警告
この記事は極めて微妙な問題を含むので、以下の方は読まないように。
- 相容れない考えが許せない人
- 気に入らない主張に物申さずにはいられない人
さて
準備はいいか?ここから先は冷酷な現実だ。
IT業界によくあるケースとして、新規参画者の問題がある。
例えば
- 経験者の(技術は持っている)人間を中途採用した
- SESから不足人員を補充した
などという場合のことだ。ここでは便宜上
- Starter:補充人員
- Player:既存のプロジェクト従事者
- Manager:プロジェクト管理者
という前提で話をさせてもらう。
陥りがちなやってはいけないこと
PlayerやManagerはStarterと同等以上の技術を持っている上に
プロジェクト固有の事情や、それに付随ずる設計上のメリットや
デメリットも十分に承知している(はずである)。
しかしStarterは技術を持っているだけで、プロジェクトの事情には無知だ。
この点をよくよく理解しないとチームの生産性を大きく損ねることになる。
一番やってはいけない「放置」
人員が足りない。Starterを補充した。ここまではいい。だがStarterに
「資料はここ、ソースのリポジトリはここ、ドキュメントはここです。」
という情報を与えただけでは絶対に戦力としては育たない。
これだけは断言してもいい。プロジェクト固有の事情は教育必須である。
ではどうすればいいのか?
Playerが毎日ルーティンでこなしている作業をStarterと同伴実行するのだ。
はっきり言って手間だ。Playerの生産性を落とす。Starterが期待するほどの
成長をする保証もない。だがやらなければStarterの成長は期待できないのだ。
これは中長期的なチームの生産性が伸びるか伸びないかを左右する。
ありがちなNG事例
Starterに、ある処理単位の仕事を担当させて、進捗を確認したとする。
- まだそこですか?
- なんで質問しないんですか?
こういうことをStarterに投げかけるPlayerがいる場合、Managerは即座に
対策を考えなければならない。こういう言葉を投げかける以前の問題として
PlayerがStarterに対して(ある意味手取り足取り)教える必要があるのだ。
教える手間を惜しんで「なんでわからないんですか」は甘えである。
加えて言うと、あまりこういうことは言いたくないのだが、上記のようなこと
をStarterに投げるPlayerというのは、本人が意識するかしないかを別にして
ハラスメントにあたるということを十分に意識しなければならない。
- Starterの質問に「前に説明しましたよね?」「以前も説明しましたけど」
いやそんなことはわかっている。Starterだって以前に説明されたことくらいは
覚えているだろう。だが人の記憶は不完全なものだ。目と耳で受けた情報でも、
極めてvolatileなものだから、せいぜい5割くらいしか覚えていない。
同じ質問に対して、嫌な顔をせず、嫌みも言わず、何度でも答えるのが重要だ。
どんなにバカでも同じことを3回聞けば、質問の内容を変えてくるものだ。
- なんで失敗したんですか?
それはStarter本人が聞きたいことだ。道を歩いていて障害物につまずいた場合
「なんで転んだんですか?」と聞かれても「知っていれば転んでいないわ!」と
答えるのが普通の人間の反応であろう。失敗を責めてはいけない。失敗は失敗と
して、次からはどうすべきかを教えるべきなのだ。失敗した理由は本人が一番
よくわかっている(はずだ)。そんなことを追求してもまったく意味がない。
それどころか質問意欲を喪失させ、失敗を隠蔽され、進捗の遅延を招く。
- 質問攻め
Player なんでこうしたんですか?
Starter それはその時に~と思って~だったので~しようと思ったからです
Player なんでその時まわりの人に聞かなかったんですか?
Starter いやそれはその・・・
この流れの大きな問題がわかる人はいるだろうか。この会話における問題は、
Playerの質問が結果論なことである。どんなにバカでも結果論で相手を責める
ことくらいはできるのだ。だがその行為は意味がないどころか有害である。
プロジェクトについての知識が足りないStarterに対して、こういう結果論の
質問を投げ続けていると
- 質問しても無駄だ
- どうせまた結果論で上げ足を取られる
- 今まで聞いたことのメモと資料を元に何とかしよう
- 解決に時間がかかっても嫌みを言われるよりましだ
という負の感情が加速して、結果的に進捗が出ず、言い訳もできず、揚げ足取り
の質問ばかり受け、Starterの就業意欲や生産性を大幅に下げる。場合によっては
ハラスメントに当たるケースすらありうる。
人を育てるには
ここからは自分の信条を並べることにする。なので人それぞれだと考えてほしい。
たとえ違うと思っても、思想信条は人それぞれ尊重されると日本国憲法においても
定められている。飲み込んでほしい。
- 同じ質問だとわかっていても何度でも答える
人の記憶はvolatileなものだ。一度説明した程度で理解されると思わないでほしい。
目で見て、耳で聞いて、手でメモを取りながら説明を受けたとしても、その内容は
せいぜい5割程度しか理解されないと思うべきだ。だから何度でも同じことを説明
する姿勢が大切だ。同じことを3度聞けば、3度めには質問内容を変えてくる。
- 結果論を持ち出さない
「なんでその時に~しなかったんですか?」はご法度である。それがわかっていれば
最初からそうするように動いたはずだ。結果論で相手を責める人間は、責めている
自覚が薄い場合が多い。いわゆるハラスメントにあたることがほとんどだと思う。
「技術はあってもプロジェクトには無知」であることを十分に意識して、質問される
ことに対して「ありがたい」と思うくらいでちょうどいいのである。
- 質問意欲を最大化することに注力する
StarterがPlayerやManagerに対して「これって何ですか?」と聞いた時に、不愉快な
反応をされたら質問する意欲が減退する。それではだめなのだ。いつ何を聞いても、
同じ質問でも、快く答えてくれるという信頼関係がなければStarterは育たない。
相手の立場や心情や理解度を鑑みつつ、何度聞かれても快く答える精神的な安定性が
なければ、Starterは絶対に育たないのである。
まあわかっているよ
この記事を快く思わない人が一部にいることはわかっている。
そのあなたのプロジェクトが順調に進むことを祈って止まない。