執筆している2026年10月8日時点の情報です。Cowork は更新が速い機能のため、最新情報は必ず公開情報(本記事末尾の参考リンク)もあわせてご確認ください。
「Coworkを導入したけれど、どのくらい使われている?」
「タスク数とセッション数が一致しないのは、集計ミス?」
「消費Creditsが増えたので、導入効果も高まったと説明してよい?」
Coworkの運用では、使えるようにすることに加えて、何に使われ、どれだけ消費し、どんな成果につながったかを確認することが重要です。
ただし、利用人数、タスク数、セッション数、消費Creditsは、それぞれ違うものを測っています。数字を同じ意味で扱うと、費用や導入効果を誤って説明する可能性があります。
この記事では、Microsoft InsightsのConsumption Dashboardを中心に、Coworkの利用指標の読み方と、実務での分析手順を整理します。
対象読者は、Coworkの運用・費用・導入効果を説明するIT管理者と分析担当者です。実際の組織データを分析したレポートではなく、Microsoft公式資料に基づく解説です。
1. 今回の更新:Coworkの利用状況を詳しく分析する機能
2026年10月6日付の公式リリースノートには、Copilot Analytics – Cowork adoption and impactが掲載されています。
説明されている主な内容は、次のとおりです。
- Coworkの利用状況と影響を分析する指標の拡充
- Copilot DashboardとConsumption Dashboardからの確認
- データのエクスポート
- Consumption queryによるクレジット消費の分析
- Person queryによるCowork利用データの分析
掲載対象のプラットフォームはWebです。
この更新一覧は、9月22日~10月6日にリリースされた変更をまとめています。一般提供の更新一覧ですが、機能は段階的に展開されるため、10月6日に全利用者へ同時反映されたという意味ではありません。
また、エクスポートの専用資料にはPublic Previewの記載が残っています。更新一覧への掲載だけで、関連するすべての分析・エクスポート機能が同じ提供段階になったと判断しないようにしましょう。
出典:
Microsoft Learn — Release Notes:October 06, 2026 / Export AI cost metrics
2. 最初に「人数」「タスク」「セッション」「Credits」を分ける
まず、主要な指標を整理します。
| 指標 | 主に表すもの | その数字だけでは分からないこと |
|---|---|---|
| Cowork active users | 選択期間にCoworkを1回以上使った利用者数 | 継続利用しているか、成果物を活用できたか |
| Cowork tasks | Coworkで行われたタスクの量。スケジュール実行も含む | 業務上の成果が承認・採用されたか |
| Session count | Coworkのセッション数 | タスク数と必ず一致するわけではない |
| Cowork Credit usage | 選択期間にCoworkが消費したCopilot Credits | 実際に削減できた工数や金額 |
| Average tasks per user | 利用者あたりの平均タスク数 | 全員が平均どおりに利用しているか |
| Average credits used per task | タスクあたりの平均消費Credits | 異なる種類の仕事の効率を、そのまま比較できるか |
Consumption Dashboardの説明では、タスクはCoworkが完了した作業、セッションはそれらの作業に対応するセッションとして区別されています。
ただし、製品上のタスク完了と、人が確認して業務成果として採用したことは別です。
資料を生成できても、その後に大幅な修正が必要だったかもしれません。利用指標だけで、成果物の品質まで判断しないことが大切です。
出典:
Consumption Dashboard — Cowork page / Copilot Cowork metrics
3. タスク数とセッション数が違っても、直ちに異常ではありません
公式資料では、複数のCoworkタスク、特にスケジュールされたタスクが、一つの課金セッションに対応する場合があると説明されています。
したがって、次のような前提は置けません。
1タスク=1セッションなので、両方の件数は一致するはず。
仮想データで考える
以下は説明用の架空データです。実際の利用実績や料金例ではありません。
同じ期間・対象者・サービスについて、次の値が得られたとします。
| 項目 | 仮想の値 |
|---|---|
| Coworkタスク数 | 120 |
| Coworkセッション数 | 80 |
| 消費Credits | 2,400 |
この場合、単純な集計値は次のようになります。
タスクあたり:2,400 ÷ 120 = 20 Credits
セッションあたり:2,400 ÷ 80 = 30 Credits
どちらも同じ消費量を使った計算ですが、分母が違います。
20と30の差は、それだけでコスト増加や集計不良を示すものではありません。
また、タスクあたり20 Creditsという値は、この集計対象での平均です。すべてのタスクが同じ量を消費したわけでも、次回のタスクが20 Creditsで実行できるという保証でもありません。
このような比率を計算する際は、対象期間、ユーザー範囲、サービス、データの集計条件をそろえます。異なる画面から集めた値を、そのまま割り算しないようにしましょう。
出典:Microsoft Learn — Cowork page
4. まずはConsumption Dashboardで、利用の偏りを見る
Consumption Dashboardでは、利用者数や消費量の合計だけでなく、サービス、組織、職種、支出ポリシーなどの観点から確認できます。
Coworkを調べる場合の基本的な流れは、次のようになります。
