含まれる機能と、Copilot Creditsを消費する高度な処理を組み合わせたモデルです。
公式資料では、日常的な個人の生産性向上に関する機能は、対象のCopilotライセンスに追加費用なしで含まれると説明されています。
一方、大規模な処理や高度な自動化などのAdvanced workには、従量課金の有効化と利用可能なCopilot Creditsが必要です。
| 区分 | 公式資料で挙げられている例 |
|---|---|
| ライセンスに含まれる日常的な利用 | 質問・検索、文書の作成、ページ・リスト・ライブラリの作成や編集、単純なルールや承認、個別ファイルの名前変更・共有、Skillsの作成・管理 |
| Copilot Creditsが必要なAdvanced work | 大量文書の統合・レビュー、サイトやソリューション全体の作成、大規模な編集、複雑な複数段階のAIワークフロー、リアルタイムAutofill、画像生成・編集、利用状況の分析 |
「ファイルを作るから必ず追加課金」「ライセンスがあるから規模に関係なく無料」のどちらでもありません。
同じ種類の作業でも、処理規模や内容によって区分が変わります。今回の導入資料だけから、「何ファイル以上なら追加課金」といった共通の数値境界は確定できません。
また、プレビュー時の週次上限はGAで撤廃されるとされていますが、これは無制限・無料という意味ではありません。サービス保護のための日次制限が適用される場合があります。
出典:Microsoft Learn — Licensing and Copilot Credits
6. 新しい支出ポリシーだけでなく「既存ポリシー」も確認する
Advanced workを利用する場合、公式手順ではMicrosoft 365管理センターで支出ポリシーを設定します。
- Copilot → Cost managementを開きます。
- Add spending policyを選びます。
- Access scopeで、対象ユーザーやセキュリティグループを指定します。
- Agents and servicesでAdvanced work in SharePointを選びます。
- 上限・アラート・請求方法を設定して保存します。
これは有効化する場合の手順です。棚卸しだけなら、新しいポリシーを作る必要はありません。
見落としやすい、新サービスへの自動適用
既にCoworkなどでCopilot Creditsを利用している組織では、既存ポリシーも確認します。
最新の課金概要では、Auto-apply new servicesが支出ポリシーで既定有効と説明されています。SharePointの導入資料では、同趣旨の項目をAllow new agents and services as they become availableと表記しています。
この設定が有効な場合、新しく対応したサービスが既存の支出ポリシーに含まれる可能性があります。
つまり、「SharePoint用のポリシーを新規作成していないから、Advanced workには誰もアクセスできない」とは限りません。
移行時には、少なくとも次を確認します。
- どのユーザー・グループが対象か
- どのサービスが含まれるか
- 新サービスへの自動適用が有効か
- 上限、アラート、請求方法が適切か
- 誰が利用量を確認し、追加クレジットの要求を判断するか
出典:
Set up usage-based billing / Usage-Based Billing and Cost Management for Copilot Credits
7. 利用者への説明と、Autofillの条件も確認する
クレジット使用の確認は、管理者設定の代わりではない
公式資料では、クレジットを持つユーザーの依頼がAdvanced workや大規模処理に該当すると、処理を続ける前にクレジット使用の承認を求めると説明されています。
その後、画面には、そのセッションでクレジットを消費していることが表示されます。/costでタスクの使用量や月次上限の残りなどを確認できるとも案内されています。
ただし、利用者に確認画面が出ることと、組織の予算統制が整っていることは別です。支出ポリシーと利用者教育を組み合わせます。
クレジットを持たない場合、Advanced workを必要とする依頼は完了できない旨が説明されます。これは、日常的な利用まで全面的に使えなくなることを意味しません。
Autofillは、処理方式を分けて判断する
Autofillは、文書内容からメタデータを抽出し、列へ設定する機能です。
GA導入ガイドでは、通常のAutofill metadataをライセンスに含まれる側、リアルタイムAutofillをCopilot Creditsが必要な側に区分しています。サイト全体のリアルタイム処理には、サイト側の有効化も必要とされています。
一方、専用資料には、通常の新規ファイル処理はCopilotライセンスに含まれるという説明と、Advanced Autofillを有効にするとクレジットを使う高度な処理になるという説明があります。
そのため、「Autofillは全部無料」「新規アップロードは必ず課金」といった一律の案内は避けます。
専用資料では、サイト管理者が自身のクレジットをサイトでのAdvanced Autofillに共有する設定も案内されています。利用者単位の支出ポリシーだけでなく、サイト側で高度な処理を有効にしているかも確認しましょう。
なお、Autofill専用資料には、プロンプト・応答の対応言語とは別に、処理するファイルは英語のみと記載されています。日本語で質問できることを、日本語ファイルの処理が公式に対応していることと混同しないようにします。
出典:
Get started with Copilot in SharePoint / Create autofill columns
8. 11月1日に向けた移行チェックリスト
以下は、公式資料をもとにした筆者の運用提案です。Microsoftが定める一律の移行手順ではありません。
| 段階 | 実施すること |
|---|---|
| 現状把握 | 旧Scopeと対象サイト一覧、設定理由、担当者を記録する |
| 目的の整理 | 入口の調整、発見制限、アクセス権の制限を分ける |
| 設定方針の決定 | Site AI settingsとRestricted Content Discoveryの対象・影響を確認する |
| 課金の棚卸し | 既存ポリシーの自動適用、対象者、上限、サイト側の高度な処理設定を確認する |
| 限定的な確認 | 所有者・メンバー・訪問者など、対象者ごとの表示と利用条件を確認する |
| 利用者案内 | 日常利用とAdvanced work、クレジット承認、問い合わせ先を説明する |
| 期限前の確認 | 旧設定だけに依存した制御が残っていないか確認する |
| 移行後の確認 | 利用可能性、意図した制限、クレジット消費を継続的に確認する |
たとえば、旧設定が「検証サイトのみ許可」だったとしても、その理由が単なる画面確認なのか、機密サイトの権限レビュー待ちなのかで、移行後の方針は変わります。
設定値を移すのではなく、管理上の目的を引き継ぐと考えることが大切です。
情報を見せてよい範囲の確認については、以前の記事も参考になります。
「権限を守る」だけで安心?過剰共有と情報保護を分けて理解する
9. まとめ
Copilot in SharePointのGA移行では、次の点を押さえましょう。
- 9月30日はGAの段階的展開開始であり、全テナントへの反映完了日ではありません。
- 旧PowerShellの既存設定が尊重される期限として、11月1日が示されています。
- Site AI settings、Restricted Content Discovery、元のアクセス権は役割が異なります。
- 日常的な利用はライセンスに含まれ、Advanced workはCopilot Creditsを消費します。
- 既存の支出ポリシーによる新サービスへの自動適用も確認が必要です。
今回の移行は、古いコマンドを新しい画面へ置き換えるだけの作業ではありません。
誰が、どのサイトで、どの範囲の処理を、どの予算で使えるようにするかを整理し直す機会として進めると、利用者への説明と運用管理をそろえやすくなります。
参考リンク
いずれも2026年10月5日確認。機能は段階的に展開されるため、実際の画面・契約・設定と最新資料をあわせて確認してください。
Microsoft公式資料
- Get started with Copilot in SharePoint
- Restrict discovery of SharePoint sites and content
- Prerequisites for SharePoint Advanced Management
- Usage-Based Billing and Cost Management for Copilot Credits
- Create autofill columns
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本記事について
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