- Consumption DashboardのMicrosoft 365 servicesを開きます。
- 対象範囲や期間、組織などのフィルターを確認します。
- CoworkのDeep diveから詳細を開きます。
- タスクカテゴリー別の利用量や、手動開始・スケジュール実行の内訳を確認します。
- 利用が増えたカテゴリーや、消費量が集中している箇所を調べます。
表示できる範囲はロールや組織の設定によって異なります。
サービス全体の数字を、Coworkだけの数字と混同しない
公式資料では、Microsoft 365 servicesページの消費データは、現時点でCoworkとWork IQ APIを対象とすると説明されています。
そのため、ページ上部の合計セッション数やCreditsを、確認せずに「すべてCoworkの利用量」と扱わないことが重要です。
Coworkだけを説明したい場合は、サービス別の内訳やCowork詳細ページを使います。
タスクカテゴリーで、仕事の種類をそろえる
Coworkのカテゴリーには、分析・調査、会議関連、文書作成、メール関連などがあります。
大規模な資料比較と、短い文章の整形では、作業の性質が異なります。平均Creditsだけで部門の優劣を決めるより、どの種類の仕事を任せているかを先に確認すると、数字を解釈しやすくなります。
たとえば、次のような問いを立てられます。
- 分析・調査の利用が増えたのは、対象業務を広げたからか
- スケジュール実行が増えたのは、定例作業へ定着したからか
- 特定部門の消費が多いのは、大規模な処理を担当しているからか
- 同じカテゴリーで消費量が増えた場合、対象資料や依頼範囲が変わっていないか
これらは分析の着眼点であり、指標だけから原因を断定するものではありません。
出典:Microsoft Learn — How to use the Consumption Dashboard in Insights
5. 「見られる」と「クエリを実行できる」は別です
公式資料では、Consumption Dashboardへのアクセスと、消費指標を使うクエリの実行権限が区別されています。
| ロール | Consumption Dashboard | 消費指標を使うクエリ |
|---|---|---|
| グローバルパーティションへのアクセスを持つInsights Analyst | 組織全体を対象に利用可能 | 利用可能 |
| 対象のManager | 自分のグループを対象に利用可能 | 不可 |
| Microsoft 365 Global Administrator | 組織全体を対象に利用可能 | 不可 |
パーティションは、Insightsの分析対象やアクセス範囲を区分する仕組みです。
グローバル以外のパーティションだけにアクセスできるInsights Analystは、Consumption Dashboardや消費指標のクエリを利用できないと説明されています。
また、通常のCopilot Dashboardを見られることが、Consumption Dashboardへのアクセスを意味するわけではありません。
管理者ロールだからすべての分析ができる、という前提を置かず、用途に合う権限を確認しましょう。閲覧のためだけに強い管理者権限を広く付与することも避けます。
出典:Microsoft Learn — Who can access the dashboard
6. 詳細分析では、Consumption queryとPerson queryを使い分ける
リリースノートでは、次の使い分けが示されています。
| 調べたいこと | 案内されているクエリ |
|---|---|
| クレジット消費データ | Consumption query |
| Coworkの利用データ | Person query |
Consumption queryは、消費量の分析に使う
公式のクエリ手順では、次の操作が案内されています。
- Viva InsightsのCreate analysisを開きます。
- Create custom query → Consumption queryを選びます。
- 対象期間と、日・週・月などの集計単位を設定します。
- 対象サービスや組織を条件で絞ります。
- 必要な組織属性を選び、Runを実行します。
Consumption queryには、次の指標があらかじめ含まれます。
- Total Copilot Credits used
- Session count
- User limit
- Spending policy limit
公式手順では、別のカテゴリーの指標を自由に追加するクエリではないと説明されています。
「Consumption queryだけで、タスク数から業務成果まですべて分析できる」とは考えないようにします。
データの時点と単位もそろえる
Consumption queryの元データは、利用者・サービス・日付の単位で説明され、MetricDateはUTCです。
また、最新の消費データには通常1~2日程度の遅れがあるとされています。当日の利用をリアルタイムに表す画面として扱わないことが重要です。
Person queryの利用指標と消費データを比較する場合も、対象者、期間、日付の扱い、更新タイミングを確認してから組み合わせます。
出典:
Create a custom consumption query / Release Notes:October 06, 2026
7. エクスポートした数字は、画面と同じ範囲とは限りません
エクスポート専用資料では、日次または週次で消費指標をダウンロードする方法が案内されています。
ここで注意したいのが、完了した日・週だけが含まれ、不完全な期間は出力されないという点です。
ダッシュボードの途中経過と、エクスポートされた完了期間を比較すれば、数字が一致しない場合があります。差異だけを見て、不具合と判断しないようにしましょう。
閲覧・エクスポート・クエリは、別々に確認する
専用資料では、エクスポート対象ロールとして、グローバルパーティションのアナリストとGlobal Administratorが挙げられています。一方で、提供段階やManager対応に関する記載も残っています。
そのため、実際の環境で利用できる操作と最新の条件を確認し、閲覧できる人は全員エクスポートできるとは説明しません。
利用者単位のデータは、取り扱いも設計する
公式資料では、通常はハッシュ化された利用者IDが使われ、管理者が識別可能なエクスポートを許可した場合は、識別可能な項目も含まれると説明されています。
ハッシュ化とは、元の値を変換して別の識別値で表すことです。ただし、ハッシュ化されているから自由に配布してよい、という意味ではありません。
エクスポート先、閲覧者、保存期間、ほかの人事データとの結合目的などを、組織のルールに沿って決めます。
出典:Microsoft Learn — Export AI cost metrics from the Consumption Dashboard
8. Assisted hoursやAssisted valueを、実測の削減効果と同一視しない
Coworkの詳細ページには、利用量とあわせてassisted valueも表示されると説明されています。
また、指標定義では、Cowork assisted hoursは、Coworkによる支援を受けた時間の推定値とされています。タスクの種類を分類し、公開研究に基づく典型的な時間への影響を割り当てる方式です。
これは、各利用者の作業時間を実測し、導入前後の差をそのまま計算した値ではありません。
そのため、次のような説明は避けたいところです。
ダッシュボードに100時間と出ているので、実際に100時間の残業が減りました。
同様に、assisted valueを、そのまま現金支出の削減や売上増加として扱うこともできません。
業務成果は、別の情報と合わせて評価する
導入効果を説明するなら、利用指標に加えて、次のような情報を確認します。
| 確認したいこと | 補う情報の例 |
|---|---|
| 作業時間が変わったか | 同種業務の作業時間や、担当者の記録 |
| 成果物を使えたか | 採用・承認状況、修正の量 |
| 品質が変わったか | 誤り、手戻り、レビュー結果 |
| 定着しているか | 複数期間の利用傾向と、利用者への聞き取り |
| 費用に見合うか | 正式な費用情報と、業務上の成果 |
これは筆者による評価設計の提案です。
利用指標は、効果を説明するための材料であって、効果そのものの証明ではありません。
出典:
Copilot Cowork metrics / Consumption Dashboard — Cowork page
9. 月次レビューでは「増えた・減った」の次を考える
月次の報告では、単に利用人数とCreditsを並べるだけでなく、次の順で確認すると整理しやすくなります。
-
比較条件をそろえる
同じ長さの期間、対象組織、サービス、完了データを比較します。月途中と前月全体を、そのまま比べないようにします。 -
どんな仕事が増えたかを見る
タスクカテゴリーと、手動開始・スケジュール実行の内訳を確認します。 -
消費量の変化を分解する
利用者が増えたのか、タスクが増えたのか、仕事の規模が変わったのかを調べます。 -
成果と確認負担を聞く
作成物を利用できたか、人による確認や修正がどの程度必要だったかを確認します。 -
次の対応を決める
利用例の共有、教育、依頼範囲の改善、予算や対象者の見直しにつなげます。
利用が少ない部門にも、対象業務がない、展開が始まったばかり、アクセス条件が整っていないなど、複数の理由が考えられます。
個人や部門を利用量だけで順位付けするより、業務に合う使い方を増やすための分析として扱うことが重要です。
正式な請求情報は、別途確認する
Consumption Dashboardの公式資料は、クレジット使用情報を参考情報と位置付けています。正式な請求や詳細な料金は、Microsoft 365管理センターで確認するよう案内されています。
ダッシュボードのCreditsに独自の単価を掛けた値を、そのまま請求額として報告しないようにしましょう。
出典:Microsoft Learn — How to use the Consumption Dashboard in Insights
10. まとめ
Coworkの利用分析では、次の区別が基本です。
- 利用者数は、利用の広がり
- タスク数は、任せた作業の量
- セッション数は、タスク数とは異なる活動単位
- Creditsは、消費量
- Assisted hoursなどは、定義に基づく推定指標
- 業務成果や実際の削減効果は、追加の確認が必要
特に、タスク数とセッション数は一致するとは限りません。正式な請求情報も、分析用ダッシュボードとは分けて確認します。
「どれだけ使ったか」で終わらせず、どの仕事に使い、どんな成果が得られ、次に何を改善するかまでつなげることが、Coworkの利用分析を実務に役立てるポイントです。
参考リンク
いずれも2026年10月8日確認。機能の展開状況、アクセス権、指標定義、エクスポート条件は、最新の公式資料と実際の環境で確認してください。
- Microsoft Learn — Release Notes:October 06, 2026
- Microsoft Learn — How to use the Consumption Dashboard in Insights
- Microsoft Learn — Copilot Cowork metrics
- Microsoft Learn — Create a custom consumption query
- Microsoft Learn — Export AI cost metrics from the Consumption Dashboard
本記事について
本記事は、公開情報をもとに内容を整理し、できるだけ分かりやすく解説することを目的として作成しています。記載内容は個人の見解であり、所属組織の公式見解を示すものではありません。少しでもお役に立てればうれしいです。
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